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失敗から学んだ、ヒアリングの成功法則

こんにちは。時間によっては「こんばんは」や「おはようございます」の方もいらっしゃいますよね。

インドやネパールでは時間帯に関係なく、挨拶は「ナマステ!」でいけるらしいです。便利ですね。

本題です。私はクリエイティブに20年ほど携わっており、ディレクターとして仕事をすることも多かったです。最近独立して、今はもっぱらご依頼いただいた案件の取材・ライティングに勤しんでおります。ただ最近、「やっぱりディレクションしたいなー」という欲が出てきたので、クライアントに対して少しポジションを変えたアプローチをしようと考えているところです。

バチバチにディレクションしていた時の記憶を辿り、ヒアリングについて思い返したことがあったので今回はそれをまとめました。

前回の記事もそうだったんですが、自分への教科書、戒めとしてまとめております。お時間ある時にさっと眺めていただけたら嬉しいです。


クリエイティブワークにおいて、ヒアリングはかなり大事。

個人的にですが、私は広告・広報物の制作においてヒアリング8割:他2割というぐらい、ヒアリングに重きを置いています。案件の受注前から制作フェーズ、校了に至るまで、常にクライアントの声に耳を傾け続けるようにしています。もちろん、クライアントと意見が合わない時は本音で自分の意志をぶつけます。

今回はその中でも「受注前」のヒアリングについての内容です。


ケース想定:「会社案内パンフレット」を作りたいというクライアントからの依頼

あるクライアントから、「営業活動で使う会社案内用のパンフレットを作りたい」というご相談をいただいたと想定して書いていきます。

あの頃の自分は若かった…。今思うと恥ずかしい、ヒアリングの仕方。

昔、新規案件を獲得したくて一生懸命頑張っていました。でも、ほとんど獲得できませんでした。以下がその当時の私のヒアリング手法です。実に恥ずかしい…。

  • パンフレットは何ページ物を想定されていますか?

  • 内容・構成はどのようにお考えでしょうか?

  • 取材・撮影は必要ですか?何日ぐらいとっておきましょうか?

  • (他社事例やデザイン見本を見せて)デザインのご希望はございますか?

  • 色味のご希望はございますか?

  • 書体は明朝系、ゴシック系、どっちがいいですか?

  • ご納品はいつ頃をお考えですか?

本当に恥ずかしいですが、こんなことを初回ヒアリングの冒頭から当たり前のように聞いていました。確かに、デザイン代や取材・撮影代を検討するのに必要な項目なんです。必ず聞かないといけないんです。でも、これをいきなり質問されたら、クライアントは

「知らんがな」

という状態だったと思いますね。クライアントは「会社案内パンフレットを作りたい」という想いを持ってクリエイティブの専門家に相談しています。もしクライアントが自分たちでパンフレットを作る技術と時間があれば、そもそも相談せずに自分たちで作っていると思います。

それなのにクリエイティブの専門家から何のアイデアも助言もなく、いきなり作り手の作業にかかわる質問ばっかりされたら、ちょっと引きますよね。

結局、このようなヒアリングをした後にどんな提案をしようとも、新規案件はほとんど獲得できませんでした。獲得できたのは、「超安価・超短納期」の案件ばかりでしたね。


失敗から学んだ1つのこと。

すごーくシンプルなのですが、「クライアントは現状に何かしらの課題を感じているから、会社案内パンフレットを作りたいんだ」という視点。これが私には完全に抜けていました。

クライアントと目線を合わせて課題を理解し、その課題を解決するための施策を提案しない限り、「この人にパンフレットの制作を託したい」とは思わないですよね。


単純だった自分。もう1つの失敗。

クライアントの課題を解決しなければいけないと気付いた私は、ヒアリングの冒頭で自信満々にこう言いました。

「御社の課題を教えてください!」

先方のリアクションは「。。。はぁ。。。」でした。そりゃそうですよね。クライアントは皆さん大人ですので口には出さないですが、心の中ではこう思われていたと思います。「何でお前に偉そうに課題とか言われなきゃいけなんだ」と。


ついに、ヒアリングの成功法則が見つかった!

失敗を繰り返して、分かったことがあります。

  • 作り手都合のヒアリングはダメ

  • 課題を聞き出す時はうまくやらないとダメ

はい。「失敗は成功の元」とどこかの偉い人が言っていましたが、この時は本当にそれを実感しましたね。

以下のようなヒアリングの仕方に変えたら、めちゃくちゃ結果が出るようになりました。

  • ホームページなどを拝見し、僭越ながら御社の強みはこういうところにあると感じました。パンフレットでもぜひ打ち出したほうがいいなと思っていますがいかがでしょうか?

  • 今回、パンフレットを作る目的は御社の営業の皆さんが会社説明をされる際の資料としてということですが、セールス先は主に新規のお客様が対象になりますか?特に重点を置きたい業界はありますか?

  • 今お使いのパンフレットもすごく良いと思うのですが、何か営業の方々にとって使いにくさがあったりされるんでしょうか?

  • 今回のパンフレットに期待する役割ですが、このパンフレットを多く配って問い合わせにつなげることでしょうか?それともあくまで営業の皆様が補足的に会社の説明に使うサブ資料の位置づけでしょうか?

  • ありがとうございます。だいぶ見えてきました。おそらくこれまでのパンフレットはページ数が多いため、もう端的に伝えるためにページ数を少し減らしてもいいと思います。また、全体的に文字量も減らしたほうが読みやすくなりますね。

  • 写真は御社が広報素材として自由に使えるものをお持ちでしたらそれを活用させていただき、足りないものがあれば撮影しましょう。

  • また、御社のブランドイメージと、今の営業の方々が感じている資料の使いにくさから考えると、おそらくデザインはすっきりしたイメージのほうがいいと思います。色味や書体と合わせて提案させていただきますね。

  • 次のご提案時に、コンセプトやデザインの方向性もご提案させていただきますね。


いかがでしょうか。自分で言うのもなんですが、だいぶ成長の跡が見られると思います。

課題のあら探しではなく、クライアントの強みをまず自分なりに言葉にしてみる。それをしてはじめて、クライアントと同じ目線に立てます。「ちゃんと私たちの会社を知ろうとしてくれている」という熱意が相手に伝われば、そこからはお互いに本音でトークができるようになります。

クライアントの強みを言葉にするためには色々な事前準備が必要ですが、その努力を惜しまなければヒアリングからの案件獲得成功率は格段に上がります。

実際にどれぐらいの成果が出たかは、もうちょっと記事を書き留めてからまとめますね。

次の記事では、一番頭を使う「クライアントの強みの見つけ方」について書きたいと思います。

ナマステ!

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