⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆

ききわけ　の　いい

女の子　は

泣いたり　しなかった

ききわけ　の　いい

女の子　は

わがまま　を　言ったり　しなかった

ききわけ　の　いい

女の子　は

いつも　ものがたり　を　編みながら

おるすばん　を　していた

女の子　は

いつも

待って　いた

そう

いつも

いつも‥‥

My Dear Little Sweetheart
/ Johnny Smith

女の子　の　すみか　は

カーテン　の　陰　だったり

テーブルクロス　の　下　だったり

絵本　の　挿絵　の　中　だったり

夜　に　なると

ひとり　で　眠っていた

まだ　見ぬ　きみ　を

待ちながら‥‥

「　これ　は　ご褒美　だよ　」

「　いつも　ひとり　で

おりこうさん　に　してるから　」

ききわけ　の　いい

女の子　に

やわらか　な　やわらか　な

レース　の　リボン　を　かけて

魔法使い　は

この　曲　を

女の子　に　手渡した

「　これ　で　もう　ひとり　じゃない　よ　」

そう　言い　のこして

魔法使い　は

碧い　月　が　浮かぶ　夜空　へ　と

とけて　いった

ききわけ　の　いい　女の子　は

その　日　から

涙　が　溢れる　ように　なり

「　さびしい　」と　言える　ように　なり

おるすばん　も　きらい　に　なった‥‥

やっと　やっと

ほんとう　を　思える　よう　に

ほんとう　を　言える　よう　に

なった　頃

きみ　が　訪ねて　きた

テーブルクロス　の　そと側　で

「　ぼく　も　中　に　入って　いい　？　」

はじめて　きく　声

だけど

なつかしく　て

待ち焦がれ　て

やっぱり　涙　が　溢れた

女の子　が　

「　いい　よ　」　と

うなずく　より　も　はやく

きみ　は　女の子　の　涙　を

ひとさし指　で

ぬぐって　いた

そんな

おとぎ話　を

きみ　に　書いたんだ‥‥

📕⁺₊
₊⁺

✧︎

李朱
𓂃◌𓈒𓏲𓆸