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【株式会社CotoLab.】トピックスレポート 5月度

こんにちは!デジタルマーケティング事業部の山本です。
今月も、デジタルマーケティング事業部にて取り組んでおりますトッピクスレポートを社外の皆さまにもお届けします!

トピックスレポートとは音楽マーケティングに関して、また、音楽に捉われずマーケティングやブランディング、SNSやWeb3、広告/PRといったカテゴリなど、各々の興味関心ごとを毎月事業部、社内にレポートするCotoLab.ならではの取り組みになります。

今月は下記8つをご紹介します。海外、音楽テクノロジー、SNS、映像作品に関連するマーケティングの取り組みなどにフォーカスした内容となっています!


1. コンテンツの力をブーストさせるマーケティングフェイクドキュメンタリー「Q」

フェイクドキュメンタリー「Q」はこれまでのホラーには存在し得なかった、コンテンツの強さのみではなくその力をブーストさせる意欲的なマーケティングの実現しています。

作品概要

今作は2021年春に始まったYouTubeで公開されているホラーシリーズ。『監死カメラ』シリーズ監督寺内康太郎氏、ホラードキュメンタリーディレクター皆口大輝氏など、「Jホラー」における新たな表現を試みる若手作家陣が中心に制作されているます。現在までにシーズン1(全12エピソード+特別編)およびシーズン2のエピソード4まで公開中。

試聴における“仕掛け”

YouTubeで視聴されることを前提とした「Q」はその使用を最大限に活用することでコンテンツの力を高めています。動画内の字幕だけでなく、Youtube字幕表示をオンにするとより小さな音声やノイズまで文字として確認ができ、繰り返し試聴を促す仕掛けになっています。また、動画タイトル、説明文、字幕は全て英語版も用意されているため、考察やコメントには海外ユーザーも数多いです。日本のホラーファンという狭いコミュニティに限らず、「Jホラー」「Analog Horror」ファンの流入を国籍問わず促すことができます。

考察に”耐える”強度を持つコンテンツ:

動画内に登場するアイテムは全てその映像が撮影されていた年代のものや背景を踏まえたものを使用しており、考察に際しての余分な違和感を全て払拭しています。また「Q」は怪異の原因を決して特定しません。それにより日本以外の文化圏の人々にも自由な考察を行える自由度も与えています。

2.サンプリングとテクノロジー

既存の楽曲の一部を再利用する”サンプリング”という制作手法はレゲエやヒップホップの現場において発展を遂げ、現在ではジャンルや用途問わず数多くの楽曲で用いられています。

サンプリングとは

音源の一部を抜き出し加工して制作を行うという手法がゆえ、サンプラーと呼ばれる機材やDTM(デスクトップミュージック)などテクノロジーの進歩と共に用いられる技術も発展しました。

起こりうる問題

サンプリングは頻繁に用いられる一方、行為自体がそもそもアナーキーなため、リリースについてはさまざまな権利問題がついて回ることも少なくありません。

現代のサンプリング

Tracklib: Tracklibはサンプリングにおける権利問題をこれまでよりもはるかに縮小できる可能性を持ったサービスです。サンプリングされる側と行う側の間での許諾、クレジット、収入の配分といったやりとりをサービス上で完結させることができます。

https://splice.com/features/sounds

詳しくはこちらの記事をご覧ください!

3.ストリーミングとクレジットの問題

フィジカル製品に同梱される楽曲クレジット、一般的にアレンジャーや演奏者、エンジニア、プロデューサーなどが記載されますが、ストリーミングサービスにはそのような楽曲情報の記載がない場合もあります。アルゴリズムによるレコメンドが発達する一方、リスナーの主体的なリスニングへの探究の可能性はあっけなく閉ざされてしまっています。

ストリーミングサービスの現状 各社比較

TIDAL: プロデューサーや作曲家やエンジニア、サンプル元情報などを記載する、密度の濃い楽曲情報を提供し、クレジットでは全ストリーミングサービスにおいてもトップの情報量を誇っています。

