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Paviaのお城の中にある市民博物館でSant'Agostinoの絵画を鑑賞する

先日、PaviaのCastello Visconteo(子爵城)の中にある市民博物館を訪れた。
市民博物館だけあり、サイトは市が運営しているようで、一般的な美術館のサイトのように充実してはいないが、一応リンクを載せておこう。

https://museicivici.comune.pv.it/site/home/i-musei.html
Castello Visconteo
住所: Viale XI Febbraio, 35, 27100 Pavia

お城の外観
展示のポスター


今回の見学の目的は、常設展ではなく、Sant'Agostinoという画家の展示である。

Agostino Santagostino(1635年 Milano - 1706年 Mandello del Lario)、画家ジャコモ・アントニオ(1588-1658)の子であり弟子の画家である。
1670年に「聖ペテロ殉教者の説教(una Predica di San Pietro Martire)」でデビューしたが、よりよく知られているのは「ピエトロ・クレリチの肖像(Ritratto di Pietro Clerici)」(1672年)と「聖ロレンツォの物語(le Storie di San Lorenzo)」(1684年)である。弟のジャチント・サンタゴスティーノもまた、尊敬を集める画家であった。Agostinoの広範なカタログは一部しか復元されておらず、弟のものと見分けがつきにくいものもある。

Wikipediaより意訳

お城は3階建てで、各階にだいたい2セクションずつ、時代やタイプ別の展示が行われており、このSant'Agostinoの展示は地上階のインスタレーションと、常設展の一部に取り込まれた関連する時代の画家の作品の展示、となっている。

展示は、まずはインスタレーションから始まる。

インスタレーションの入り口
内部は暗闇で、スクリーンに映された展示が2つあり、奥のスクリーンにあったものがこちら。
手前の大きなスクリーンの方は下の動画をご覧ください。

暗室を出て、お城の広い中庭を左手に見つつ、展示室へと移る。

中庭

まずは、考古学的な展示物としてローマ時代の土器や石器の部屋から始まるが、それらはお気にいりの作品の後に紹介することにする。

聖女Chiara、Francesco、Primo、Felicianoと四博士の戴冠式(1502-1512頃)、フレスコ画
もともと、Sant'Agata di MonteというPaviaの教会にあったものだそうだが、この教会は現在は存在せず、1895年に教会の壁から12パーツに分けてはがされた後、現在のように再構成された、という説明があった。
聖女Chiara、どうですか、厳かで美しいですよね
四博士のうちの2人
楽器がころっとして可愛い
お気に入りの天使たち

では、土器石器へ。
主にお墓から集められたもののようだ。

顔がついていて面白い
建物の装飾の一部①
建物の装飾の一部②
8世紀前半の建築の装飾の一部、子羊が可愛いから撮ってみた
11世紀の柱の上部を支える部分の装飾
2階への階段

2階へ移ろう。

お城の回廊の内部
Madonna addolorata(悲しみの聖母) 1410-1420年頃
そういうタイトルにもかかわらず、残っているのは左手の熊のみ
上で紹介したSant'Agostinoではなく聖人のSant'Agostino、1392年以前の作品
Santi Giacomo minore e Filippo(小聖ヤコブとフィリッポ)、1440-1450年
2人とも小人みたいで可愛い
聖女の服を着た婦人の肖像
Adorazione del Bambino(幼子礼拝)
女性像と男性の頭
この女性像、1521~23年にテーブルからはがして保存されたものだそうですが、柔らかな美しい色合いで、穏やかな表情で素敵だと思いませんか?こんなテーブルでご飯を食べたら、女の私でもリラックスできそう✨
奥さんが「今夜は私疲れているからご飯は作りませんでした。適当にカップラーメンでも食べていてください」という走り書きをチラシの上に残してさっさと寝てしまった夜、旦那はこの微笑みを見て「俺は本当はお前の作るまずい飯よりもこの女性に微笑まれながら食べるホカホカ弁当の方が好きだぜ」とか言うシーンが想像できる😆日本人特有の想像かもしれないけれど。
Madonna di Loreto e i 4 dottori della Chiesa(ロレートの聖母と4人の博士たち 1530年頃) Sebastiano Novelli作
Sant'Agostino con i Dottori della Chiesa(聖アウグスティヌスと教会博士たち 1530-1555年) Gerolamo Giovenone作
武装した男性の肖像
Matrimonio mistico di Santa Caterina d'Alessandria alla presenza di san Francesco(アレッサンドリアの聖カタリナの神秘的結婚、聖フランシスコの前で 1603年) Paolo Farinati作

宗教的な題材の一連の絵画の後は1700年代~1800年代の各種絵画、食器等の展示になる。

絵画が終わると、宮廷の図書室という名の隠れ家的部屋が待っているが、映像のみで展示はない。

3階へ。
3階は風景画と彫刻(主にFirenzeのUffizi美術館の作品のレプリカ)がメインのようである。

Pietro Ronzoni作の風景画、1844年
Costantino Rosa作「アルプスからの眺め」 1833年
Arianna abbandonata(放置されたアリアンナ 1853年) Giovanni Carnovali作
Pasquale Massacra作の女性の頭
近くから見ると、よりこの女性が美人だったことが分かる絵
L'Enigma umano(Il dolore - il silenzio - il piacere 人間の謎 痛み-静寂-快楽 1960年)
Giorgio Kienerk作
皆さんはどれがお好みですか?私は…静寂、かな?

お城の中だけあって、展示物の数も歩数も結構だった。
私はこの朝既に10km以上の散歩をしていたため、午後はいささか疲れており、一番興味が薄かった2階は息も絶え絶えな感じでササっと見て、3階で少し息を吹き返した感じだった。

見学し終わった後、監視員の30代後半から40代前半と思われる男性に、「ここは見たか、あそこは見たか」と確認され、「うん、うん」と素っ気なくうなずいたら、最初は親しい二人称「Tu」で話されていのに、それが気に食わないと思われたのか、丁寧な二人称「Lei」に替えられた😅
そんなことどっちでもいいわよ、と言ったら、「あっそう」とすぐに親しい二人称に替えられたが、私の前に出て行った男性には「出口はあちらですよ」としか言わなかったのに、全くイヤらしい男だな、と思った。
そういう風に思う時点で、私もかなり悪くイタリア人化した日本人のおばさんだと自覚した😂

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