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死の商人:ロード・オブ・ウォー

・出演者(吹き替え)
ニコラス・ケイジ(大塚明夫)
ブリジット・モイナハン(岡寛恵)
イーサン・ホーク(咲野俊介)
・監督・製作・脚本
アンドリュー・ニコル

【ひとくちレビュー】

★30点満点で映画の評価★

ストーリー:死の商人としての半生を自伝テイストで振り返る

オープンニングのワクワク感…+5
エッチなシーンがしっかりエッチ…+10
コメディ→シリアスの流れ…+5
メッセージ性…才能と幸せにつて考えさせられた…+5

総評25/30:大人の映画


【登場人物】

①主人公:ユーリ・オルロフ
(役: ニコラス・ケイジ CV:大塚明夫 )
旧ソ連領ウクライナからの移民でNYの下町で生活している。
武器の威力そして需要に気づき、売買にチャレンジしたら成功してしまった武器商人会の前澤友作。

②宿敵:ジャック・バレンタイン捜査官
(役:イーサン・ホーク CV:咲野俊介 )
武器商人であるユーリを追うインターポール捜査官。
ルパンでいう銭型。
本作で一番すこ。

③その他
ユーリの弟:ヴィタリー・オルロフ
(役:ジャレッド・レト  CV:神奈延年)
内に潜む狂犬を抑え込もうとしているポンコツシェフ。
弟だからと武器商売に駆り出される。
武器売買で得た麻薬と自己矛盾でおかしくなる。

ユーリの嫁:エヴァ・フォンテーン
(役:ブリジット・モイナハン  CV:岡寛恵)
大変綺麗な嫁、バストは控えめ。
ユーリと同じウクライナの出身で、過去に両親を武器を持った押し入り強盗により殺されている。


【詳細レビュー:OP~武器商人誕生】

オープニングのワクワク感。
出だしは最高。
銃弾の一生を銃弾の視点で描く。

≪要約≫
ユーリはNYの売れないレストランでくすぶっていた。
ある日、ライバルレストランの偵察に行ったときロシアマフィアの銃撃に偶然出くわす。
ここでユーリは武器の需要と価値に気づく。

≪解説≫
ユーリがどうやって武器商人になるのかの導入。

ここに関してはかなりあっさりとして『自分の才能にチャレンジしたら成功した』みたいな内容。

ダラダラ変な内容を垂れ流すよりもすっきりしていて良い。

また所々に濡れ場があるが、なんか分かんないけどこの映画の濡れ場は非常にエッチに感じる。

洋画の濡れ場に頼る傾向はあまり好きではないが、金・暴力・S○Xが武器商人のイメージだったので違和感なく楽しめた。

【宿敵の登場】

≪要約≫
ユーリは弟と共に武器商人として活動を開始。

利益の拡大のため非合法な売買も行うようになった。

この不正な武器の密輸を取り締まるインターポールの捜査官として登場するのがイーサンホーク演じるバレンタイン捜査官だ。

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ご覧の通りクソかっこいい。

性格は生真面目そのもの。

法に忠実、故に自分が捜査を行う中でも違法行為は絶対に犯さない捜査官の鏡。

しかしそれが裏目に出てユーリにいつも出し抜かれてしまう。

≪解説≫
バレンタイン捜査官すこ。

人にルールを押し付けて、自分はルールを守らない輩がはびこるこの世の中では非常に魅力的に感じた。

聞いてるかネットポリス、お前らのことやぞ。

本作では非常に重要な役といえる。
なぜなら最後まで武器商人としてのユーリに向き合い追跡したのは彼だけだったから。

これに関しては最後のシーンにも関係してい来るので後述。

【武器商人として活躍~結婚生活】

≪要約≫
密輸に関して天賦の才があったユーリは頭角を現していく。

その中で憧れでありモデルとして成功していたエヴァに近づき結婚する。

最初は貿易関係の仕事であると嘘をついてエヴァに近づく。
しかしエヴァは結婚に至るまでの過程でどうやらユーリのビジネスが人に言えないものであることに気づく。

それでもエヴァはユーリと結婚する。


≪解説≫
ユーリはエヴァにアプローチする際
「僕の経験から嘘に基づく関係の方が上手くいくことがある、いずれ嘘に行き着くので嘘で始めるのは筋が通っている」
といったセリフを言う。

このセリフとても印象的で伏線でもあると思う。

ユーリの嘘に基づく関係は2つある。

1つ目が大富豪を装いエヴァに近づいたこと。
武器商人として頭角を現していたものの美人には金がかかる。
エヴァを落とすために誤魔化しているものの、実際ユーリはカツカツ。
しかしその後ソ連崩壊をきっかけに、ユーリのビジネスは大成功しこの嘘については真になる。
ロマンがあるぜ…

