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戦後国際秩序の最大の受益者だった日本がポスト・ポスト冷戦期の現代を小国として歩むべきだとする根拠とは

冷戦とは

アメリカとロシアの二大陣営が異なった経済成長のパスを描く

冷戦時代とは、戦後、自由主義のアメリカと社会主義のロシア(旧ソ連)が、世界の2強国で、傘下の国々に対して、それぞれ異なった経済成長のパス(このようにして貴方の国を豊かにします)を描いていた時代です。

傘下の国々とは

傘下の国々とは、例えば日本は戦後ずっとアメリカの傘下にいます。国が栄えるには、安全保障(戦争で自国を守ること)や通商(外国と貿易をすること)で味方をしてくれる国を、大国(日本にとってはアメリカ)をうまく利用して、増やしていくことが肝要です。アメリカの安全保障上の傘下にある国は、いま現在の東アジアで言うと、日本、韓国、台湾、ベトナムです。

冷たい戦争

アメリカもロシア(旧ソ連)も、互いに傘下の小国の経済成長を推進するとして、自由主義陣営(アメリカ)と社会主義陣営(ロシア)とを形成していました。そして豊かさを競い合う、戦闘機やミサイルが飛び交う戦争(交戦状態)ではなく、互いをライバル視して火花を散らす「冷たい戦争」の時代になったのです。

最大の受益者たる日本

朝鮮戦争以来、自由主義陣営の東アジア最前線とは韓国(対北朝鮮)と台湾(対中国)ですが、日本は一歩後方にある地域として、アメリカが保護育成し栄えました。もちろん日本の昭和高度経済成長には様々な要因がありますし、日本は実力のある経済国でしたが、3度目の世界大戦や核戦争のなかった時代(平和≒勢力均衡)を受益した国であることに違いありません。

豊かさで勝利した自由主義陣営

やがて自由主義陣営は、社会主義陣営に、豊かさで勝利しました。社会主義陣営は崩壊し、冷戦は終わりました。90年代はポスト冷戦期と呼ばれます。

ポスト冷戦とは

中国の台頭と自由主義の挫折

90年代以降中国が東アジアでみせた覇権論は、新しい時代の脅威でした。自由主義は、やがて地球儀を飲み込んで価値観(主義・思想)が集約していくと期待されていたのに、新しい世界秩序の中に中国という極をまとめ上げる目的で、修正を迫られました。

企業の動きを統制できず中国を勝たせた

BRICsの"C"が中国(China)であることは有名です。これは2000年代に経済成長の目覚ましかった発展途上国5ヵ国の総称です。中国は外資(中国からみた外国)を誘致し産業集積を行いました。市場経済に移行した中国は人口大国であり、需要の厚いマーケットでもありますから、世界の企業がこぞって参入し、中国は未曽有の経済成長を遂げました。

世界のマーケットで発揮するプレゼンスが変容した日本企業

世界の市場で日本企業のプレゼンスは、旧来の"MADE IN JAPAN"からは遠のく一方でした。金融、行政、サプライサイドの課題に取り組んだ平成不況、「失われた30年」があまりにも長いのは、そもそも自力で負けていたからなのですね。

ポスト・ポスト冷戦

ロシアのウクライナ侵攻にみる「国家の回帰」

戦争はもちろんよくないことですが、ロシアが「かつてのような帝国」という価値観のもと、2022年ウクライナを侵略したことは特筆に値します。いま一つひとつの国が、失われた地位を取り戻すという歴史観が行動原理となる時代に差し掛かっているのではないだろうかと、同志社大学教授(比較政治学)の吉田徹氏は述べます。

日本が回帰すべきは「犬養毅の多元的国家論」

日本は、自国民のために政党政治を行う、かつての姿を取り戻すべきだと思います。世界の市場で競争に勝つことも大切ですが、一億人の利益を守るために所得格差や教育格差を是正するために、国民の政治意識を高めるべきだと思います。

参考:毎日新聞紙面「自由主義 再興を -ウクライナ侵攻2年 識者に問う世界の行方-」2024年2月25日

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