見出し画像

Adobe Fireflyでファッションマガジンを作ろう! - Blog 2023/10/18 高校生のための生成AI

今日は、Adobe FireflyとAdobe Expressを使ってファッション雑誌のプロトタイプを作成する学生向けの特別体験講座を実施しました。
タイトルに「高校生のための生成AI」と書かれてますが今回は夜の時間だったので、大学生・専門学校生が中心です(高校生は参加していません。高校講座では絵本を作成します)。

特別体験講座なので、生成AIを活用したアートワークの「体験」が目的です。Fireflyの習得を目指したものではありません。
Adobe Fireflyは「Firefly Image 2 (Beta)」がリリースされ、かなり表現力が向上しましたので、新モデルの検証も兼ねています。

まずは、モデルの生成から開始。

モデルの生成

特別講座は90分しかないので、生成したモデルは共有リンクを取得して、参加全員で共有しました。プロンプトを再利用するためです。

生成したモデルの共有リンクを参加者全員で共有


画像生成AIは、手・指・関節、歯など苦手なものが多々あり、全身像の生成では特に「手」が崩れます。
Fireflyで生成するモデルは「手を修正する前提」で進めます。おかしな手になってもOKで、「生成塗りつぶし」に移動して修正作業を行います。

「生成塗りつぶし」で手を生成し直した

生成AIが創り出す「不自然な親指出し」は有名で、ポケットに手を入れたポーズは「親指」に注意しなければいけません。
以下は、「生成塗りつぶし」で修正しています(親指もポケットに入れています)。

プロのデザイナーならPhotoshopで簡単に画像処理できると思いますが、今回はデザインの知識も経験もない学生さんなので、「生成AIの間違いは生成AIで直す」という方針です。これが可能になっているのは凄いことなんですが。

「不自然な親指出し」を修正

もし、下図のように「!」が表示される場合は、プロンプトを変更してください。

「!」が表示されると生成できない

生成塗りつぶしは「設定」がとても重要です。
生成ボタンの隣にあるオプション設定のアイコンをクリックすると、設定のパネルが表示されます。
特に重要なのが「コンテンツを保持」と「プロンプトの適用度」です。スライダーバーのつまみ(thumb)を左右にドラッグしてバランスを調整します。

「コンテンツを保持」と「プロンプトの適用度」を調整する

モデルが完成したら、右上の共有ボタンをクリックして、Adobe Expressに移動します。このシームレスな連携はクラウドツールの大きな利点です。

Adobe Expressに移動

Adobe Expressはコンシューマー向けのプロダクトです。プロの要求を満たす機能は搭載されていません。プロではない人たちが、直感的にアートワークできることを優先しており、1クリックで高度な処理ができるように設計されています。「背景を削除」などはクイックアクションの代表的な機能です。

1クリックで背景を除去できる「背景を削除」
サイズ変更してベタ塗りシェイプを背面に配置


Adobe Expressの「背景を削除」は1クリックで実行できますが、Photoshopのように詳細な選択範囲の調整はできません。
可能なかぎり、切り抜きやすいように(AIが正確に選択できるように)、背景を無地にしておく必要があります。以下のモデルのプロンプトを確認してください。「Pure white background」を記述しています。

女性モデルの生成
女性モデルの生成
男性モデルの生成
男性モデルの生成

特別体験講座の時間内で、参加した学生さんと「プロンプトとスタイル」を共有したので数十のモデルサンプルが蓄積されました。

※Fireflyの「お気に入り」は使用しているブラウザーに記録されます。他のブラウザーに乗り換えると「お気に入り」の内容は移行できませんので注意しましょう。クラウド同期できるようにしてほしいですね…
生成画像とプロンプト、スタイルを残しておきたい場合は、「お気に入り」ではなく共有リンクで管理しましょう。

今回の体験講座で蓄積されたモデルサンプル

Adobe Fireflyは、プロンプトだけではなく、コンテンツタイプやスタイルの組み合わせで画像を生成しますので、プロンプトをコピーしても再現できません。他の画像生成AIと異なりますので注意しましょう。
以下の記事を参考にしてください。

Fireflyの「脱プロンプト」については以下の例が理解しやすと思います。
右側の「合成」メニューを見ると「クローズアップ」が選択されていますが、プロンプト入力欄には「広角」も表示されています。
複数選択ができないのに、なぜ「クローズアップ」と「広角」が表示されているのでしょう?

理由はプロンプトの中に「wide angle」という記述があるからです。
Fireflyはプロンプトの中にスタイルと重複する記述があった場合、自動的にスタイル効果を追加します。追加されたスタイル効果を削除しても生成時に復活します。
プロンプトだけで表現する原始的な方法の限界を、標準UIのコンテンツタイプやスタイルで解決しようとしています。

プロンプト内の「wide angle」を読み取り、スタイル効果の「広角」を自動的に追加


Adobe Expressでファッションマガジンのプロトタイプを作成します。
Expressは生成AI(Firefly)もAdobe Stockも利用できますので、どちらを使っても良いというルールで進めていましたが、けっきょくモデルは全て生成AIで作成されました。
Stock写真を検索で探すより、生成した方が速いということですね…

モデル写真は全て生成AI(Firefly)で準備できた
Adobe Expressでマガジンのプロトタイプを作成

完成したページです。
背景はシェイプを組み合わせていますが、4人のモデルは全て生成AI(Firefly)で作成しています。

完成したページの一つ

生成AI(Firefly)が登場する前のAdobe Expressだったら、90分(作業時間は60分程度)でこのビジュアルは作成できなかったでしょう。
Adobe Stockでこのモデルに似た写真を探してみましたが、日本人の写真はほぼ見つからず、ファッションテーマを変更するしかなかったと思います。

プロ仕様の作業ではAdobe Stockの高品質な写真素材は大変役立つのですが、今回のようなプロトタイプレベルだとスピードが重要なので、生成AIが強力なツールになりました。

Fireflyが登場した時、「Adobe Stockは大丈夫か?」などと言われていましたが、すでにAdobe Stockにも生成AI(Firefly)が実装されていますので「生成AIとの共存の道」を邁進しています…

Adobe Stockに実装された生成AI (Firefly)

参考:


画像生成AI Prompting 方針(5月に更新):

  1. プロンプトに作家名や作品タイトルを入れない

  2. プロンプトに映画監督の名前や映画タイトル、登場人物、俳優の名前などを入れない

  3. 他人の著作物を Describeしない

  4. Nijiモデルが生成したキャラクター等の画像を自分の作品として公開しない

  5. 生成した画像は素材として活用する(無加工のまま公開しない)

  6. 公開する場合はAIで生成したことを表記する



更新日:2023年10月29日(日)/公開日:2023年10月29日(日)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?