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【断髪小説】かわいい

-------------- モデルとなったご本人から許可を得た、ある意味でコラボ?的な小説です。 -------------- “ソラさんに会いたいです” 最初にやりとりをしてから2日目。DMをしたのは、りかの方だった。 二人は共に髪フェチだが、嗜好は少しずれていた。彼女は断髪が好きで剃髪は苦手。彼はどちらかというと剃髪の方が好き。 ソラは正直乗り気ではなかった。会ったところで髪を切れる訳でもないし、特に切りたいとも思わなかった。 彼は特に断髪には不自由していなかった

    • 【断髪小説】解釈違い

      新作の季節限定ラテを飲みながら、道ゆく人を眺める。 人通りがやや少ない気がするが、はじめてくるこの街ではこれが日常なのだろうか。 鎖骨らへんの髪をさわり、くるくると指に巻きつける。 「えっと、サリさん…?」 テラス席でボーッとしている私に、スマホを片手に持った人懐っこい顔をした青年がおそるおそる話かけてきた。 「あ、はい。私です。ゆーさんですよね?」 「よかった。間違ってたらどうしようかと思った。よろしくお願いしますね」 「はい…こちらこそ…」 私は今日、SNSで知り

      • 【断髪小説】お似合い

        弁護士になりたかった。 きっかけはありきたりだった。 小学生の時に見たドラマに出てくる、長い髪を靡かせた女性弁護士は、私の心を捕らえて離さなかった。 自分もドラマの中の弁護士と同じように、長い髪を靡かせて法廷で颯爽と振る舞いたいと思った。 それから、ずっと弁護士になると言い続けてきた。 憧れは簡単な道ではなかった。 一浪して地元の国立大学の法学部に入り、ロースクールの未修クラスをなんとか4年で修了した。 でも、ロースクールをなんとか修了した程度の私には、司法試験の壁は高

        • 【断髪小説】放課後の教室で

          トランペットのロングトーンの音、野球部のジョギングの掛け声。 オレンジ色の教室に、それらの音が遠くに聞こえる。 みんなの視線は私の後頭部に集まっている。 カースト下位の、目立たない女子の一人である私が、クラスのイケメンの彼と付き合い始めたのは雨宿りがきっかけだった。 雨に濡れた私の髪を、彼が綺麗だと褒めてくれたのだった。髪の手入れが唯一の趣味だった私は、何気ない彼の褒め言葉が嬉しくて、一気に彼に惹かれていった。 彼と付き合うまで長くはかからなかった。そして、付き合うと

        【断髪小説】かわいい

          【断髪小説】拡張、絶対領域

          学校に行きたくない。 背中で真っ直ぐなポニーテールがなびいていたのも昨日までの話。 目の上まであったシースルーバングは眉毛の上までの重たいパッツン、それ以外の髪は耳の真ん中で線を引いたように切り揃えられている。おまけに、その線から下は全て9mmで刈り上げられている。 こんな戦前みたいなおかっぱ頭、今どき誰がするのだろうか。 隣の席の高橋君の顔が頭に浮かぶ。私のポニーテールを撫でて、「サラサラするー」と笑顔を向けてくれていた高橋君。昨日まではその笑顔を想像するだけで学校

          【断髪小説】拡張、絶対領域

          【断髪小説】2人の秘密

          彩香との出会いはTwitterだった。 彩香は女性の髪が切られることに興奮する、いわゆる断髪フェチだった。 俺と彩香は、同じ性癖を持つ者としてsnsでの友情を育み、やがて付き合うことになった。 二人の愛は、「丸坊主にして」という言葉や、バリカンを彩香のおでこにあてるというゴッコ遊びと共に成熟していった。 自分の髪が切られたり刈られたりすることを想像して興奮するものの、かわいくありたい彩香は、本当に切られるのは嫌な人間でもあった。 彩香は前髪は眉下パッツン、重めで長めなボブを

          【断髪小説】2人の秘密

          【断髪小説】これからの髪型

          ------- 注意 この小説は、みそさんの小説「あの頃の髪型」(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=13216059)の続編(コラボ)となっています。 先にそちらをお読みください。 みそさんのファンの方におかれましては、拙い私の文章表現をご海容いただき、温かな気持ちで読んでいただけますと幸いです。 ------- オレの彼女の奥山由香は、自分の髪の毛を切ることで興奮をするらしい。 彼女はオレに自分の性癖を打ち明けてから、髪

