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あなたは人が成長するために必要な「建設的な対立」をしていますか?

こんにちは!

こしあんです。

今回は、職場でも家庭でも必要な「対立」についての話をします。


多くの人は「対立」という言葉から連想するものにあまり良いイメージはないかもしれません。

しかしお互いの意見を言い合うのは多様性が進む中で避けられないものでもあり、より良いものを作るうえで大切なことでもあります。
オーストラリアの組織心理学者カレン・ジェーンによれば、人がする「対立」には大きく2つあります。

一つは「リレーションシップ・コンフリクト」でもう一つは「タスク・コンフリクト」です。

聞きなれない言葉ですが、リレーションシップ・コンフリクトは人間関係で起こる対立を指します。
簡単に言うと敵味方に分かれて「あのヤロー!」とバチバチやっている感じですね。
ヤンキースのファンvsレッドソックスのファンといったものから、会社の部署の違い、組合の違いなどでも起こったりします。
内集団と外集団といった感じです。

一方、タスク・コンフリクトは異なる意見がぶつかり合う理性的な対立のことを言います。
「今日の夕食なんにしようか?」といった事から、子どもの「名付け」といった事まで含まれます。
対立というより意見の出し合いといったニュアンスが強いかもしれませんね。

この二つの対立ですが、やはりもたらす効果が異なります。


【組織での対立】

組織心理学者アダム・グラントの実験で、シリコン・バレーで「対立」に関する調査をしたものがあります。
これによれば、建設的な意見を出し合うのではなくお互いを罵り合うことが多いチームは生産性が低いことがわかりました。

想像しやすいかもしれませんが、リレーションシップ・コンフリクトが多いチームは早い段階でメンバー間の確執が生まれています。
時間が経つにつれお互いを嫌悪し、言葉を交わそうとしなくなりました。

その後、人間関係の問題を克服するのに数か月かかり、重要な決断を下すための議論を始めようとする頃には再考したり、針路を変える時間もなくプロジェクトが進んでいないことが多かったと言います。

逆に生産性の高いグループはタスク・コンフリクトが多く、プロジェクト期間中、感情的な対立は少なかったと言います。
なかには「反対意見が少なかっただけ?」とか、「話し合い自体が少なかったのでは?」と考える人もいるかもしれません。

しかし、生産性が高いチームほどメンバーは最初から躊躇することなく意見を戦わせています。
問題が浮上する度に論議し、意見の相違を調整し、任務を遂行しています。

また、様々な「対立」を研究したものをメタ分析した結果、リレーションシップ・コンフリクトは生産性を損ねるが、タスク・コンフリクトは創造性の豊かさや賢明な決断と密接に関係していました。

当たり前かもしれませんが、お互いが罵り合うような職場では生産性は上がりません。

そして、意外にも対立が起きない場合も危険なんです。

研究チームは「対立が起こらない場合、それは協調性ではなく、無関心さによるものだ」と言っています。

所謂、「事なかれ主義」ですね。
対立が起こって雰囲気が悪くなるよりは、「何も言わないほうが良い」と考えその場をやり過ごします。

ただ、これは職場の雰囲気に左右されることもあるかもしれません。
「余計なことを言うな!」という空気だったり、「言われたことだけやっていればいい」とハッキリいう職場もあります。
また、会社がトップダウン方式で意見を言う機会がない場合もあります。


【家庭での対立】

建設的に話し合う事が大切なのは誰もが知っています。
でも、なかなかできない現状があります。
つい、相手のことを追い詰めるような言い方になってしまったり、こちらの意見に賛成するように誘導してしまうことがあります。

しかし、なぜ建設的に話ができなのか?

「そういう性格だから?」「自分が正しいことを証明したいから?」と、いろんなことが考えられますがその要因の一つに、私たちが子どもの頃そういった「対立」を見て育っていないという事も考えられます。

このような意見のやり取りを知らずに育った場合、子どもにどういった影響を与えるのか?

