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令和5年の交通事故の発生状況 ~総括 

警察庁から令和5年における交通事故の発生状況(交通事故統計)が公表されたので総括的に紹介します。


|交通事故死者数及び重傷者数の推移

○ 交通事故死者数、重傷者数ともに増加
死者数2,678人で前年比68人、2.6%増加した。
これは平成27年以来8年ぶりの前年対比での増加ということになる。

重傷者数27,636人で前年比1,609人、6.2%増加した。
前年対比で増加したのは平成12年以来23年ぶりだという。

警察庁統計資料

ちょっと驚き~~!
このところ年々減少傾向にあったのだが、ついに増加に転じてしまった。

|死者数の特徴

死者数の特徴的なところは
○ 状態別死者数は、
全年齢で「自動車乗車中」は減少したものの、「二輪車乗車中」、
「自転車乗用中」、「歩行中」が増加
した。
○ 状態別死者数は、全年齢、65歳以上ともに「歩行中」が最も多く、歩行者事故対策が必須となっている。
といえる。

警察庁統計資料

| 交通事故の状況、特徴等

令和5年中の交通事故の特徴を状態別でみてみる。
○ 歩行者
歩行中死者数は2年連続で増加した。
・事故類型別では、65歳未満は「路上横臥」が、一方65歳以上は「横断歩道
以外横断中」
が多い。

警察庁発表資料

※ 65歳未満の歩行中死者数の中で、「路上横臥」が多いということだが・・・。これには驚きを隠せない。
横臥(おうが)って、路上に倒れているとか、横たわっている状態をいうので・・・。本当なのか?と思うのだが・・・、「路上横臥」65人中64人が夜間であり、しかも65人中53人が飲酒有りということなので「飲酒して寝込んでいた」のかな?飲み過ぎなければ事故にならなかったかも、歩行者も飲み過ぎ注意ですね!

○ 自転車
・自転車乗用中死者の約半数が「頭部」を損傷し、うち約9割がヘルメット非着用の死者となっている。

警察庁発表資料

・ヘルメット非着用時の致死率は着用時の約1.9倍であった。

警察庁発表資料

・自転車対歩行者事故の構成率が近年増加傾向にある。

警察庁発表資料

※ 自転車事故の死者はヘルメット非着用が多いといわれているとおりだ。
着用義務化の効果に期待したい。
また、対歩行者事故が増加しているという。ヘルメットと同じように自転車損害賠償保険の加入を道交法で義務化しても良いのではないか。
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○ 自動車
・自動車乗車中死者の約4割がシートベルト非着用である。

警察庁発表資料

携帯電話等使用による事故は近年増加傾向にある。

警察庁発表資料

75歳以上高齢運転者による死亡事故は近年増加傾向にある。
・人的要因別では、75歳以上高齢運転者は、75歳未満と比較して「操
作不適」が多い
という特徴が認められる。

※ シートベルト非着用、携帯電話使用中の運転、後期高齢者が運転する事故が増加傾向というのは、やはり予想通り。
国を挙げて対策を講じているが、まだまだ十分でないということでしょうか。

○ 二輪車
自動二輪車、原付自転車ともに死者数が増加した。

警察庁発表資料

・通行目的は、自動二輪車では「ドライブ」、「観光・娯楽」等、原付自転車では「通勤」、「業務」等が増加した。
・事故類型別では、「右折対直進」の事故が大きく増加した。
・右折対直進事故において、直進車側が二輪車の場合、乗用車・貨物車の場合と比較して速度が速い傾向が認められた。

警察庁発表資料

※ これも大方の予想通りだろう。
・リターンバイカーによるツーリング等の増加なども影響や、コロナの影響で通勤に原チャリや電動バイクを利用する人も年々増えていることも影響しているのかも。
・右直の事故で、直進バイクの速度が速い傾向にあるという点も頷ける。
 右折時に直進バイクに対する一層の注意が必要ということだろう。

○ 特定小型原動機付自転車
・特定小型原動機付自転車の事故件数は令和5年7月以降で85件、負傷者数は86人である。

警察庁発表資料

・相手当事者は「四輪」が約3割、「歩行者」が2割、「自転車」が約1割となっている。
・発生地別では、東京都、大阪府で多く発生している。

※ 令和5年7月から改正道交法で公道走行が可能になり急激に普及している状況にある。一方で、ルールの周知が遅れている。
また、そもそも特定原付の区分に該当しない違法な性能の製品が多く出回っている。
注書きによると「特定小型原動機付自転車が第1当事者又は第2当事者となった人身事故で、警察庁に報告のあった件数」ということなので、違法な性能の車両の事故は「特定小型」ではないので、この統計には含まれていない、原付等に入っていると解せば良いのでしょうね。
・相手方が「歩行者」、「自転車」で3割を占めているが、自賠責保険等加入していたのかちょっと心配だ!

○ 飲酒運転
・飲酒運転による死亡事故は減少したが、一方で重傷事故は増加している。
・飲酒運転の通行目的は、「飲食」、「通勤」、「買物」等が増加している。
・飲酒事故における死亡事故率は飲酒事故以外と比較して約6倍となっている。

警察庁発表資料

※ 未だ飲酒運転が横行しているようだ。
死亡事故と重傷事故は紙一重なので、重傷事故が増加しているということは、死亡に至る可能性のある事故ということができるだろう。
このあたりは24時間死者統計ではなく、30日以内死者数に占める飲酒運転事故の数字を比較してみたい。

|まとめ

昨年の交通事故を総括すると以上のようなる。
昨年交通事故死者数等が増加してしまったが、統計を見る限りもうちょっと気を付ければ死亡事故に至らなかったのではないかと思えるような数字もいくつかあった。
いずれにしてもルールを学び遵守することが必要ですね。
悲惨な事故が一件でも減少することを祈念する。
なお、※部分は私見である。

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