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日本の伝統工芸に魅せられたジョナサン・アンダーソン

今回は気になるファッションとアートの話。
現在世界的な大活躍を見せるジョナサン・アンダーソンとクラフトについて。

ジョナサン・アンダーソンは08年に自身の名前を冠した、JW ANDERSON(ジェイダブリューアンダーソン)をスタートし、15年春夏にLOEWE(ロエベ)のクリエイティブ・ディレクターに就任。17年から「ユニクロ」とのコラボレーションラインUNIQLO AND JW ANDERSON(ユニクロアンドジェイ ダブリュー アンダーソン)を発表するなど、その躍進には目を見張るものがあります。

Jonathan Anderson (ジョナサン・アンダーソン)

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彼は北アイルランド出身で当初は俳優を目指していました。俳優として活躍しましたが、そのうち衣装に興味を持ち始めファッション業界へと進むことになります。自身のブランドを立ち上げた後は、ジェンダーレスで斬新なクリエイションで大きな話題を集めました。
その一方で実はクラフトマンシップと造形をとても重んじるデザイナーです。特に日本の伝統工芸には強い関心があるそう。

そんな彼のアートやクラフトへのリスペクトを形にしたのが、2016年にロエベが立ち上げた「ロエベクラフトプライズ」。毎回多数の応募作品の中から、ファイナリストの作品が一堂に展示されます。

「ロエベ クラフト プライズ」は優れた美的価値を持つ作品を生み出す職人の認知拡大とサポートを目的として、現代のクラフツマンシップにおける卓越性、芸術的価値、オリジナリティーを称えるため、「ロエベ」のジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)=クリエイティブ・ディレクターが発案し16年に設立された。大賞受賞者には5万ユーロ(約585万円)が贈られる。

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そのようなクラフトマンシップへの憧憬をアンダーソンはコレクションにも反映させています。
ロエベ2020-21年秋冬コレクションでは「2018年ロエベ財団クラフトプライズ」の受賞者である日本人のセラミックアーティスト、桑田卓郎氏とのコラボレーションを発表しました。これがとても素敵でしたのでご紹介します。

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桑田氏がこのコレクションのために制作したのは、陶製のペンダントやバッグのチャーム、トップやドレスのボディスに付けるスタッズなど。それらが、ウールやブロケード、厚手のコットンといった重厚な素材のアイテムに組み合わされました。

桑田氏は、伝統的な陶芸に大胆な造形とポップな色彩表現を加えるアバンギャルドなアプローチで、見る人に驚嘆と楽しさを与えるアーティストです。

──なぜ桑田卓郎とコラボすることになったのですか?

僕はいつも、陶芸家とのコラボレーションを夢見ていました。1980年代に三宅一生とイギリスの陶芸家、ルーシー・リーがそうしたように。彼らのようなコラボレーションを今やる意味とはなんだろうと考えていたんです。僕は卓郎の作品のコレクターです。彼はとても若いけれど、あらゆる世代の陶芸家たちに影響を与える存在です。遠くから見ると、僕らのコラボ作品はレザーのように見えますが、実は磁器。ネックレスやバッグはそのまま商品化する予定ですが、服はまだどうすれば商品として成立させられるか構想中です。ファッションとクラフトを結びつけるため、今回のショーピースは学校などの団体に寄贈する予定です。
ージョナサン・アンダーソン

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桑田卓郎Takuro Kuwata

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桑田卓郎氏はこれまでに目にしたことのない、陶芸の枠を超える表現を発表し続けています。「梅華皮」や「石爆」などの伝統的な陶芸の技術を独創的に表現する桑田の新しい視覚言語は、世界で高い評価を得ています。
その核となる伝統表現は桑田がスタジオを構える美濃地方で生まれ、安土桃山時代に茶の湯の文化と共に脈々と継承されてきた“わびさび”や自然、不完全なものに美を見出した日本独自の陶芸美学です。
桑田はその表現を現代に置き換え、場所、歴史や自然、時代と対話をし続けることによって、伝統とコンテンポラリーを融合させ、また時には相互に刺激し挑発し合うような、他に類を見ないオリジナルな作品を生み出しています。

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桑田卓郎とコムデ・ギャルソンとのコラボレーション

桑田卓郎氏の作品は2018年に川久保玲氏の目にとまり、コムデ・ギャルソンのコンセプトショップ「Trading Museum COMME des GARCONS」に展示され大きな話題になりました。
陶芸の枠を超えた独創的な作風ですが、伝統技法を踏襲しているところも本当に素晴らしいです。実際の作品を見る機会がありましたら是非おすすめいたします。

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