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鳥居⛩めぐる 其ノ6「霧島神宮」

 鹿児島県霧島市の霧島神宮。
主祭神は「天饒石国饒石天津日高彦火瓊瓊杵尊」(あめにぎしくににぎしあまつひたかひこほのににぎのみこと)
別名瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)とも言われている。
正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命(まさかあかつはやびあまのおしほみみのみこと)と萬幡豊秋津師比売命(よろずはたとよあきつしひめのみこと)との間に天火明命(あめのほあかりのみこと)に続いて生まれたのが瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)である。天照大御神(あまてらすおおみかみ)の孫でもある。
「霧島神宮史」によると、神名に冠される「天饒石国饒石」とは、天上世界と地上世界とがともに賑々しく栄えるさまをあらわし、「天津日高」は、太陽が空高く照り輝く意味である。稲穂の神、農業神である。

 瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)は、日本神話に於いて重要な神であり「天孫」「皇孫」としても知られている。「古事記」によると最初、天照大御神(あまてらすおおみかみ)と高木神(たかぎのかみ)は、天忍穂耳命(あまのおしほみみのみこと)に天降りをさせることを考えていた。天忍穂耳命(あまのおしほみみのみこと)はその支度をしているところに、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が生まれたため、父に代わって天降りの指令を受けることになる。そして瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)は、八尺の勾玉(まがたま)・鏡・草那芸釼(くさなぎのつるぎ)の神宝と稲穂、随伴神を従えて筑紫の高千穂に降臨、国土統治へと向かうことになった。日向三代のはじまりである。

手水舎


降臨されたあと、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)は、大山津見神(おおやまつみのかみ)の娘で、国の中で一番美しい木花咲耶姫尊(このはなさくやひめ)と「海濱」(うみへた)(吾田の笠紗の岬)で出会う。父の大山津見神(おおやまつみのかみ)は木花咲耶姫尊(このはなさくやひめ)と姉の石長比売(いはながひめ)と共に天孫に貢進されたが、姉神はみにくかったために返された。岩の如く永遠不滅の象徴だった石長比売(いはながひめ)を返したことによって、天皇の短命(古事記)、人間一般の短命(日本書紀)がもたらされたという。

さざれ石 原産地の岐阜県から奉納された。小さな石が集まって大きな岩となる。


木花咲耶姫尊(このはなさくやひめ)との御子に、彦火火出見命(ひこほほでみのみこと)別名、火遠理命(ひをりのみこと)とその兄の火照命(ほでりのみこと)、火須勢理命(ほすせりのみこと)の三神がいる。
一夜婚、一宿妊、火中出生は有名である。瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)は、一夜の交わりで妊娠したことに対して、本当に自分の子かと疑う。木花咲耶姫尊(このはなさくやひめ)は「天孫の子ならば無事に生まれるでしょう」といい、出入り口のない産屋をつくり、室内を壁土でぬり、産屋に火を放って、火の中で三人の御子を産み奉った神話は有名である。

樹齢800年といわれる杉の御神木



 現代であれば、夫が姉を「みにくい」との理由で親元に返したときに、妻は離婚届を手元に準備し、夫が「私の子かと疑った」ときに妻は、離婚届に必要事項を記入する。出入り口のない産屋で、火中出産を「阻止しない」夫を確認したら、妻は離婚届に捺印し、家を出る流れになると思う。神様の世界は考え深く、想像力が豊かになる。

招霊木(おがたまのき)

 古事記は1300年前、太安万侶(おおのやすまろ)という人が、稗田阿礼(ひえだあれ)という語り部(かたりべ)の言葉を聞きそれをシナ(中国)から入ってきた文字を使って書きあらわせたもの。古事記ははるか昔に、神様が音声で詠じたものといわれている。つまり、神様のお言葉として神代の昔から代々、大切に詠じられながら伝えられたのが原点だという。
降臨の様子や、そのほかの神話を描く諸伝承は「古事記」や「日本書紀」をはじめ多々あるが、記述があった時代背景や、それらに関わった人々の人間性にも思いをはせて、神話を楽しんでいきたい。

三の鳥居

瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)を祭神とする主な神社
高千穂神社
宮崎県西臼杵郡高千穂町三田井1037
新田神社
鹿児島県薩摩川内市1935-2

霧島神宮
所在地: 鹿児島県霧島市霧島田口2608-5



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