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手癖で文章を書くのはやめよう

毎日noteを書いていると、書きたいことが特に思い当たらなかったり、公開した後に過去に自分で書いた同じような記事を見つけてしまったりということが起きる。そんなときに書く文章は、ちゃんと頭が動いていない感じがする。電話中に書いてしまう落書きのように、取り合えず文章っぽいものを手癖で書いているだけのように感じることがある。

このままじゃまずいと思っている時に読み始めたのが、『コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術』だった。

この本では、文章を書くときの小手先のテクニックの紹介がされているわけではなく、言葉を使うこと自体について考えていく内容となっている。だから、手癖で書くことを辞めたいと思っている私にぴったりの本だった。

本書を読み進めながら、今まで言葉を軽くみてしまっていたことに気付き、反省した。手癖で文章を書いてしまうことがどんなに無意味なことであったのか痛感した。

中でも印象的だったのは、「素敵禁止」の項目だ。「素敵」という言葉は使いやすい。私も誰かの文章や作品を見て感動し、感想を伝えたいと思ったとき、「素敵」を多用してしまう。しかし、その感動は果たして「素敵」の一語だけで片付けられるものなのかというと、そうではない。つまり、そのときの想いに適した言葉を探し当てる手間を省いて、楽をしているのだ。

著者の阿部さんは、素敵を「可憐」と言い換えて表現した後、言葉の意味を調べてそのときの想いに適した言葉ではなかったことに気づかれたそうだ。そうやって間違いながらも、言葉を妥協せずに選べばいいのだ。それが自分の文章になっていけば、手癖でなく、心をつかむ文章を書くことができるようになっていくだろう。

そしてもうひとつ、「悲鳴だけでは共感されない」の項目にも心打たれた。理不尽なことに抵抗したいときや、納得のいかないことが起きたとき、声を上げることは大切なことだ。だけど、ただの悲鳴だけでは人に想いを伝播させることはできない。自分の心の奥底にある気持ちを丁寧に読み取って、それを言葉にしなければいけないのだ。

声を上げることだけでも相当な勇気が必要だけど、さらにもう一歩、自分の本心を丁寧に言葉にすることが、相手の共感につながっていく。伝わるまでに時間がかかったり、もしかしたら伝わっても理解してもらえなかったりするかも知れない。声を上げていくときには辛いこともあるけれど、感情的になってしまう時こそ、伝えたいことは丁寧に言葉にしたいと思った。

この本を読むまでは、「毎日文章を書いているからたまには手癖で書いてしまってもいいや」という思いが少なからずあった。違う、逆だ。手癖で書くくらいなら毎日文章を書く必要なんてないのだ。

脳が思うように動かないこともあるだろうけど、そんな時でも、言葉を使うことに妥協せずに文章を書いていきたい。毎日投稿を言い訳にせず、1年間毎日書き切った時に心をつかむ文章を書けるように、一つひとつの文章を大切にしていきたいと思った。

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