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ミソラドエジソン2周年に寄せて、アイドル現場と〈劇場〉の話。(#013)

大阪拠点アイドルグループ・ミソラドエジソン。
2周年を迎える記念に、大阪を代表するライブハウス・BIGCATでのワンマンライブが開催された。

私はまだ何度か観たことがある程度で、メンバーのことも曲も振りも、これまで歩んできた道のりも、さして知らない。けれどその中で世界観やパフォーマンスに心を掴まれたこと、全国区への登竜門とも言えるBIGCATでの開催であること、他グループの推しと親しいメンバーがいること、他にもいくつかのきっかけがあってミソラドには注目し始めていた頃で、ちょうどいい機会だと参戦を決めた。

2周年記念BIGCATワンマンビジュアル

会場に入ると人だかりの向こうに、建て込まれたセットが目に入った。袖幕っぽいイメージの美術には個人的にテンションが上がる。赤と青を基調にグラデーションで推移していくライティング(メンバーカラー?)は見ていて飽きないし、既にかなり世界観に引き込まれている。

BIGCATを埋め尽くすオタク

10分ほど押して、ライブは始まった。

登場してすぐ飛び出したのは、超満員動員の話。
楽屋を出たところにフロアを映したモニターがあり、満杯の会場を目にした途端ヒヨったと。
そうやんなぁ、そうなるよなぁ。
お客さんの存在をリアルに感じると、急に自分の置かれた状況について、現実味が差し迫ってくる。袖で前説を聞いている時の感覚に似ている。見ずともわかる人数の圧や、お客さんの反応のどよめきを感じ、武者震いとヒヨりのなんかどっちつかずな気持ちになって、ワケわからんテンションのまま板の上に出たりする。めっちゃ頷けた。
共感から始まったからか自分もステージに立っているような感覚がして、不思議なことにフロアからの景色とステージからの景色(あたかも自分が見た景色のように)が入れ替わり立ち替わり脳内に感じられ、ペンライトの光の海、振りコピなど、言われぬほどにエモかった。(これで声が出せたなら、もっと極まっていただろう。)

ライブは三部構成で進んだ。
三の奏。二の奏。一の奏。
「ムーンライトシアター」「ラストディナー」「シックスペイン」と、これまでにリリースしてきた作品のタイトルが並ぶ(どの順だったかは忘れた)。

それぞれの幕間を、映像が繋いでいった。
初期のライブや、MVの撮影風景、オフショット。きっとリアルタイムで見てきた人達にはたまらない映像だろう。これまで辿ってきた軌跡を記録した「映像」というメディアに、BGMに流れるのはピアノ。
ピアノと物語って、なんでこう親和性があるんだろうか。エモさを掻き立てる。「ライブができるかできないかギリギリの状況で、それでも何か届けたくて」と、泣きそうになりながら語っている当時の MC映像なんか、思わずウルっと来てしまった。詳しく知らないグループなのに。だってめちゃくちゃわかるんやもん、ジャンルも方法も違うとはいえ。

各部ごとに、衣装も移ろっていった。
新しい方から遡って、歴代衣装を着たらしい。
まさしく、ミソラドエジソンの歴史のすべてだ。

そして迎えたアンコール。
新衣装をお披露目し、これからの夢の話をした。

お目当てはもちろん全員、ミソラドエジソン。

ミソラドエジソンが歩みを始めて、2年間。
しかも並の2年ではない。ライブ業界が苦節を強いられ、支援もなく、ひたすら振り絞った自力と助け合いのみでなんとか命を繋いできたこの2年間。生き抜いたこと自体が功績だと思うし、平時のようなライブをできていないにも関わらず、ビッキャを埋めた。これは誇りに思っていいことだと思う。心から敬服する。

最後にメンバーひとりひとりから、気持ちを伝える時間があった。私と境遇が似ているメンバーがいたり、逆に大きくかけ離れた人生を歩んでいるメンバーがいたり。どちらにせよ、このワンマンライブが彼女たちにとってどれほどの意味を持つのか、まっすぐ伝わる言葉で想像できた。

どんな思いで過ごしてきて、この先何を目指して、今この場に立っているのか。
私が観客として今この瞬間を捧げている相手はどんな人間なのか。
それをわかった上で、人生上の一大チャレンジの最中にいる彼女たちの姿を追わせてもらっている、居合わせられることの貴重さ幸せさをひしひしと感じる言葉たちだった。

主現場・Zsaszの周年は未来だけ見て過去を振り返ることはほぼしないし、誰シラはそもそも周年あるんだろうか行けてないけどフェスやもんな、と考えると、「周年ってこれだよなぁ!」と初めて思えたライブだった。良い周年だ。
もっと見たいし、一緒に歩を進めて来た上でこのグループの周年に居合わせたら、どれほど思い溢れるんだろうかと、想像を馳せてなどみる。

最後にバックに映ったグループ名を見た時、やっと理解した。

「 実験型劇場 ミソラドエジソン 」

そうか。劇場か。物語を見せるのか。
物語を生き、魅せ、共有し、共にそこに存在し、過去に変え、これからを歩む。
妙に腑に落ちて、いたく感じ入った。私が身を置き挑戦している領域との、深い交点だ。これは、見届けなくちゃいけない。
ようやくミソラドを観る人間としてのスタートラインに立てたような気がした。

来て良かった。良質な時間を過ごした。
長いチェキ列に並びながら、このnoteを書くほどには、もうミソラドエジソンの「劇場」に足を踏み入れてしまっている。次の展開が楽しみだし、そこにはまた居合わせたい。
これからの活躍も、ぜひ見届けたいと思う。

BIGCATワンマンを"完売で"成功させたミソラドエジソン


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