Sporify: クレジットは閲覧できるものの、項目や記載は配信者側に全面的に任せられており、内容の差は大きいです。
YouTube: 公式のみでなくUGCの動画でもクレジットが表示され、公式動画へのリンクが自動挿入されます。ユーザー側はアーティスト情報を簡単に探し出せ、アーティスト側はユーザー投稿動画から公式動画への誘導が簡単に行える仕組みになっています。

リスナーがアクセスできる情報ツール

ストリーミングにおけるライセンス管理の難しさが存在し、出版における全関係者に関する情報を追跡するのは現実的には困難であるため、レーベル(または配信者)に全面的に任せる形式をとっている場合が多いです。DiscogeRate your musicRedditなどの音楽アーカイブサイトを用いることでユーザーが投稿したクレジット情報を探すことも可能です。

4. Cochella 2023

4/14金曜からの3日間、そして翌週の4/21からの3日間の2週にわたってアメリカ最大規模の音楽フェス、Cochella Valley Music and Arts festivaが開催されました。

Cochella 概要 

開催場所: カリフォルニア州インディオ (ロサンゼルス内陸部) 都心部から車で3時間、砂漠の乾燥したエリア
ヘッドライナー: 今年のヘッドライナーは1日目がBad Bunny、2日目がBlack Pink、3日目がFrank Oceanの予定でしたが、2周目の最終日は1週目にサプライズゲストとして登場したBlink-182に変更されました。

ユニークなアクティビティ

Trashed Cochella: 事前にデザインを募集し、ごみ箱を芸術作品に変デコレーションし、世界中の人々にリサイクルの美しさを発信するアートとエコを掛け合わせた企画。 作品が選ばれたアーティストは企画参加及び無料でCochellaに行けるという景品付きです。
Cochella × Fortnite FortniteとコラボとしたCochellaランドをローンチ。Cochellaの象徴的な砂漠の山々、実際に会場で用いられていたアートオブジェや観覧車など活気に満ちた音楽フェスをバーチャルで体験することが可能に。メタバース内限定サウンドトラックや、スキンの販売、参加者のFortnite Islandがアートスペースで展示されるキャンペーンなども行っていました。

5.Meghan Trainer のネットでのバズ

YouTube shortsにて、Meghan Trainerの楽曲からどのようなTikTokトレンドができたかをまとめた動画を見つけ、トレンドの数の多さに驚きました。

TikTokでのフォロワー数は1300万人、楽曲使用数は日本でもメイク系やダンス動画で人気になった”Made You Look”が470万回、“Title”が合計で1000万回以上を記録。

プロフィール

2014年、20歳の新人シンガーとしてデビューし、All about that bassが大ヒット。2016年に初のグラミー賞を獲得後、セールスが伸び悩む時期に力を入れ始めたのがTikTokでの発信。1000万人のフォロワーをもつTikToker、Chris Olsenと共にTikTok毎日投稿を開始し、家族との日常や楽曲を用いたダンスやミーム系の動画を投稿しています。

Meghan Trainerから学ぶネットでのバズを生み出すキー

1.インフルエンサーとのコネクション: Meghanは友人のChris、楽曲ヒットに貢献したクリエイターと何度もTikTok上でコラボを行なっています。ネットを主に活動することを強いられ始めているアーティストにとってネット発信のプロであるインフルエンサーとのコネクションは重要であると考えます。

2. 楽曲やスタイルにあったプラットフォーム選び: 彼女の楽曲がネットで流行している理由は、マーケティング要素だけでなく、彼女の耳に残るキャッチーなメロディーラインや個性あふれる歌詞がTikTokで使われやすいという点が大きいと考えます。アーティストの楽曲スタイルによってどのプラットフォームでの発信がファンへのアプローチに最適なのか見極める必要性があると考えます。

6. Yik Yakとは

Yik YakというSNSアプリがアメリカの学生間でよく利用されています。

Yik Yakとは?

