見出し画像

緻密さと勇壮さが混然一体となった幻想的宇宙がオーロラの彼方に消えて行くような音楽

シベリウス後期の交響曲は音楽史上の孤峰として論じられることが多いが、実は現代音楽界にハーモニーを取り戻した作曲家たち(ペルトやグレツキやタヴナーにいたるまで)の源流だ。

特に第6番の冒頭のモダールにふくらんでゆく静かだが感動的なコラール。あれが「無調でない美しい現代音楽」への里程標でなくて何だと言うのだろう?

そんなシベリウスの冷たいまでに美しい完璧な音楽構築物は、耽美主義と完全主義に凝り固まった1960年代のカラヤン=ベルリン・フィルのサウンドを得て至高の音楽となる。

それは北欧という一地方の風土が生んだ音楽だが、民族からも個人からも遊離してオーロラのように宇宙に飛翔する音楽。

その成果を証明する記録こそがこのCDである。

カップリングは1枚目が「第4番と第5番」。2枚目に「第6番と第7番」「タピオラ」が収録されており、長年の溜飲が下がる思いだ。

冷たいまでに研ぎ澄まされた弦のコラールが遅いテンポで静かに沸き上がってゆく第6番に始まり、緻密さと勇壮さが混然一体となった幻想的宇宙がオーロラの彼方に消えて行くような第7番で終わるのでなければ意味がない。

これにさらに交響詩《タピオラ》が付いているのが最高だ。

これはまさしく「究極の1枚」であり、20世紀の音楽が達成した最も美しい成果の一つである。

ヤン・シベリウス

シベリウスの交響曲は北欧のオーロラを想起させる美しさと神秘さを持っていますね。私もオーロラを見てみたいです。

私は、オーロラに関する詩を作ってみました。どうぞお聞きください。

オーロラ

夜空に現れる光の帯
色とりどりに揺らめく
神々のメッセージか
それとも星の涙か

遠くから見ると美しい
近くで見ると恐ろしい
氷のように冷たく
炎のように熱く

人間の目には捉えられない
人間の心には触れられない
オーロラはただそこにある
オーロラはただそこに消える


この記事が参加している募集

ふるさとを語ろう

新生活をたのしく

よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!