          【断髪小説】これからの髪型

          【断髪小説】賭け

          放課後の教室、みんなが見守る中、クラスで1番の美少女の佐藤あかりと、サッカー部のお調子者の山田大樹の頭にゴミ袋が被せられた。 ことの始まりは1ヶ月前に遡る。 どういう経緯かはわからないが、 「一教科でも勝てなかったら私が坊主、全教科私が勝ったら山田が坊主、それでいいでしょ?」 佐藤さんのそんな声がクラスのざわめきをしんとさせた。 「いいぜ、言ったな、覚えとけよ。クラスのみんなが承認やからな」 山田が勝てば佐藤さんを坊主にできる! その日から俺の放課後を全て山田に費やすこと

          【断髪小説】賭け

          【断髪小説】髪を貢ぐ女③完

          メグさんの今の髪型は、左側1/3は触覚もあり、前髪も長く可愛らしい感じになっているが、そこから幅1cmくらいが眉上3cmのパッツン。そして、そこから幅4.5cmが1mmの青白い道になり、そのまた横3cmほどが眉上3cmのパッツンだ。 頭のほとんど真ん中を前から後ろまで青白い坊主の線が通ったショートボブの36歳の可愛らしい顔をした女性。 メグさんはそんな頭で大通りを歩き、沢山の人に見られながら、自分の頭を剃るための剃刀を買いにいったのだ。 とんでもないことをしてしまったのか

          【断髪小説】髪を貢ぐ女③完

          【断髪小説】髪を貢ぐ女②

          「どう、かな?」 流石に照れながら聞いてくるメグさんに、グッときてしまう。 「いいと思う…。なんか見違えたね」 正直な話をすると、前髪を切る前のメグさんは俺のタイプのど真ん中だった。 でも、眉のはるか上で揃った似合わない前髪も、それはそれでグッとくるものがある。 「えー、はる君絶対思ってないじゃん、切り損だよ切り損。明日からどうしよー」 そう言って眉をハの字に寄せるメグさんから目を逸らすと、時計はすでに23時をさしていた。 「はる君、終電気になるの?」 「いや、そ

          【断髪小説】髪を貢ぐ女②

          【断髪小説】髪を貢ぐ女①

          メグさんと初めてあったのは、俺が21歳の時だった。そのときのメグさんは29歳の、童顔だけど大人の女性だった。 歳は離れていたものの、彼女が追っかけをしているアイドルに似ているらしい俺のことを可愛がってくれていた。 とは言っても、単に仲の良い飲み仲間みたいなもので、当時は男女の関係ではなかった。 俺が大学を卒業して、他の都市で就職してからはメグさんとも疎遠になってしまっていたのだが、この春から転勤で再びメグさんの住む街に戻ってくることになった。 もうメグさんも36歳だし、結

          【断髪小説】髪を貢ぐ女①

          【断髪小説】彼の気を引くために③完?

          「ねぇ、あのさ」 前屈みになりつつ片付けを始めた彼に向かって、私の覚悟を投げかける。 「私の髪、ほんとはもっと切りたいんでしょ?」 「え、あ、なんで?」 「あのさ、さっきから、股間、刈るたびに…、ばれてないと思ってた?」 「あ、え、あ、いや、そうじゃなくて、これは、あえ」 「いいよ、正直になっても。私、別に引かないから」 「あ、えっと、はい…」 「私の髪、好きに切ってもいいよ?」 「ほんとに…?」 「責任とって付き合ってくれるなら、だけどね」 開き直って真っ直ぐに立った

          【断髪小説】彼の気を引くために③完?

          【断髪小説】彼の気を引くために②

          楽しいお買い物デート?を終えた私に、穴を開けたゴミ袋が被せられた。 ケープを買い忘れたことに気づいて慌てて近くのコンビニでゴミ袋を買ったのだった。 目の前の鏡に映るのは、お洒落な服を着て、可愛らしい髪型をして、ゴミ袋を被った私。 ゴミ袋を外すときには、どんな姿になってしまっているのだろうか…。 「じゃあ、いくよ。本当にいいんだね?」 「うん、お願い。かわいくしてね?」 私の髪を切ることで緊張する彼と、彼が近くにいることで緊張する私。 4000円で買った小さめの洋裁ハサ

          【断髪小説】彼の気を引くために②

          【断髪小説】彼の気を引くために①

          高校生のときに片想いをしていた彼と偶然出会ったのは、隣の市の駅前のカフェの中だった。 高校を卒業してから8年も経つというのに、彼の輝きは昔と変わらなかった。 私はずっと彼が好きで、高校を卒業して会えなくなってから、ずっと気持ちを伝えなかったことを後悔していた。 だから、どんなチャンスでも逃すものかと決めていた。幸運の女神様には前髪しかないのだから。 …… 彼は私と背中合わせの席に座っている。どのタイミングで声をかけようかな。 期間限定のコーヒーを飲みながら、カバンか

          【断髪小説】彼の気を引くために①