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未来を鏡として今を映しだす「フォワード 未来を視る6つのSF」

<SF(76歩目)>
このアンソロジーは、予想を超えてはるかに強力です。
6篇を読んだあとの読後感は深いです。

フォワード 未来を視る6つのSF
ブレイク クラウチ (著), ベロニカ ロス (著), N K ジェミシン (著), エイモア トールズ (著), & 8 その他
早川書房

「76歩目」は、米国発の未来を考える素晴らしいアンソロジーです。
テーマはわりと今までも取り上げられたもの。でも、完成度が高いので読後に心に残ります。

「世界を変えるのはどんな気持ちがするものなのか」、このテーマに沿う6篇。ブレイク・クラウチさんありがとうございます。

たしかに、書き手の気持ちとしては、同じテーマで他の作家がどう描くのか?知って見たくなると思います。

この「テーマ」の方向に米国のSF作家が向かっていること。強く伝わりました。

「SF」って「文学」と親和性が極めて高い。テクノロジー含めて大きく前提条件が異なる世界であっても、種としての人間の心は大きく進化していないだろう。

故に、古典文学も現代文学も、近未来SF・SFも「読める」「心を突く」余韻に浸れるのだと思いました。

6篇のうちウィアーさんの「乱数ジェネレーター」目当てで手に取った。
でも、「エマージェンシー・スキン」「方舟」も良かった。

「方舟(アーク)」
数年後に小惑星が衝突する世界。
運命を受け入れた人類は方舟に動植物の遺伝子を詰め込み宇宙に出る。そこには滅亡する地球に残る人たちもいた。

蘭の花を愛する博士と少女の静謐な対話が心に染みました。
滅亡が迫る世界で、静かに過ぎていく時間。この雰囲気はとても素晴らしく美しく描かれている。

滅びゆく世界の素晴らしさ。とても静かな感動を呼ぶ。思わず涙を流してしまいました。素晴らしい。

「エマージェンシー・スキン」
環境破壊によって地球に住めなくなる状況に陥った人類。支配者層は、別の太陽系へ移住し、長い年月がたった。

ここまでは既視感があった。しかし、ここからが違った。N・K・ジェミシンさん「いいね!」です。

ちょっと派手さがないアンソロジーです。
しかし、どれも高水準で心に刺さります。SFの世界だけれど、結局人間の心の問題だったり駆け引きだったりが心に残る。おススメです。

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