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短歌連作「夏、待望論」


夏、それは俺が生まれて祖母が死に
愛が生まれて消えた季節だ


ヘインズの白ティ買った
ボックスの 赤supreme すぐに剥がした


また春が過ぎてすぐまた夏がくる
去年のほてりも冷めてないのに


ペイデイにハメを外した米兵と
腕相撲して折れた中指


ベトナムに行ってしまった米兵が
サインしたまま褪せたドル札


アメスピの火はもう消えた
アメリカの火はまだ灯るフェンス越し夏


島唄をくちずさむとき
三線の泣く音がする梅雨が明けるよ

短歌「夏、待望論」/中山琉貴

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