アンナチュラル最終回 「あなたの孤独に心から同情します」
アンナチュラル、見ていました。
最終回で美澄ミコトがシリアルキラーの高瀬に向かって法廷で言った台詞(下記はうろ覚えなので大体の意味を書き起こしたもの)に思わぬところでグサッと刺されました。
「あなたの不幸な生い立ちなんてどうでもいい、ここにはただ人が傷つけられたと言う事実があるだけ。30過ぎてもまだ、母親の幻影に苦しめられている。あなたは子供です。可哀想な人です。あなたの孤独に心から同情します」
「どうしてお母さんは自分の身勝手で家族を、私を殺そうとしたんだろう」という疑問と一生戦わなければならない、一家心中の唯一の生還者であるミコトがいうからこそ重たい言葉です。
ミコトにはたまたま運良く「美澄の家」という救済がありましたが、母親に虐待され歪んだ精神をもった高瀬の姿は、もしかしたら母親への怒りを癒すこともできず、抑えられなくなったミコトの姿であったかもしれないのです。
「あなたの孤独に心から同情します」というミコトの言葉は嫌味でも何でもなく、母親から受けた傷への救済も癒しもなく、孤独を募らせ壊れてしまった高瀬に対しての心からの言葉だったと思います。
「30歳すぎて親のことが許せないやつは馬鹿」と北野武も言っているそうで、私もこれには同意したいです。
ひどいことをした親を許してやる必要なんかない、それだけのことをされたんだから。こう思いたい気持ちもあります。
でも、子供の頃親にされたことにとらわれたまま、30歳からの人生、「大人」としての人生を生きるのは確かに損だとおもうのです。
30歳の人間というのは、親の保護がなければ生きていけない子供ではなく、自分の人生を自分で構築して行くことのできる大人です(中には様々な理由からどうしてもその支配から逃げられない環境にいる方もいると思いますが…)
もう自分の好きに生きていいのに、気がついたら親にされたことでいつまでも苦しんでいる。我ながら馬鹿馬鹿しいことだと思います。時間の無駄です。ましてや私の父は存命しているとはいえ、早々に離婚を決断してくれた母のおかげでもう私の人生にはいないのですから。
傷ついた私の心を、誰かを同じように傷つけることや、身代わりを見立てて復讐の真似事をすることで癒すなんてそれこそとんでもないことです。
親を選んで生まれてくることは不可能です。でも、親の保護から離れた大人になった今、これからの人生は自分で選ぶことができます。
もう誰かに頼らなくても自由に生きていけるように、私は専門学校を卒業した後はすぐ就職して同じ職場で10年以上働いています。夫に選んだのは、父とは似ても似つかない、とても優しく穏やかな男性です。
子供が生まれたら、大人に当たり前のように甘えられる、不安とは無縁の子供時代を過ごさせてあげたい。大人が手を上げるときは頭を撫でてくれる時だし、両手をあげれば当たり前のように抱きかかえてもらえる。親は自分を愛してくれて当然。そう信じて疑わない育ち方をしてほしい(ベタベタに甘やかすという意味ではなく…)
私の孤独はまだ解消されたわけではないし、もしかしたら一生解消されるものではないかもしれないけどそれでもせめて、「親の支配」からはもう抜け出さなければなと思ったのでした。
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