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おばあちゃんと編み物

最近「あみぐるみ」を編むのにハマッているのですが、
わたしに編み物を教えてくれたのは父方のおばあちゃんでした。

祖母は、手先が器用な人で自宅でスーツの仕立て業をしていたそうです。
そんなおばあちゃんは冬になるとキッチンでストーブを焚きながら、
いつも編み物をしていました。

おばあちゃんは、職人気質な人で、そんなに口数は多くなく
いつも黙々と手を動かしていました。

テレビの音と、ストーブの匂い、几帳面で掃除好きな祖母がピカピカにしてピンと張り詰めたキッチンで、祖母の存在をただただ感じていた気がします。

おばあちゃんは、かぎ針で帽子やアクリルたわしを作っていました。わたしは、「くさりあみ」という輪っかに針を通して引き抜くシンプルな縫い方をひたすらしていました。

おばあちゃんが側についてくれて、次はこうするんだよとか、ここは違うからほどいてやり直してみようとか、手取り足取り教えてくれました。

いまおばあちゃんは施設に入っていて会えないのですが、久しぶりにいざ1人で編もうとすると、いろいろなところでつまづきました。

そこで、すごくおばあちゃんの存在を感じました。あの時ひとりでしていると思っていたけれど、おばあちゃんがいろいろ教えてくれたから出来ていたんだなと気づかされました。

キッチンのストーブの上には、水の入ったやかんが置かれていて、そこから黙々と蒸気が上がっていました。

編み物をしていると、時々その音と匂いがしてくる感覚がします。

もうあの頃には戻れないけれど、わたしの中にはすべてが詰まっている。

受け継がれていく血と経験と感覚と。

何気ない日々の記憶が、いつまでもこころに寄り添い、
共に生きているんだなと思わされる出来事でした。


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