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ペットロスのこと

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ペットロスに関する記事をまとめました。
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記事一覧

別れの日を、少し考えておくこと。

近年、ペットとの関係性は大きく変わってきました。ペットは番犬など「役に立つ動物」という存在から、「家族またはパートナー」として共に暮らすかけがえのない存在となってきています。 そのため、飼い主さんにとってペットを失った時の悲しみは、人間の家族を失った時と同じように辛いものとなっています。 欧米では、ペットロスのサポートグループがあるなど心のケアのシステムが発展しています。その一方で日本は、ペットロスの認知が少しずつ広がってきてはいるものの、ケアの面ではまだ十分とは言えない

子どものためのペットロスケア。

幼い子どもがペットを失った場合は、大人とはまた違うケアが必要です。 まず、子どもは大人のように自分の感情を的確に表現する言葉を持っていません。わたしも幼い子と対話しながら、その子の伝えたいことを正しく理解してあげられなかった経験があります。その子が持っている限られた言葉の中で伝えようとするので、うまく表現できないのですよね。 また、子どもは大人とは別の関係性をペットと築いています。子どもはペットを信頼できる聞き役として親密な対話をしたりします。また、ペットの世話をすること

悲しみの表現は、それぞれ違うよ。

ペットロスは、ペットを失った悲しみのことを言います。特別な事ではなく、愛するペットを失った方ならだれでも経験する出来事です。 ペットロスからの回復には、自分が悲しいなりに素直に悲しむことができるか、がひとつの鍵。 思いっきり泣いたり、ペットの存在を大きさを理解してくれる人に話したり…こうした行為を自分に許してあげることが悲しみを乗り越える助けになります。 しかし中には、悲しみの表現方法がわからなかったり、他人の前では恥ずかしさや、ご自身の立場を考えて、上手く悲しみを表現

その子の「代わり」はないのです。

先日、新しいペットを迎えることについてnoteに書きました。 新しいペットを迎え入れることで、ペットロスからの回復の助けになることがあります。ペットから来る喜びはペットでしかなかなか埋められないもの。ペットを失った直後は控えたほうが良い場合もありますが、「またペットほしいな」と素直に思える頃になったら、新たな子を迎え入れる機会かもしれません。 新しくペットを迎え入れると、初めは前代の亡くなったペットとその子を比べてしまうこともあるでしょう。 「あの子はこういう鳴き声じゃ

いつかは来る「死」の別れについて考える。

昨日、SNSでファンだったセキセイインコちゃんが亡くなった事を知った。ファンだった小鳥さんが亡くなるとショックだ、とても悲しい。 飼い主さんの気持ちを思うと心が痛むと同時に、自分もチュリが亡くなったら辛いだろうなと考えて不安な気持ちになってしまう。 チュリがいなくなる時は絶対に来る。その日が1日も先であることを願っているけれども、生きているかぎり死は例外なく来る。 「チュリを失う時、私はその悲しみに耐えることができるだろうか」 チュリへの愛情が深くなるとともに、死への不

動物は、愛そのもの。

先日、ペットとの死の別れについての記事を書いた。その記事を読んでくださった方からとても心に残るコメントをいただいた。 「動物は愛そのもの」 コメントの中にあったこの一言の言葉に心がじんとした。本当にその通りだと思った。 この言葉をいただいて、私がインコを飼おうと思うようになった日のことを思い出した。 私は今でこそチュリに夢中だけれども、以前は小鳥が好きという程ではなかった。 3年くらい前、当時住んでいた家の近くに、セキセイインコを飼っている後輩が住んでいた。そのインコ

良く生きるために、死を考える_アルフォンス・デーケン氏の本から教えてもらったこと。

今年の9月6日、より良き死のための準備教育を提唱した、上智大学名誉教授でカトリック司祭のアルフォンス・デーケン氏が亡くなった。 司祭が亡くなり、麹町のイグナチオ教会で告別式ミサが行われたことを、私は数日後Twitterを通して知った。 デーケン氏は、死との向き合い方を教える「死生学」を日本に広め、長年グリーフケアの普及に取り組まれた。 私はペットロス療法士の勉強をする過程で、同氏の著書に出会った。 それまで、私の「死」に対する認識は、まず遠ざけたいものだったし、愛する

ペットが亡くなった時、供養どうしてる?