たとえば、家庭内で親同士の意見が食い違うとき、議論は子供のいない場所で行なわれることが多いのではないでしょうか?

親からすれば、「両親が口論している所を見せるのは子どもを不安にさせたり、精神的に良くない」と考えるかもしれません。
なので「今、お父さんとお母さんは大事な話をしてるから」とか「子どもはあっちに行ってなさい」なんて言ってしまいます。

しかしある調査によれば、両親が頻繁に議論していたとしてもそれが子供の学力、社交性、心の発達に影響することは全くないそうです。

大事なことは、議論や対立の頻度ではなく、親が相手に敬意を払いつつ議論をしているかどうかにかかっています。

実は、両親の建設的な意見の対立を見ている子どもは、むしろ小学校でも精神的に安定していて、その後の学校生活でもクラスメイトを思いやり、進んで手助けをする傾向にあります。

また、「前向きに議論すること」は創造性にも繋がります。

建築家を調査した研究によれば、極めてクリエイティブな建築家の多くが、優れた技術を有していてもさほど独創的ではない同業者と比べて、摩擦や軋轢の多い家庭環境で育ったと言います。

心理学者ロバート・アルバートによれば、「彼らの多くが、緊張した雰囲気ではあるが不安のない」家庭環境で育っています。

このような家庭の両親は、対立を避けたりしませんが、暴力を振るったり、暴言を吐いたりもしません。
子どもに対しても「話に首を突っ込むな」と教えるのではなく、人に対して反論することと、反論を受け止めることを教えます。

では、「親が一人しかいなかった場合どうなるのか?」といった疑問も出てきます。

残念ながら、研究では片親だった場合の調査が書かれていないので正確なことはわかりません。
ただ、親同士の「対立」を体験することができなので、積極的に子どもと意見を出し合う場を作る必要があるかもしれません。

それができたとしても一つ気になる点があります。
それは、親と子では「力関係」がハッキリしていることです。

夫婦間では対等かもしれませんが、どうしても親と子では意見が一方通行になる可能性があります。

そのため、親が子どもの意見に真摯に向き合い、親が間違っていた場合はそれを素直に認め、子どもの意見を尊重するといったことができなければ「対立」が成立しません。

これはなかなか難易度が高いかもしれませんね。

仕事や家のことで精神的に疲れているのに「子どもの話に耳を傾ける」という行為はかなりキツイこともあります。

つい、「うるさい!」と言ってしまう人もいるのではないでしょうか。

しかし、職場でも、家庭でも建設的な議論をするためには「心理的安全」が欠かせません。

これは、違う意見や考えをお互いにぶつけ合える場所であり、それらを吸収することができる環境のことを言います。
この心理的安全ですが、家族がいつもニコニコして、特に言い争いがないような環境のことではありません。
この安全性はそのような「仲良しこよし」とは少し違います。

また、自分の考えが頭ごなしに否定されたり、バカにされたりすれば「心理的安全性」はなくなってしまいます。
否定的なフィードバックしか受け取れない場所で「意見」することなんてできませんよね。

交渉人を調査したある研究では、一流の交渉人と言われる人ほど「攻撃」や「反撃」に出ることが少ないことがわかっています。
そのかわり、交渉相手への関心を示し、質問を投げかけます。
断言するような語調ではなく、相手を圧倒するようなこともありません。

建設的な話し合いがしたければ、自分を「一流の交渉人」だと考えてみてください。

そうすれば、たとえあなたの意見を否定されたとしても、感情的にならず相手の意見を聞く余裕ができるかもしれません。

意見が対立したとき「今どっちの対立が起きている?」と考えることは大切です。
相手をやり込めようとしたり、性格なども一緒にして問題点を指摘するのは間違いです。

そんな時は、「相手の意見を聞き入れる心の準備があるのか?」と自分に問いただしてみるのも良いかもしれませんね。


今回はここまで

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最後までお読みいただきありがとうございます。

それではまた次回お会いしましょう。

※この記事は読んだ本をもとに考察し、私の経験したことなども踏まえて書いています。
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