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詩「怨恨」

何かが侵食する音を聴いた
案外、勘違いだったかもしれないと思った
鈍痛は道路を蹴破っていた
交差点 荒々しく喰い千切られた信号機の山

日常に置いた前哨基地は
気付けば 置き物と化している
バラバラになった臓物が地面を這ってる
さっきまでの淡い期待は夢や幻だったみたい

血の通わない教祖を祭り上げ
縦一列にえのぐの剥がれたマネキンを並べて
血の色でぐちゃぐちゃに掻き乱した
誰かが、壊れたコンパスを押さえつけていた

張り巡らされた街の毛細血管に潜みながら
色褪せた手紙を持て余してた
隣の人のトーク欄から焼け焦げた煤が出た
ボロボロの新聞の英雄が無邪気に笑ってる

何かの間違いだったら良いのに
そうやって何度も何度も繰り返して
同じ間違いを幾度となく見送った

メランコリックなあたしの頭は
たくさんの汚れを大事そうに抱えて
鬱憤の催涙スプレーに揉まれて成長したの
でも、指に切り込み入れたら普通に痛いね

埃すら星に見えてしまうソラに
バカらしくなって笑ってしまった
地球の弾痕に寄り添ってるフリをして
ボールペンの芯を突き立てて 手で覆う

鳥肌が立つなんて誰も気づかない
皮膚を手で覆うようにして
両手を肩に羽織って飛び出した
そうして、壊れた星空を滑り切った

灰色の空に住んだ日は
とうに笑えなくなっていた
いつか撮った集合写真を肩に並べて
また逢う日まで大切にしたい

#創作大賞2023

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