ローカル規模で現在地から5マイル(約8キロ)圏内のユーザーに対して140字以内で匿名で投稿ができるネット掲示板。ユーザーネームのないTwitterのローカル限定バージョンのようなものです。高校、特に大学内のコミュニティーで情報を調べるのだけでなく、特定のエリアに住んでいる人しかわからないミームや噂話などが書いてあったりとエンタメとして楽しめる側面もあります。 

Yik Yakは2017年にアプリが一度サービス停止に

匿名投稿ができる側面から、特定の人やグループに対するいじめやヘイトスピーチ、人種差別的な発言、更には爆破予告や学校での銃乱射を示す投稿などが書き込まれる事態に発展しました。また事件が起きる中、状況改善がなく、運営の責任感の薄さ、対応の遅さに批判が集まりました。

2021年2月に新たな買収元の運営によりアプリが復活

新たな変更点として、ヘイトスピーチを固く禁止する新たなコミュニティーガイドラインの作成、不適切な投稿をしたユーザーは即座にアカウントがBanされるシステムを導入しました。また、登録時に電話番号やEmail登録が求められ、匿名性を守りつつも個人の特定が可能になりました。匿名でカジュアルに楽しめるコミュニティをより慎重に運営している新しいYik Yakは、アメリカでの信用を獲得できれば今後世界的に広まるかもしれません。

7. Fake Drake?!

AIを用いた作曲 

今月GhostwriterというユーザーがSpotifyなどのストリーミングプラットフォームに投稿した”Heart On My Sleeve”という楽曲がThe weekendとDrakeのAIボイスを用いて作曲を行っていることがわかりました。彼らの声を用いたバージョンは迷惑行為としてレコード会社からかなり短い期間でプラットフォームからBanされました。しかしSNS上では削除される前に楽曲がバズりTik Tokでは100万回再生されるなど人気を集めました。

法的問題

AIボイスのオリジナルの楽曲がオンラインマーケティングを通してネットで流行したという事実を考えると、AIモデルの規制や著作権の法整備など音楽ビジネスに与える影響も大きいです。裁判所や議員は、AI に関しての所有権の問題を整理し始めたばかりのため、音楽関連の著作権の法改正はかなり複雑になる可能性があります。

エシカル(倫理的視点)

機械的に音楽表現を用いられたアーティストはどのように思うのか?文化やアート作品を侮辱するような表現方法ではないか?AIを用いて誰もが簡単にクリエイティブなプロセスに関与できるようになった今、表面的な法律だけでなくエシカルな視点からアーティストの権利を守るために動くことができるのか見直す必要性があります。

8. 推しの子旋風

4月12月に放送がスタートしたアニメ推しの子が国内外共に話題になり、特に映画スケール90分拡大バージョンで放送された第1話はストーリーライン、音楽、アニメーションどれもが高クオリティだったと国内外で高い評価を受けています。

楽曲の魅力

OPテーマ アイドル: オープニング楽曲をYOASOBIが担当。アイドルの光と闇、主人公アイの心情の変化が歌詞に多く含まれ、作品とダイレクトにリンクしている楽曲です。MVは公開から1ヶ月で1億回再生を記録、AppleやSpotifyなどグローバルバイラルチャートにも多数ランクインしています。

EDテーマ メフィスト: エンディン楽曲をロックバンド女王蜂が担当。メロディーの高低差、ボーカルアブちゃんの表現力が闇深い芸能界で生きる主人公にピッタリだとネットで高い評価を得ています。先月にはアメリカシアトルのアニメフェスに参加するなど、海外での知名度も上がってきています。

ネット上でのマーケティング

1. バーチャルキャラを用いたネット広告 : 作中でネット活動を主に行なうキャラクターがYouTube限定コンテンツとしてショート動画を用いた商品紹介系動画や食レポなどのチャレンジ系企画を投稿しており、アニメ放送開始の認知を広めるプロモーションとして成功しています。 

2.振り付け動画の投稿  劇中歌の楽曲をプロダンサーが踊る振り付け動画を第1話放送後にYoutube上で公開。アニメ関連で劇中歌のダンス動画が上がるというのは珍しく、楽曲を用いたUGCを促すことに成功しており、踊ってみた動画は動画公開後二週間で急増中です。

最後に

株式会社CotoLab.は現在、以下のポジションにてメンバーを積極的に募集しています。

興味を持ってくださった方はもちろん、「こんなところが知りたい」「まずは話を聞いてみたい」なども大歓迎です!
コーポレートサイトのCONTACTからお気軽にご連絡ください。


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