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【医療コラム】もはや時代遅れの病院 パワハラ 紙カルテ 親のコネ コンプラ違反

■現代と20年前の医療業界の違い


病院経営はどこも厳しいでしょう。何しろ世間的に給料をあげようあげようと言っているのに、医療費は抑制されて、光熱費はかさんでいるのですから。医療費が上がらないことには、病院を経営するのはとても厳しい状態です。ですが医療費は上がらない、となるとやはり、病院は再編・淘汰されていく流れなのかもしれません。

今から20年ほど前、私が知る病院は経営が順調でした。研修医の頃は、給料明細を見て喜ぶこともあったものです。生きていくためにはお金が必要ですから。例えば、臨時で先輩の代わりにバイトに行った時は、もちろん給料もいつもより多めに入っています。それがとても嬉しいことでした。当時、今の奥さんとすでにお付き合いしていたので、給料が多い時には、金沢駅前のホテルで目の前で鉄板焼きをしてくれるレストランで食事をして、バーでお酒を飲んで、まったりするのが至上の楽しみでした。

それが何年もすると、当直した回数によって給料が多少変動するものの、そこまでお金にこだわることもなくなり、自分のやりたい医療ができるかどうかの方が重要となってきました。勤務していた病院経営も順調で人間関係も良好。私生活では子どもが生まれて、最終的には4人となったのですが、この先の医師人生は大きな変化はないのかなと思っていました。

ところがそうはいかないのが人生というものです。

■病院経営が難しくなった時


時代の流れで病院経営は厳しくなり始めていきます。病院もだんだんと医療費抑制であったり、近隣に評判の開業医ができたりして、少しずつ雲行きが怪しくなってきていました。そんな中、病院経営陣も変わり、これまでの病院の方針が変わり……と言うよりも変わらなければ立ち行かなかったのかもしれません。

「これからは、この病院は利益を重視します」
「1円でも収益をあげることが我々の使命です」

私のような末端医師には関係ないことだなと思っていました。ところが早々に面談が組まれたのです。

経営陣A「小児科もどんどん収益をあげてください。1人あたり大人は1000点が目標だけど、子どもはそうだなぁ800点かな?」
私「いえ。3歳以下ですと、この病院では包括ですから800点はいきません」
経営陣A「そうなのか?」
経営陣B「はい。そうです」
経営陣A「そうか。それはいいとして私には逆らわないことだ。わかったな」
そう言われても、血気盛んな私は黙ってなどいません。
私「逆らうとどうかなるのでしょうか?」
経営陣A「まぁ。クビか出世はないな」
経営陣B「いや。クビは無理でしょう。そういう時代ではないですから」
経営陣A「そうか」
私「私は大学からの派遣で役職はつかない契約ですけど……」
経営陣A「とにかくわかったな!」
あまりに無茶苦茶なことを言ってくる経営陣に、私は呆れて、思わず失笑してしまいました。

■何が悪くてこうなったのかを理解できていない人たち


株式上場していないような中小企業で、社長がふんぞり返っているのはきっとこういうことなのでしょう。利益を追求して、外来でできる検査も1泊検査入院するなどして保険点数をカサマシする。不要な検査で利益を生み出そうとするのは、何も知らない患者さんに申し訳ありません。また職員のことを二の次にすれば、職員から組織への気持ちは遠のいていくことになります。難しいところです。しかし、コロナ禍において病院は、病院経営陣の思うつぼのように利益を追求しなければならないぐらい経営が一気に傾きました。

なのに人口当たりの病床数世界一の日本で、コロナ病床がひっ迫。経済開発協力機構(OECD)がまとめた最近のデータによると、人口1,000人当たりの病床数は日本が13.0床で、1位なのにです。私は2019年に厚生労働省が発表して問題となった、「病院再編リスト」は正しい考えだと思います。医療従事者は資格があり、再雇用の機会が与えられています。一時的な混乱はあるものの、病院の統廃合など再編は必須です。

マイナンバーカードに搭載される電子証明書(公的個人認証サービス)も受け入れられず、海外に比べて電子決済も進まず、バブル期の日本の自動車、家電の技術大国におぼれて技術革新進まず、落ちぶれた日本そのものです。

国の為政者は国民に説明をして、しっかりとしたかじ取りをしてこなかった。中国古来の考え方では、天変地異が起こるのは為政者が悪いからとする現在の日本そして世界情勢に思うのです。

設備投資もしないで、雨漏り。カルテは紙カルテ。場所を取るので、2年たつと自動的にカルテの一部は倉庫へとしまわれてしまう。そんな病院でした。利益ばかり追求して、医学的に正しいことはしない。職員を大切にしないパワハラな院長など経営陣と親の七光りでやってきた事務長。
だから辞めていく職員続出。当たり前の結果だと思います。

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