2つ目が自分の職業を偽っていたこと。
これが映画のラストまで響いてくる。
なぜならセリフ通り、二人の関係もお互いの嘘で幕を閉じることになるから。

嘘から始まり嘘に行き着く。
この関係の終わりは破局。
筋は通っている。
やっぱり人間スナオが一番。

私もガールズバーに行ったときに身分を医者や弁護士と偽るのはやめようと思う。

【堅気に戻る】

≪要約≫
ソ連崩壊をきっかけに武器のマーケットが活性化。

ユーリの叔父はソ連の将軍なので、連邦の崩壊により不要になった武器を大量に横流ししてもらう。
これによりユーリは莫大な富を得る。

しかし大成功の最中、バレンタイン捜査官はユーリ逮捕に向けて新たな策を弄する。
それはユーリ本人を追っても捕まらないので周囲の人間にアプローチすることだった。

ターゲットは嫁のエヴァである。
エヴァは両親を押し入り強盗でなくしている。
そしてその強盗に武器を売ったのも大なり小なり武器商人なのだ。

憎むべきカタキと同じ職業に夫は従事しているとバレンタイン捜査官はエヴァに告げるが、エヴァは捜査には協力しないと言う。

その後エヴァは帰宅したユーリに武器商人として身を引き堅気に戻るよう妻として、そして道徳的な人間として説得しユーリは武器の密輸から一時的にはなれる。

この説得はエヴァ個人として説得であるので、バレンタイン捜査官はユーリが武器商人をやめたことを知らない。

≪解説≫
このシーンで印象に残ったのはユーリがエヴァから説得を受ける際、
「僕には才能があるんだ」と言って食い下がるシーン。

一様、自分の売った武器で救われる人もいるといった内容の言い訳もする。
しかし、与えられた才能を使わずにはいられない。
これがユーリを武器密売に駆り立てる本質である。

そしてユーリにとって自分の才能を使うことが、嫁、弟、父、母、そのほかの何よりも重要であった。

もはや呪いである。

【嘘に行き着く】

≪要約≫
ユーリは武器商人時代のコネを活かして堅気としての仕事を始める。
しかしあまりに利益が低く、自分の才能を十分に発揮できないと感じていた。

その最中、武器商人時代のお得意様であったリベリアの大統領がユーリの元に現れ、再び武器の密輸を持ちかけられる。

彼は再び武器商人に戻った。

ユーリは石油採掘権の交渉とエヴァにをついて、リベリアに武器を売りにいった。

しかし、エヴァはユーリが武器を売りに行くことに感づいていた。
女のカンである。
そして夫に「あなたを信じている」とをついた。
その証拠に出張に出かけた夫の後をつけて、大量の武器サンプルや偽造パスポートなど、夫が死の商人である動かぬ事実が詰まったコンテナを発見する。

その直後エヴァは子供と共にユーリの元を去る。

嘘に始まった関係は、嘘に行き着き破綻したのである。

≪解説≫
ユーリとエヴァとの間には愛は確かにあった。
それはユーリの商売の拠点となっていたコンテナの鍵を開けるパスワードが二人の愛の結晶である息子の誕生日だったから。

徹底的に証拠を残さず慎重に商売を行ってきたユーリが、誰もが連想するようなパスワードで重要な拠点に鍵をかけたのは、死の商人の中にも人間の部分、つまり武器を売ることに対しての罪悪感が存在した証ではないだろうか。

しかしその愛も彼の行動を止めることはできなかった。

結局彼の中で一番重要なのは武器を売ること。
自分の才能を行使すること。

愛は確かに存在した、しかしそれは二の次であったのだ。
故に妻であるエヴァはそれを受け入れられなかった。

【弟の死】

≪要約≫
ユーリの弟は映画の冒頭、取引で得たコカインを切欠に麻薬中毒者になる。

中毒者になってから更生施設への入退院を繰り返して、ちゃらんぽらんに生きる。

しかしユーリが堅気に戻ると同じころに、弟もコカインをやめてまっとうに生きることを決意する。

一方ユーリは前述の通り、堅気の仕事は自分の才能を発揮するのに適した環境ではないと悟り再び武器商人になる。
そしてその復帰戦としてリベリアに武器を売りに出向くことになった。

危険なアフリカ地域の密輸に出向くには、誰よりも信頼できるパートナーが必要であると考えたユーリは弟にその役割を打診。

弟はまっとうに生きるのでもう兄貴の商売に手は貸せないと言うが、数多の交渉を潜り抜けたユーリの口車にうまく丸め込まれる。

アフリカに到着し取引を開始。
しかし取引現場の目の前には難民キャンプがあった。

内戦の絶えない西アフリカでは自由の解放の名のもとに、異なる価値観・分化・宗教などをもつ人々を弾圧してきたが、その一番の被害者は異端者・逃亡者として見せしめに殺される難民である。

