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【生成AI入門】ディープラーニング(深層学習)とは?

皆さまこんにちは。2020年に新卒として株式会社コンピュータマネジメントに入社し、Webマーケティングを担当している入社4年目のMです。

前回記事では、ChatGPTなどのテキスト生成AIの基盤となっている仕組み「大規模言語モデル(LLM)」についてご紹介しました。

ここでもう1つ、ChatGPTが実は「ディープラーニング(深層学習)」の技術を応用して構築された自然言語処理モデルであることをご存知でしょうか?

ChatGPTは、ディープラーニングによって大量のテキストデータに含まれる自然言語(=人間が生活の中で日常的に使っている言語)のパターンを学習し、その情報をもとに高度な文章生成を行っています。

ディープラーニングについては、2016年にディープラーニングを用いた囲碁AIソフトがプロのトップ棋士に勝利したと一時期話題になりましたが、「そもそもディープラーニングの仕組みがよく分からない・・・」という方も多いのではないかと思います。

そこで今回は、今AI分野で注目度がますます高まっている「ディープラーニング(深層学習)」について、簡単に解説していきたいと思います!


ディープラーニングとは?

「ディープラーニング(深層学習)」とは、多層化した「ニューラルネットワーク」と呼ばれるモデルを用いて、AIが大量の学習データから自動でデータの特徴を抽出できるようにした機械学習の手法の1つです。

ディープラーニングによって、従来の機械学習では難しかった複雑で扱いづらいデータの処理が可能になり、分析の精度が大幅に向上しました。

ディープラーニングの仕組み

ディープラーニングでは、機械学習の代表的なアルゴリズムである「ニューラルネットワーク(NN)」をさらに多層構造化した「ディープニューラルネットワーク(DNN)」を用いて学習を行います。

「ニューラルネットワーク」とは、人間の脳を構成する神経細胞「ニューロン」の構造と働きを参考にして作られたモデルのことです。
人間の脳では、たくさんのニューロンがお互いに複雑に結合し合って情報の処理や伝達が行われていると考えられており、その仕組みを真似てモデル化されています。

ニューラルネットワークは、「入力層」「中間層(隠れ層)」「出力層」の3種類で構成されており、ディープラーニングではこの中でも「中間層(隠れ層)」の数を何層にも増やすことで、より複雑な処理を実現しています。

「中間層(隠れ層)」が多層(=ディープ)になっているからこそ、「ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれているんですね。

・入力層:外部からデータを受け取る
・中間層(隠れ層):入力されたデータを分析し、データの重要度に応じて「重み付け」を行う
・出力層:分析を踏まえて結果を出力する

ニューラルネットワーク
(※ディープラーニングでは、中間層(隠れ層)が何層にも重なっている)

機械学習との違い

「ディープラーニング」と似た言葉に「AI(人工知能)」や「機械学習」がありますが、概念の広さで言うと「AI>機械学習>ディープラーニング」という関係です。

また、「ニューラルネットワーク」は機械学習の際に用いられるモデルの一種で、ニューラルネットワークの構造をより複雑にしたものがディープラーニングなので、全体の関係性は「AI>機械学習>ニューラルネットワーク>ディープラーニング」となります。

・AI(人工知能):コンピューターに人間の知的能力を持たせることを目的とした技術やシステム。
・機械学習:事前に与えられたデータからAIがルールやパターンを学習し、その結果をもとに予測・分類といった特定のタスクを実行すること。
・ディープラーニング:機械学習の手法の1つ。ニューラルネットワークのうち、データ分析を受け持つ「中間層(隠れ層)」を多層化し、複雑な情報処理を可能にしたもの。

「機械学習」「ディープラーニング」の関係性

そして、ディープラーニングと機械学習の最大の違いは、データの判別に必要な「特徴量」が自動で抽出できるか否かです。
特徴量とは、データの識別・分類に必要な情報のことで、例えば画像認識であれば「色」や「形」が特徴量として扱われます。

機械学習では、データを分類する際にどの数値に着目すべきかなど、事前に人が特徴量を指定しなければなりませんでした。
そのため、画像や音声、テキストのような、複雑な設計が必要で人の手では特徴量の指定が難しかったデータは、取り扱いが非常に困難でした。

一方、ディープラーニングでは、入力されたデータがニューラルネットワーク内の「中間層(隠れ層)」を経由するうちに、データの判別に必要な特徴量が自動で抽出されます。

今まで、機械学習では活用が難しかった画像や音声、テキストデータも、ディープラーニングによりAI自身が直接データの特徴を捉えることができるようになったのです。

ディープラーニングの活用事例

ディープラーニングは、具体的にどのような場面で活用されているのか見ていきましょう。

画像認識

入力された画像(動画)の特徴を抽出し、何の画像なのかを分類・判断する技術です。

【利用シーンの具体例】
・顔認証(不審者の検知)
・手書き文字の認識
・オンライン画像検索
・自動運転(標識や信号機、歩行者などの検知)
・製造業における不良品や不純物の検出
・医療検査(がん細胞などの検出)

音声認識

入力された音声を認識してテキストへ出力したり、話している人が誰か識別したりする技術です。

【利用シーンの具体例】
・スマホの音声アシスタント(Siri、Alexaなど)
・ホームアシスタントデバイス(人の声に反応して命令を実行する家電)
・スマートスピーカー(AIスピーカー)
・会議の議事録作成
・問い合わせ内容の書き起こし
・コールセンター(オペレーターのサポート・ボイスチャットなど)

自然言語処理

人間が日常的に使っている話し言葉や書き言葉(=自然言語)をコンピューターに理解・処理させる技術です。

【利用シーンの具体例】
・自動翻訳(DeepL翻訳など)
・質問への回答(チャットボットなど)
・文章の要約、校正
・SNSなどの投稿内容の分析
・カスタマーサービスでの問い合わせ対応

異常検知

ロボットなどに取り付けられたセンサーから得られるデータを、過去のデータと照らし合わせて、異常の兆候を検知する技術です。

【利用シーンの具体例】
・セキュリティ監視(クレジットカードの不正利用や詐欺行為の検知)
・製造現場での故障や異常動作などの検知

シミュレーション

蓄積された過去のデータをもとに、製品・サービスの需要量や株価などの将来的な予測を行う技術です。

【利用シーンの具体例】
・おすすめの表示
・需要予測
・来客予測
・株価予測
・危険予測(自動運転の異常探知)

まとめ

今回は、ChatGPTのような生成AIにも活用されている「ディープラーニング(深層学習)」の仕組みや活用例についてご紹介しました。

画像や音声、テキストのような、従来の機械学習では取り扱いが難しかったデータを、ディープラーニングによってAI「自ら」解析できるようになっていたとは・・・!技術の進歩の凄さを目の当たりにしました。

それでは今回はこの辺で。次回のnoteもお楽しみに!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!


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