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自分を責めてしまうあなたへ:嫌悪感

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今から思い返せばあれはとても大事な感覚だったなと思うのだけれど、三度目に彼に会った時、私は彼にひどく嫌悪感を感じた。
早くこの人から離れたい、顔を見るのも見られるのも嫌だ、と思ったのだった。

私は本来、そんなに人を忌み嫌ったりする人間ではない。
どちらかというと、どんな人の中にも長所を見つけたいと思いながら人付き合いをするタイプだ。
縁があって知り合ったのだもの、できれば仲良くなりたい。
しかも彼は私に好意を持ってくれてまでいるのだ。
それなのに、その日の私は、彼に対してはっきりと嫌な顔を向け続けてしまった。
その日に彼が私を撮った写真が何十枚もあるのだけれど、どの私も横を向いたり背を向けたりしていて、一枚もカメラを見ているものがない。

それはまだ出会ってから間もなくのこと、初めて長い時間一緒に過ごした日だった。
私の仕事に人手が足りなくなって、彼にその仕事をお願いすることにしたのだ。
総勢15人ほどのチームで地方に3日ほど滞在する仕事だった。
しかし合流してすぐに、彼に頼んだのは私のミスだった、と後悔することになった。
私の方はまだ「仲良くなってみましょう」の段階だったし、仕事として頼んでいるのだからけじめをつけて行動をしてくれると思っていたのに、彼は明らかに浮かれていて、仕事に集中していなかったのだ。
人が見ている時にだけ真面目に働いている素振りを見せて、周りが気づいていないと思えば休んだり、私に嬉しそうに目配せを送ってきたりした。
一緒に仕事をしている人たちはみんな彼の挙動に気づいていたと思う。

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