ぬかるみに沈んでいく昼下がりに
PMSとおぼしき症状がやってきた。ずっと生理痛とは無縁で過ごしてきた私も、この2年くらい、月経前の不調に悩まされている。
婦人科で処方していただいた漢方薬を服用することで、ずいぶんましにはなった。それでも、3ヶ月に一度くらいはひどい波が身に打ち寄せてくる。
私の場合、「あ、腰が痛くなったな」と感じたら、とんでもないネガティブ思考の沼にはまるのがいつものパターン。朝起きたらもう気分がどんよりしているし、腰は痛いし……で、考えがいい方向には向かわない状況になる。
数日前がまさにそんなタイミングだった。「ああ、私の人生どこでどう間違ってこうなってしまったんだろう」とか、ふだんならまず陥らない思考回路にどっぷり。だってねえ、よく考えたら、私の人生、災難が降りかかったこともあったけど、いまとなってはそんな悪くないと思うし。
でも、PMSだろうと思われる不調を抱えるようになって、ちょっぴりよかったと思うときもある。PMSや月経時の苦痛に悩む女性の気持ちがやっとわかったからだ。
会社員時代、ロッカールームで休んでいた同僚のことを思い出す。「生理でお腹が痛くて」と、白い顔をして、すみっこの畳の上に座っていた彼女。
「大丈夫? あっためると治る? カイロなら、私のロッカーにあるよ」。私は彼女にそれくらいしか言えなかった。当時の私は、生理痛で悩んだことがなかった。
いまなら、もっと別の言葉がかけられるかもしれない。少なくとも、もうちょっとくらい、彼女のつらさを推しはかれるだろう。もちろん、しんどいときに寄り添ってほしい人、放っておいてほしい人、彼女がどちらのタイプかにもよるけれど。
味わってみないと理解が及ばない類の苦痛は、世のなかにたくさんある。その一つを得て、自分がいかに無神経だったかと反省もしている。誰かを傷つけてしまったこともあっただろうなあ、と思う。
病を得ると、自省的になれることがある。それまでの自分をかえりみることで、これからはほかの人にも優しくしようと思える。
ここのところ、痛みとネガティブシンキングというぬかるみの中でもがきながら、そんなことを考えている。とりあえず、あったかいハニージンジャーティーが飲みたい昼下がり。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?