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[1章5項]想像力を持ちながら、粛々とやるべきことをやる

先週に続き、今日は第一章「変革する力」の第五項について読んでいきたいと思う。

第五項 厳しく要求し、核心をついた質問をする

要求、質問をしないと現場の仕事は「作業」になる
現場の仕事というものは、放っておくと昨日と同じことを今日もやるようになっていきます。
普通に雇われて、普通に働いている人は、たいていの場合は顧客の創造という概念そのものがありません。
ですから、経営者が顧客の創造をしていくという方針を持って、これを具体的な場面場面で伝えていかないこういったことに関心を示さなくなります。

関心を持たなくなると、毎日が同じことの繰り返し。一つ一つの仕事が単なる作業になっていきます。
作業になると、お客様と接していても、そこから想像力を働かせてお客様のために何ができるかを考えようとすることがなくなります。

データを見ても、そこから見えてくるのは単なる数値であって、その裏にあるお客様の心理が見えなくなります。
だから経営者は、顧客創造の方針を持って、常に社員に
「お客様は、どう思っていると思う?」
「それで、次に何をしたらいいと思う?」
などという質問を投げかけて、考えさせなくてはいけないのです。
そして返ってくる答えが甘かったら、
「本当にそうなのか?」
「どうして、そう考えるのか?」
などという問いかけをして、もっと考えることを厳しく要求しないといけません。
有名な話ですが、トヨタ自動車では社員に「なぜ」という問いを五回繰り返すと言います。
それくらい厳しく質問して要求するようにしていかないと、顧客に関心を持ち、想像力を働かせて仕事をするカが弱まっていってしまうのです。
そして、そうした考える力の弱体化が、顧客創造の障害になっていくのです。

視野を広げ、可能性を広げてあげる
また、現場は、思い入れがある分、
「自分たちの商品はこうに違いない」
「この商品は、きっとこういうお客様が買っていくに違いない」
「この作業はこうやってやるものだ」
などといった狭い視野に陥りがちです。思い入れを持つことはいいことですが、顧客創造の視点からすると、時としてこれが障害になってくることがあります。
例えばヒートテックの開発でも、そのようなことが起きていました。
ヒートテックの開発チームの人たちは。もともとはババシャツの機能向上からスタートしていますから、自分たちは肌着を開発しているという思いを強く持っていました。

しかし、私は、これは肌着でなくなる可能性があると思うようになりました。よく見たらこれは肌着というよりもシャツに見えるのです。アウターとしても着ることができるし、重ね着もできる。これは肌着ではなくて、コンポーネントウェアになりうると思うようになりました。

肌着だと思って作っている開発チームの人たちには、すぐにはどういうことか分からなかったようです。肌着だとファッション性はいらないのですが、コンポーネントウェアと考えるとファッション性が必要です。ファッション性を入れないといろいろな人に買ってもらえません。

現場で思い入れを持って一所懸命やっているからこそ、自分達の可能性の広さに気づかなくなることはよくあることです。
だから経営者は、そうした時、核心をついた質問をして、視野を広げることをやってあげないといけません。簡単に譲ってはいけないのであって、出してくる答えが顧客の創造の視点から見て足りないのであったら、厳しく要求する。それが経営者の務めです。
結果的に、これまでババシャツは存在していて、年配の女性が買う市場はあったのですが、ヒートテックは、男性・女性にかかわらず、あらゆる年代の人が買うという市場を創造することになりました。

経営者の役割は、社員の能力を引き出して、可能性を広げてあげることです。そのためには、厳しい要求、核心をついた質問が必要なのです。

もの分かりのいい上司にならない
そこを誤解して、社員に嫌われたくないという思いから、もの分かりがいい上司を装う人がいます。
もの分かりがいいというのは、言葉の響きとしてはいいのですが、もの分かりのいい上司からイノベーションは生まれません。
部下も育たなくなります。自分基準、自分都合で仕事を完結させてしまいますから、本当の意味での達成感や成長実感を味わうことができなくなります。もの分かりがいい上司は、部下の成長機会を奪っていると思うべきです。これでは強いチームが作れないし、イノベーション左起こすこともできなくなります。

厳しい要求をする上司に必要なこと
ただし、ここで一つ、覚えておいてほしいことがあります。
それは、厳しく要求して本当にやってもらおうと思ったら、部下に「君だったらできる」というようなことを言ってあげることが必要だということです。本人がやる気を出して、実行していこうと思ってもらわないといけないのですから、本当にやる気が出るように、上司としてもっていってあげるようにするということです。

