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【建築家の頭の断面図】ファッションとインテリアの関係

ファッションってかなりインテリアと通じるものがあるし、実際にコラボがすごく多い。ファッションブランドがインテリアを出すこともよくある。

僕が思うにファッションもライフスタイル全体を提案して、ブランドの世界観をより伝えていこうとしてるんじゃないかなぁって思ったり・・・

「ロン・ハーマン」が良い例な気がする。
僕もクライアントからロンハーマンのような西海岸のインテリアを要望されたことがあるのだけど、ファッションブランドのイメージをそのままインテリアや建築に持っていきたい方が多くいる。

他にも「ディーゼル」はホームコレクションとして「ディーゼルリビング」を打ち出したり、アメリカの「アンソロポロジー」なんかも少し抜け感のあるインテリア雑貨や家具なども出している。

これについてよくよく考えると、ファッション発信のプロダクトって建築発信のプロダクトとちょっと違う気がする。簡単に言うと商品としてしっかりしており、シンプルなものは建築発信が多く、色気というかエモ感があるのはファッション発信のプロダクトなイメージかなぁ。

「ZARA」や「H&M」もあるし、ハイブランドであれば「エルメス」や「グッチ」なども出してるよねぇ。
ただ建築・インテリア業界を長くやっていて感じることは、

例えば「グッチ」が好きな人が「グッチのインテリア」を好きかというと、そうでもない。
「ポールスミス」の服を着ている人が「ポールスミスのストライプ柄のラグがほしい」かと言われるとそうでもない。

個人的感覚なので参考程度に受け止めてほしいんだけど、
ホームコレクションをすることはトータルブランディングとしては訴求する力はあったとしても、実際に購入するかはまた別の戦略がいるのかなぁって思う。

これは建築・インテリア発信のプロダクトにも言えることで、例えばアルネヤコブセンがデザインした壁掛け時計をダウンサイジングした腕時計があるんだけど、これってすごい注目されているかというと、肌感としてはそうでもない気がする。僕もこのヤコブセンの腕時計を1つ持っているんだけど、やっぱりアップルウォッチの方がいいとか、時計好きの人は「ロレックス」や「パティック フィリップ」が良いという人もいるんだと思う。

もちろんファブリックで有名な「マリメッコ」などの例外もあるけどね。あそこはテキスタイルが特徴的でかわいいのでホームコレクションとして使いやすいのかもしれないのかなぁ。
ちなみにジョン・F・ケネディが大統領選に出馬した1960年に奥さんがマリメッコのドレスを着ていた姿が雑誌の表紙になったとかで、マリメッコは一躍有名になったらしい。代表的な大きな花びらの柄「ウニッコ」はケシの花がモチーフらしい。ある意味中毒性があるよねぇ

こんな感じでファッションとインテリアって境界線はあるんだけど、だいぶその線が薄くなってきている気がする。
ただその境界を越えて大成功しているブランドってあまりイメージにないのが現状かなぁ。

ただ、おもしろいポイントがあって、建築やインテリアデザインをするときにクライアントに好きなファッションブランドを聞いたりするんだけど、どこのブランドが好きがで、その人が求めているデザインやコストバランス、有名なブランドがいいのかニッチなブランドがいいのかが、なんとなく見えてくるんだよね。

これってファッションもインテリアも「価値観の基準」が似ているんじゃないかなぁ。

着れればなんでも良い、という感覚ではなく、着るならちゃんと「着飾る」といったところが、インテリアのシンプルであればなんでもいいじゃなく、置くモノにこだわりを持つところとリンクしている。

「0→1」ではなく、「1←99」までもっていくことが、インテリアもファッションも重要な役目かなぁって思う。

体系によって似合う服が違う、サイズが合わないなど様々な諸条件が前提としてあるファッション。土地の面積や高低差、法的制限が諸条件となってそこに似合う建築物を計画する。

どちらも「似合う」ということが重要だ。

お金を掛けてもチグハグでは意味がないし、安いもので整えても似合っているものもある。

ファッションもインテリアもこれをコーディネートする人を「スタイリスト」と言う。そして服を作る人をデザイナーと呼び、建築やインテリアを計画する人を建築家やインテリアデザイナーと言う。人の構成も似ている。

僕らがセンスを磨き、ブラッシュアップしていく方法の一つとして、他の業界のことをしっかり学ぶことが重要なのかなと感じる。

ファッション業界の方は、インテリア業界、流行り、変わらないもの、コーディネートの仕方をしっかり学び、インテリア業界の方もファッション業界の同じ内容を学ぶ。

同族でコミュニティーを作るのも、業界を知る上では重要だが、個人のスキルアップを目指すなら、異業種とのつながりを強めることが重要だろう。

要は「集」を軸とするか、「個」を軸とするか・・・だ。

僕が思うに世間ではインテリア業界よりファッション業界の方が圧倒的に影響力があると感じる。

だからこそ、起こる事として、エルメスが好きな人がエルメスの家具を自慢げに買うことがある。実際はエルメスと同等のブランドを選択肢に入れることが、良い空間になるにもかかわらずだ。

これはハイブランドだとしても、知名度や影響力の違いだろう。
ただこういう好きなファッションブランドでインテリアも整えることを、「ダサい」と思うプロのコーディネーターがいることも事実。

お金を掛けるのであれば、一般の方もプロにも「わかってるねぇ」と言ってもらえるデザインをしてもらいたいと思う。なのでファンションの同一ブランドでそろえるのも良いが、様々な角度でプロダクトを見るコト、それをアドバイスする人が育つこと、それこそが日本のインテリア業界の底上げと、インテリアコーディネーターの社会的地位の向上につながると考えている。

なので、ファッション業界もインテリア業界もそれぞれのことを深く知る必要があると思う。

ということで不定期ではあるけど、例えば「エルメスと同等のインテリアブランドは何?」というようなお話を今後していきたいと思う。

あくまで僕の主観であり、「わたしはこう思う」という意見がでてくるだろう。そういう時はできればコメントを頂きたい。
それについてさらに考察をしていけば、みんなでレベルアップできると思うからだ。
「酒のつまみ」としてそういう記事を見てもらえたらうれしいかな。
(僕も照明のカタログを見ながらお酒を飲むことが、至福の時だから)

今回はここまで。
ありがとうございました。

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