取引相手は解放戦線のゲリラ、ユーリが武器を売れば目の前の難民キャンプで虐殺が行われることは明らかだった。

武器を売るということの現実を直視することになった弟は、自分がやっていることに耐えられなくなりユーリの持ってきた武器を半分破壊し殺される。

ユーリは自分の弟が目の前で殺されるのを見ていた。

失意に打ちひしがれながらも彼は残り半分の武器を売るのをやめなかった。

≪解説≫
弟はとてもいいキャラしてる。
自己矛盾の塊のような人間。

映画の最初に弟は自分の中に狂犬が住んでいると言っていた。
文字面で見ればただの中2だが、ここでいう狂犬とは正義感のことではないか。

弟は人一倍正義感が強い。
しかし彼の人生は殺人が日常的に行われるNYの下町でポンコツシェフとして過ごし、人を殺すための武器を売ることに手を貸した。
それはそうするのが一番賢い生き方だから。

自分の中の正義感が露呈すれば父や母、兄であるユーリ、そして自分の命も危ないことが分かっているから、自分の中の狂犬を抑え込んで生活していた。

そして何よりも兄であるユーリが大切だったのだと思う。
だからまっとうに生きようと決意したにも関わらずアフリカに同行したのではないか。

事実、武器を売るユーリに対して「兄ちゃん、あーゆうモン売ってるといつか死ぬよ…心が…」とユーリに警告したシーンが彼の葛藤と兄への愛を物語っている。

そして弟は自分と闘い正義を優先した結果、死んだ。

ユーリは映画の最後に自分とは闘わないことの重要性を説いている。

ユーリも弟も結局はお互いを受け入れられなかった。


余談だがこの二人を兄弟と呼ぶのはいささか神のイタズラが過ぎるような気もする。
これも二人が理解しあうことができなかった暗喩なのか…

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【有名なあのシーンへ】

≪要約≫
ついにバレンタイン捜査官はユーリを捕まえる。

そのキッカケになるのは弟の死そしてエヴァである。

弟の死体をアメリカに持ち込むときに死体に残った銃弾が、ユーリの密輸を疑う糸口になってしまったからだ。
弟は死体となっても武器商人としての兄を否定した形になった。

さらにエヴァによって武器密輸の証拠となるコンテナも発見された。

これらの証拠から彼の今までの密輸が立証され、バレンタイン捜査官はユーリの拘留に成功する。

しかしユーリがすぐに釈放されることになるという事実をユーリ本人から屈辱的にも解説される。

それは大規模な武器の密輸を行う商人のバックグラウンドには必ず国家が絡んでいるから。
ユーリは世界最大の武器商人アメリカの代理人なので、国際警察インターポールの権限をもってしても逮捕されることはない。

バレンタイン捜査官の努力は報われることはないのである。

しかしバレンタイン捜査官はユーリに最後に言った、
「地獄に落ちろと言いたいが、とっくにお前は地獄にいたな」と。

ユーリはその後釈放され、武器商人を続ける。


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≪解説≫
自分の才能を使うことを何よりも優先したユーリの元に心を許せる人は誰一人としていなくなった。

そして皮肉にもユーリを武器商人として受け入れ、最後まで追跡したのは宿敵であるバレンタイン捜査官だけであった。

このような経緯があってか、ユーリはジャック・バレンタイン捜査官に尋問されるシーンで、『ジャック、君のことが好きだ、いや理解できる』という。

最大の理解者は宿敵であったという漫画でもお決まりの設定。

しかしながら、バレンタイン捜査官は最後の一言でユーリを突き放す。
「地獄に落ちろと言いたいが、とっくにお前は地獄にいたな」
このセリフの真意はユーリに対しての完全な拒絶であると思う。

つまり言い換えれば、
「お前は今も昔も一生独りぼっちだ、勝手に俺を理解者にするな。」
面と向かって言われたら宿敵でもキツイぜ…

このシーンは嘘字幕シリーズでも有名。
是非元ネタあるこの映画も嘘字幕ではなく、マジ字幕で楽しんで。

【ラスト】

映画の最後にメッセージとして、世界最大の武器商人は国連の常任理事国であるといった内容が示される。

国連は第二次世界大戦の教訓から世界平和を実現するために組織されたが、その中核を担う国々の実態は戦争を生み出す死の商人である。

つまり世界は矛盾の塊であり、人は矛盾の中で生きているということだろう。

ユーリの中にも武器を売ることへの抵抗、つまりは自己矛盾があったのだと思う。
これはコンテナの鍵の件、そして自分とは闘わないことという教訓からも推察できる。


ユーリはこの矛盾と徹底的に闘わないことを選んだ。
そして自分の才能を存分に生かして富を気づいた。
これもまた幸せの一つだろう。
一方で矛盾と闘うことで得られた人との繋がりは全て失った。

矛盾と闘うのも幸せであるが、身を任せることをも幸せである。
その中のどこにでも折り合いをつけることができるのが、人生の面白いところなのかもしれない。










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