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”ドイツで住みたい街 第1位”を歩いて考えた

「昼休みの気分転換に、小旅行へ行かないかい?」

と誘われたのは、ドイツ人同僚とお昼ごはんを食べた後のことだった。

もう10年近く前、ドイツの会社で働いていた当時のある日。同僚から誘われて、会社からほど近い住宅街へ行ってみた。

この街は1990年代に雑誌の特集で「ドイツで住みたい街」の第1位に選ばれたらしい。

街の中をブラブラと歩いてみて、驚いた。

すべての家が、庭や玄関を、それはそれはきれいに手入れして飾り付けている。住民が全員参加で美しい街並みをキープしていた。

10年前くらいにスマホで撮影した写真だから画質は良くない

特筆できるのが、みなが同じようなスタイルやテイストを共有していること。街全体の調和感が素晴らしかった。

街全体から強い意志が伝わってくる。

「ここに住む人たちが共同体として調和した形をつくりあげるために、自分の家を美しく保っている」

この街を例えるなら「優れたオーケストラ」と言えるのだろうか。全員が同じ方向性を共有しながら、各自はそれぞれのパートで自分の役割を果たしている

また、この街には家と家を遮るコンクリートなどの遮蔽物が殆ど存在しない。せいぜい生垣で隣との家との境界があったりするが、基本的に家を囲うものがなく、侵入しようとすれば容易にできてしまう。

しかし、家と家を高い壁で遮ぎって見えなくしてしまうよりは、お互いに相手のテリトリーが見えるくらいの見通しのよい状態にしておいて、街の人たちみんなが「仲間」として生活する方が、安全で安心できるのかも知れない。

全体の調和を最優先した雰囲気づくり

さて、以前「ドイツでは庭は持ち主が美しくキープしなければいけない、という文化がある」という投稿をした。

なぜなら、庭は周りの家からも見えるから、それは「公共の場所」と同じ。そういった「公共の場所」は、同じ共同体で生活する人たちを心地よくするため、美しく保つべきという意識がはたらくから。

小旅行した10月はゴールデンオクトーバー。ドイツ中が黄色く色づく季節だった

この街も、その文化のたまもの。各家庭は家の景観づくりにすごい時間と労力を掛けているはずだが、それは決して、個々がそれぞれ輝くために思い思いに自分の家や庭をきれいにしているわけではない。

みんなの力と方向性が街全体の調和を目指してつながっている。その結果として街全体の調和が圧倒的で、街として特殊な個性を放っていた。

この街では、一軒一軒が街をかたちづくるために欠けてはいけないピースとして必要とされている。また、街の住民の一人ひとりが、住みごこちの良い街を構成するために不可欠な参加者として必要とされているのだろう。街の人たちは、その中で責任と誇りを感じながら生活しているのだろうか。

そんなことを考えながら歩いた。

さて、あなたが好きな街は、街全体としてどのような個性を持っているでしょうか?

by 世界の人に聞いてみた

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