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自己破産について その1


|自己破産するとゼロから出直しできる?

実は必ずしもそうではないといえます。
借金や自転車事故の賠償金などが積もり積もって首が回らない
とても返金は無理~。
ということで「自己破産」の手続きをとる人もいますが・・・
そうはうまくいきませんね。

|借金返済が免除される?

自己破産することで借金等の負債を“チャラ”、つまり支払義務が免除されることになり、ゼロから出直せると思っていませんか・・・。

一方で、自己破産についてはいろいろいわれており、「自己破産したら人生終わりだ」というように思っている人もいるかもしれませんね。
さてどうなんでしょうか?

結論は、原則として借金等は精算されるが、決してメリットだけではない。
デメリット、リスクもあるのだ。

|自己破産のメリットは

①借金が全額免除される
一番大きな効果(自己破産のメリット)として「借金が全額免除」されることになる。

自己破産をすると、消費者金融のキャッシング、クレジットカードの負債、カードローン、住宅ローン、奨学金などの「すべての借金」の支払い義務が免除される。

今後は「一切払わなくてよくなる」ので、借金問題解決には絶大な効果があるといってよい。

②負債以外の支払免除
以下のようなその他の負債も基本的にすべて支払が不要となる。
○未払い家賃
○未払いの通信料、スマホ代
○未払いの水道光熱費
○未払いの買掛金
○損害賠償債務(不倫の慰謝料など)

③免責の効果
自己破産をすると借金が免除されるのは「免責」による効果だ。免責とは、裁判所が破産者の支払い義務を免除する決定のこと。

裁判所に「免責」をしてもらえたなら、免責された負債等につてはその後は一切の負債を払う必要がなくなる。
免責許可決定が確定すると、破産者は、破産債権について、その責任を免れることになる(破産法253条)。

|デメリット

破産すると、原則として借金がゼロになるが、その一方でデメリットもあるのだ。以下に記載するとおり。

1:官報に掲載される
自己破産した場合に国が発行する新聞ようのものである「官報」にその旨掲載される。
官報には、法律・政令等の制定・改正の情報や、破産・相続等の裁判内容が掲載されているので、官報を見た人にあなたが自己破産したことを知られるリスクがあるのだ。

2:手続終了まで就けなくなる職業がある
自己破産の手続が完了するまで、以下のような職業には就けない

主な制限職業
 宅地建物取引士(宅地建物取引業法第18条1項2号)
 公認会計士(公認会計士法第4条4号)
 税理士(税理士法第4条2号)
 警備員(警備業法第14条1項)
 公証人(公証人法第14条2号)
 交通事故相談員(交通安全活動推進センターに関する規則第4条1項2号)  
 固定資産評価員(地方税法第407条1号)
など

職業が制限されるのは自己破産の手続中(3~5ヵ月間)のみで、自己破産したあと一生就けなくなるわけではない。

また、資格が必要な職業については、自己破産して資格がはく奪されることはない。

3:事故情報が登録される(いわゆるブラックリストに載る)
自己破産すると、信用情報機関に債務整理を行ったという事故情報が登録されることになる。

事故情報が登録された状態だと、クレジットカードの新規発行や、家や車の購入のためにローンを組むことが難しくなる。

なお、事故情報が登録されるのは一時的、これから永久に登録されるわけではなく、自己破産の手続を完了して5年から7年経過すると、再びクレジットカードを発行したり、ローンを組んだりできるようになる。

事故情報については、自己破産しなくとも、返済が滞納する状況がしばらく続いてしまうと、信用情報機関に滞納した事故情報が記載されることがある。

4:管財事件の場合は手続中に郵便物が破産管財人に転送される
破産手続では、借金の原因や財産の状況に応じて、「管財事件」という手続か「同時廃止」という手続のどちらかが行われる。

そして管財事件では破産手続中、郵便物が破産管財人(破産する方の財産などを調査する人)に転送されて、確認されることに。

その理由は、破産手続を公正に終了するためには、債権者・債権額・破産する方の財産などを正確に把握する必要があるためである。なお、転送された郵便物は後日、破産管財人から返却してもらえる。

5:高価な財産が処分される
自宅や価値のあるような宝石類などは、自己破産すると処分されることになる。
すべての財産が処分されるわけではないが、住宅の名義が自己破産した人になっている場合には自宅は換価処分の対象。また、処分されるのは高価な財産だけで、価値が20万円以下の預貯金や自動車、通常の家具や家電も処分されることはないようだ。

6:保証人が借金を肩代わりする
ローンやその他契約をする際に保証人(連帯保証人を含む)を立てている場合、自己破産した人の借金はその保証人が肩代わりすることになる。

すべての借金に保証人がついているわけではないが、家族や親類など比較的近い関係にある人が保証人になっている場合が多い。保証人がいる場合、債権者は保証人に対して自己破産者に代わって支払うよう請求することになる。なお、連帯保証人の場合には本人に代わって返済しなければならなくなる。

|まとめ

以上記載したように、自己破産により債権が免責されることになるものの、自己破産にはいくつかのデメリットがあることが理解できたでしょうか。

いずれにしても、本当に自己破産手続きをとることが良いのか他に手段がないのかなどトータル的に検討して判断することが大事ですね。

自己破産については、その手続きや免責不許可事由、非免責債権などについても別途説明します。


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