からだが言うことを聞かないとき
どうしても元気に動けないとき
ものぐさな悪魔がささやくとき
だれにでも、ありますよね。
それでも、おいしいものを作って食べたいしなあ。

矛盾しているようですが、
そんなときに限って、かたまり肉をゆでたり煮たりしていることが多いのです。
（香ばしく焼いたり炒めたり、は鍋から離れられず疲れるからやりません。）

｢今夜何を作ればいいか、浮かばないとき、どうすればいい？」
と聞かれることもよくありますが、
その人が具合を悪くしていたり、しんどそう～なとき、
それでもがんばって作らなければいけない人たちに、
様子を見い見い勧めています。

30分も時間がないときは
鶏の手羽(八角醤油煮、甘辛煮、スープ）
鶏の胸肉(煮立ったスープに投入して火を止め浸けおく、酢を効かせたソースでさっぱり食べるほか、よだれ鶏のたれやニンニクの効いたマヨネーズなどこってりしたソースにも合う）
豚のスペアリブ（ママレード煮、ねぎスープ、薄めの大根と煮る、ゆでて味噌を添える）などが簡単。

30分～1時間あれば
鶏もも肉（何でも合うが、酒を加えて蒸し煮が簡単。ネギだれやごまだれも○）
豚肩ロース（ゆでてスライスして岩塩を添える、にらだれも合う。チャーシュー、生姜煮）
牛もつ（ゆでて酢味噌、味噌煮込み、ゆでてからたれで焼く）

1時間半～2時間あれば
牛すね肉(スープ、カレー、シチュー、スープ他なんでも）
牛ばら肉（根菜と合う。ポトフなど）
豚三枚肉(角煮、おろし煮、ゆでてごく薄に切り、ベーコンのように焼いてサラダやパスタなどにアレンジ）
豚足（八角醤油煮、ゆでて刻みゆで汁ごと冷やしてコラーゲンでテリーヌ風に）など、ほとんどの種類が間に合います。

もちろん、ローストビーフむきのもも肉や、ステーキむきのヒレやサーロインは、煮ないほうがよいですが。

でも・・・何で魚でなく肉なのか？

ただ単に時間がないときや、早く仕上げなければならないときなら
魚料理が十分出来ると思いますが、
どこかに瞬発力を出す元気や、魚を成仏させてやりたい熱意がないと、
刺身も焼き魚も煮魚もスープも、なんとなくうまく行がなかったことが何度もあります。

また魚の場合、長い時間をかければいいとは限らないし、
一尾魚の掃除はもちろん、下処理のできた切り身魚でも
その魚を活かす調理法に頭をめぐらすことに楽しさを見出せる余裕がないと、
うまくいった！という仕上がりにならないんです。

身のやわい魚、しっかりした魚、小骨が多い魚、皮がうまい魚、
種類も多く、多角的に考える必要があるんだと思います。
もちろん、だからこそものすごい面白さがあるのですが。

その点、肉は、精肉店できちんと掃除もされていますし、
種類も魚ほど多くなく、料理法も部位によって違うだけ。
元気が出なくて、いいメニューが思いつかないときにも、
とりあえずゆでてしまえば、その間に時間を稼いで、座りながら考えることも出来ます。
他の野菜料理をつくっているうちに
肉のうまみをのせたい～い香りがしてきて、
そのアロマのちからで、なんとなく作りたいものが浮かぶことも。

週の真ん中、お疲れでものぐさな私は
冷凍庫の牛すね肉を使うことに決めました。

焼き目だけつけて、あとはただローリエやセロリ、にんじん、玉ねぎなど香味野菜と一緒にゆでていれば、
ほら、もう肉とスープ2品も出来ていますよ♪
それが、意外な力になったりします。

スープが出来たおかげで、途中からじゃがいもを投入し、共にゆでられました。
柔らかくなったらじゃがいもを取り出して皮を剥き、バター、塩胡椒、あれば生クリーム少々、
そして干したハーブをもみながら加えて、ポテトマッシャーがフォークでつぶし
スープで緩めて、柔らかめのペースト状にします。

冷蔵庫の残り野菜を一口大に切り分け、先程柔らかく煮た牛肉とスープとともにスチームケースに入れ、レンジで加熱しました。

蒸し上がった野菜にオリーブ油と塩胡椒をまぶし、
肉はスープに戻した後スライスして、ポテトのソースを塗り、皿に盛り合わせます。
グレイビーソースなど添えずに、シンプルにしました。

そしてスープ。
先ほど野菜を蒸したスチームケースの蒸し汁も、肉の茹で汁に加えます。
牛肉のだしなので、
さっぱりとするように
生食できる野菜を浮き実に。
今回は角切りトマトとブロッコリースプラウトでしたが、
あさつきやみょうが、レタス、セロリの千切りなどでも。

実際にさくさく動いたのは15分ほどで、
後は鍋とレンジ任せで、待っている間に出来ました。
鶏肉ならもっとあっという間です。

ものぐさな悪魔がじわじわ迫ってきていたら、
そんなときは無理しないで、
出来そうなことを探してみるのが良い、と思っています。

はやくひとかどの人物になりたくて、
自分をいじめていた20代の日々と今とでは
体力も、心のしなやかさも違うから。

適度にいたわりつつ、なだめながら、
58歳の自分が元気になれる方向に、
気持ちをコントロールしていたいなと思っています。

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