ペットの火葬・葬儀ができる霊園検索サイト「メモリアルなび」を運営するイオンペットが、犬もしくは猫を亡くした経験のある方にどのような供養をしたのかをたずねるアンケートを実施した。 愛するペットを失った時、どのように供養してあげようか悩む方もいらっしゃると思うので、アンケート結果をnoteにしておきたいと思う。 アンケート回答者:犬もしくは猫を亡くした経験のある方111人(全国) 犬 64.0%、猫 36.0% アンケート回答期間:2020/11/4 引用:ペットが亡くなっ

【ペットロス】この子がいなくなったら..「予期悲嘆」とは。

ペットを飼っている誰しもが感じる可能性がある心情に「予期悲嘆」と呼ばれるものがある。 老齢のペットの飼い主、難病を抱えているペットの飼い主などが経験する心情で「この子がいなくなったら...」と、予想される死に対する悲しみのことを「予期悲嘆」という。 「ペットの死別からどう立ち直るか」はもちろん重要だが、こうした「予期悲嘆」のことも認識し、目の前の喪失にどのように備えていくかを考えることもとても大切なことだ。 予期悲嘆の感情と葛藤ペットの飼い主は、自分のペットに少しでも長

ペットと、人と、関わること。

愛するペットを失った時… 多くの飼い主さんは、悲しみの強度や経過に個人差はあれど、辛く悲しい感情を経験するようになる。 このような「ペットとの死別体験とそれに伴う飼い主の悲嘆」のことを「ペットロス」と言う。 愛する対象を失うのだから、ペットロスは本来あって当然のもので、普通は1年ほどすると回復してくることが多い。しかし、中には悲嘆の回復が健全に行われずに病的な悲嘆に長く苦しむ人もいる。 回復が進む人と、大きくダメージを受けて留まってしまう人… その分かれ道を決めるものはあ

周りの人がペットロスで苦しんでいたら..

自分の周りの人がペットロスで苦しんでいる時、どのように接したらよいだろうか。 助けてあげたいと思うけれど何をしてあげたらよいかわからなくて、戸惑ったり心を痛めてしまうこともあると思う。 そんな時は、このことを思い出して欲しい。 悲しむことは、回復の第一歩だってこと。 今悲しんでいるその人は、ペットロスを乗り越えるための大切な過程の中にいるのだ。 ペットロスを克服していくのに最も効果的な方法が「悲しむがままに悲しむこと」だ。周りの人は、まず本人が安心して悲しむことができる

ペットの供養のかたちを考えてみよう。

ペットを失ったとき、そのペットを愛して大切にしていた飼い主さんほど、その悲しみは大きく辛いものだと思います。 悲しみから立ち直るために、亡くなったペットの事を考えないようにしようとする方もいるかもしれません。しかし、愛するペットとの思い出は大切な宝物。できればずっと大事にして欲しいと思います。 肉体では再び会えないかもしれませんが、あなたの心の中にその子の居場所をつくってあげて、別なかたちのつながり続けていけばいいのです。 近年、ペットロスが社会にも知られるように

次のペットを迎えるとき。

愛するペットが亡くなった後で、また新しいペットが欲しいと思う飼い主さんは多いと思いのではないでしょうか。 新しいペットを飼い始めることで、ペットロスの悲しみが和らぐことがありますし、ペットを愛することができる方に、またペットを飼っていただけたら、動物たちも幸せなんじゃないかと思います。 次のペットを迎え入れるタイミングは、いつが良いというものはありません。すぐに、迎え入れても問題ない方もいらっしゃいますし、何年経っても新しい子を飼う心の状態でない方もいらっしゃいます。

「ペットロス」ってなんだろう。

今日は、ペットロス療法士として「ペットロス」についてnoteに書いておきたいと思う。 「ペットロス」とは、広義的には「生別・死別を問わずペットを失ってしまった体験」のことであり、狭義的には「ペットとの死別体験とそれに伴う飼い主の悲嘆(グリーフ)」のことを言う。ペットロスが原因で精神的な症状を及ぼすことがあるが、ペットロスそのものが病気ではない。 愛する対象がいなくなると、私たちの心や身体はさまざまな悲嘆反応を催す。この反応は、肉親・配偶者・子ども・ペット・自分の身体(脱毛