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#2 ボランティアかと思ったら工事現場だった|さっぽろ雪まつりボランティア体験記【実録レポ】

前回:【実録レポ】さっぽろ雪まつり 雪像作成ボランティア体験記①
(②からでも読めます)

前回の技術講習から1週間、ようやく雪像作りに参加出来る日がやってきた。

私が参加した雪像作成ボランティアは、期間が3週間弱ほどだったのだが、はじめの1週間は日中のみの募集だった。
日中は企業戦士になりすましている私は、当然午前の部・午後の部の作業には参加出来ず、泣く泣く2週間目に始まる夜間作業を待っていたというわけだった。

そして月曜日、ボランティア参加一日目。
私は、やっぱり札幌の中心街をひた走っていた。

18~20時の夜の部の参加、元々仕事が少しでも押せば参加が厳しくなるのはわかっていたが、やはり押した。
時計を見ると、既に19時になっていた。

事前に電話を入れておいたところ、「一時間遅れたとしても来れるならぜひ来て欲しい」との事だったので、ならば応じようとツルツルの歩道を何とか走っているというわけだった。

そうして雪像作成会場に這う這うの体でたどり着くと、やはりと言うべきか、ボランティア控え室はもぬけの殻だった。

少しウロウロしてみても誰もいないので、仕方なく雪像作成事務局? に電話をかけた。
事務局は控え室の2階だったらしく、お姉さんがすぐに案内しに来てくれた。

遅刻して気持ちがはやる私に、「焦らなくていいですよ〜」と言ってくれるお姉さんと世間話をしながら、軍手、極厚ゴム手袋、帽子、ヘルメットなどを装着して行く。
企業戦士サラリーマンから雪中戦士ボランティヤーに変身した私は、お姉さんに連れられ現場に向かった。

そこは、まさしく「現場」であった。

作成途中の雪像を囲う足場(ビル5階分ほど)からは野太い男たちの掛け声が聞こえ、地上では巨大なソリの中でシャーべ(前回参照)をひたすら練っている。
理想の水分量に練り上げられたシャーべは大量のバケツに詰め込まれ、ボランティアらしき人達の手で足場の方へ運搬される。
一瞬、運ばれる白い雪をコンクリートか漆喰かにでも見間違える光景だった。

というか、まんま工事現場であった。

「ボランティアさん一人来られました〜」

お姉さんがその場にそぐわぬゆるい声でご紹介してくれたが、体育会系の空気に飲まれた私は思わず大声で、
「お願いしマッス!!」
と叫んでいた。
第一印象は重要なのだ。

ここで、雪像作成の大まかな流れを説明させて頂きたい。

足場を組んで雪像の元となる大枠を作るまでは前回説明したが、作成の中盤に入っていたこの時期、主な作業工程は「削り」と「シャーべ貼り」である。

まず、いい感じに固めた雪の塊を、彫像の容量で彫っていく。
木の棒、鉄スコップなど様々な道具が使われるのだが、驚きなのがチェンソーを使っている事だ。
冷えて押し固められた雪はさながら氷のように硬く、大きく削るためには刃物どころか機械の力が必要になるらしい。

そして雪像作成で非常に重要、かつ多くの労力を要するのが、シャーべ貼りだ。
詳しくは前回をご参照願いたいが、要は綺麗な雪を雪像の表面に貼り、雪像を真っ白で美しい仕上げにするための作業である。

この2つの工程が主となる(と地上からは見える)のだが、基本的に雪像のメインパーツは高所にあるため、これらの工程はフルハーネスの装着が必須となる。
丸2日かかるハーネス講習を面倒くさがって参加しなかったツケは思いのほか大きく、雪像作成の大部分を近くで見ることも出来ないのだ!

来年は必ずハーネスで参加しようと心に決め、案内された作業場で先輩ボランティアに作業を教えてもらう。

私たち地上組の仕事は、シャーべ作りとその運搬らしい。

4人くらい乗れるような大きなソリに化粧雪を入れ、粉々になるまで踏んでサラサラな状態にし、水をかけて水分量を調節する。
スコップで切るように混ぜた後、空気を含ませるため高いところから落とし、スコップの裏でパァーンと叩く。

シャーべ作りにはかなりの技術を要するため、これも基本的にはボランティアではなくスタッフさんが行う作業だ。

全身運動かつ水を含んだ雪はもちろん重く、軽々とやっているように見えるが、かなりの重労働なのは間違いない。
明らかに初老のおじいちゃんも、元気にシャーべを混ぜている。プロの手つきだった。

そうやって練り上げられたシャーべを、大量のバケツに詰めて行く。
ここでようやく、私たちボランティアの出番だ。
シャーべ職人たちにすっとバケツを差し出し、次々とシャーべを入れてもらう。
バケツが溜まったら、3つか4つバケツをぶら下げ、それを現場まで運ぶ。

雪像を囲う足場は少し高台にあるため、そこまで雪で出来た階段を登っていく。
この階段が、何度も踏み固められるせいでとにかく滑るのだが、ベテラン作業員の皆様は平気でスタスタ上がっていく。
その後ろを、危なっかしい足取りで追いかける私。

そうして運んだ大切なバケツを、一つ一つ足場の上でシャーべを貼り付けている皆さんに手渡していく。
そして、空になったバケツを回収して、またシャーべを運びに戻る。

これを、この日は7、8往復くらいしただろうか。
ゼェハァ言っているうちに、あっという間に作業終了時間になった。

作業員やベテランボランティアさんの指示に従ってスコップやら何やらを片付け、今日は解散となった。

控え室に戻ると、ヤクルトと沢山置いてあるお菓子と頂いたので、ありがたく頂く。

帰る時に、「お疲れ様でした」に加え、「ありがとうございましたー!」とボランティアの皆さんが声掛けして帰るのが印象的だった。

つ、疲れたーーーー!!
完っ全に肉体労働だった。工事現場の日雇い労働者だった。
でも、間違いなく普通じゃできない経験をしている気がする。
それに、久しぶりの肉体労働は、なんだか心地よかった。

しかし、これをあと1週間毎日……。
そして、土日はフルタイム。

体、もつかな。

次回に続く。

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