その時、もう一つ大切なことがあります。
それは、要求して、やらせる以上は最終的な責任は上司が全部取るということを覚悟しておくということです。
部下が一番嫌いな上司というのは、言うことだけ言って、最終的に責任をとらなくて、責任は全部部下に押しつけるというような上司です。
要求するだけして、要求したら上司の責任が済む、あとは全部部下の責任というような上司。こういう上司が一番嫌いで、部下は、この人についていこうとか、厳しいことを言う人だけれど頑張ってみようという気持ちになれないのです。
ですから、「責任は全部上司にある。うまくいった時は全部部下の功績だ」というような気持ちで部下に接することが大切なのです。

部下というのは上司をよく見ています。日頃の言動、行動の中に上司の本質を見抜いています。
「この人は本当に自分のためを思って言ってくれている」というものが伝わらないと信頼関係は生まれません。信頼関係のないところで、何を言っても無駄です。
信頼を得ようと思ったら、ここで言ったことを含め、常日頃からの姿勢・態度、これが重要になってくるのです。

想像力こそが人の強み

関心を持たなくなると、毎日が同じことの繰り返し。一つ一つの仕事が単なる作業になっていきます。
作業になると、お客様と接していても、そこから想像力を働かせてお客様のために何ができるかを考えようとすることがなくなります。

データを見ても、そこから見えてくるのは単なる数値であって、その裏にあるお客様の心理が見えなくなります。

普段から定型業務の自動化をやっていると「何がAIやロボットに代替されるのか」がだんだん見えてくる。実感としては、まさにここに書かれているような考え方に基づいた仕事から、代替されていくように思う。

ではどうすればAIやロボットに代替されない仕事ができるのか。それは人間の唯一の強みである「想像力を働かせること」以外にないと思う。もう少し掘り下げて考えてみると、それは「時代を読むこと」だし、「(お客様の)潜在的な需要を読み取り」、お客様が本当に必要としているサービスを考えることだと思う。

そのためにも顧客に関心を持つこと、心から自分が対象のお客様にサービスをしたいと思えるかどうか、がとても大切なのだと思った。(そのためにはビジョン駆動に仕事をすることが大切になってくるように思う。)

粛々とやるべきことをやる

ですから、「責任は全部上司にある。うまくいった時は全部部下の功績だ」というような気持ちで部下に接することが大切なのです。

部下というのは上司をよく見ています。日頃の言動、行動の中に上司の本質を見抜いています。
「この人は本当に自分のためを思って言ってくれている」というものが伝わらないと信頼関係は生まれません。信頼関係のないところで、何を言っても無駄です。
信頼を得ようと思ったら、ここで言ったことを含め、常日頃からの姿勢・態度、これが重要になってくるのです。

結局「自分が全て」のような人に、部下をマネジメントすることはできないのだと思う。耳障りの良いことを言って、部下からの評価をあげようとしても言行が一致していなかったり、首尾一貫していないようであれば、すぐにそのメッキは剥がれてしまう。

自分が思っている以上に部下は上司の言行をしっかりと見ている。言葉というものは「どの口が言うか」が大切だ。説得力はその言葉を吐く人の行動が決めると言っても良いのかもしれない。

それがどんなに些細な一言だろうと、その言葉を聞いた時、裏側に「その人がその言葉通りに行動してきたか」を自然とイメージすることができるかが大切なような気がする。

例えば現場のことは二の次で、長いものに巻かれるように会社からの評価のためだけに仕事をするような人に「仕事を頑張れ」と言われたとしても、その言葉からは「俺のために頑張れ」と言うようなメッセージが透けて見える。

一方で普段から現場の目線を忘れることなく、自分のことは後にしながら、部下に花を持たせるように振る舞う上司が同様の言葉を言ったのであれば、「この人は心から自分のために言ってくれている」と感じられるだろうと思う。

部下がその気持ちを受け取ることができたなら、(部下も)「上司のために頑張ろう」と思うことができる。これは言葉にするとベタだけど、「お互いがお互いを思う気持ちのようなもの」が生まれると、チームとして本当に強いと思うし、それが築くべき信頼関係なのではないだろうか。

信頼を築くためにまず自分がやるべきことは、言行一致、首尾一貫した行動を粛々と積み重ねる他ないのだと思う。

時間はかかるかもしれないけれど、倦まず弛まず屈せずに毎日頑張っていきたい。

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この本は経営者の方だけでなく、サラリーマンや個人事業主の方、NPOやボランティアなど様々な組織で働いている人にとって、とても学びの多い良書だと思います。内容はnoteでも紹介していきますが、一部のみのピックアップとなりますので、内容に興味を持たれた方は是非ご購入いただき、自分だけのノートに仕上げていただければと思います。

また本には振り返りのためのセルフワークシートも含まれています。日々の振り返りを行いたい、自戒することを習慣化したいと考えている方にも、とても価値のある内容だと思います。

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この「経営者になるためのnote」は毎週日曜日に書いています。過去に書いたものは全てマガジンに纏めているので、宜しければそちらもご覧ください。


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