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本を届けるための方法論_西野亮廣さんの「新・魔法のコンパス」から考える

西野亮廣さんの新・魔法のコンパスを読んでいて、著書内のビジネスの考え方は、本を届けることに対しても参考になることが多く感じたので、気になる点の抜粋と考察をまとめてみました。

収益源を複数確保する導線設計

西野亮廣さんは書籍の印税は広告費に充てています。

本来であれば、作家さんの収益源である印税を収益にせず、広告費用として扱う理由として、主な収益源をどこに設けるかという視点を解説してくれました。

西野亮廣さんの主な収益源はオンラインサロンの会費が主な収益源です。

月額会費が1,000円のオンラインサロンは、年間、億を超える収益源となっているそうです。

仮に印税でオンラインサロン収益と同じくらいの収益を得ようとすると、ミロンセラーを年間数冊出すような現実的でない売上が必要です。

西野亮廣さんは、本はオンラインサロンへのいち導線として設計している。

オンラインサロンの収益導線として、本を出し、印税は広告費に充てる。

本の目的は作品としての価値以外に、自身のサービスを知ってもらう機会ともとらえることで、この導線設計が出来上がっています。

もちろん本は別サービスの広告として捉えられてはいますが、作品としての質は高いです。例えば、20pが一般的である絵本を40pで、数年かけて制作された作品や、制作費を1,000万以上かけられた絵本などがあるように、

印税以外に収益源を確保することで、広告費以前に、制作に対する時間や費用を他の作家さんよりも多くかけられます。

作家には2種類いる

上記、西野亮廣さんや自社サービスを持つ起業家さんなどのビジネス系の著書は同じようなモデルで展開されていることが多いそうです。

西野亮廣さんは、このようなタイプの作家さんを「ノベルティー作家」と称しました。本の印税を収益とせず、認知を広げて、顧客を増やすことが目的とする作家です。

つまり、2種類の作家が存在しており、

・本の印税で生きている作家
・自社サービスのお客さんを増やすノベルティー作家

の2つに分けることができます。

”印税を収入にしている作家と、広告費にしているノベルティー作家がいる世に広まりやすいのは後者”

この点は、皮肉な気もしますが、ひとつの事実として、参考にできることがないか考えるべき論点だととらえています。

なぜなら、本の印税だけで生活している人はどのくらいいるのか?

正確な数字の根拠となる資料は見つかりませんでしたが、実際に自分の本棚にある書籍の多くは、執筆活動以外でも活躍されている方が多かったです。

あくまで予想ですが、現状、印税以外での複数の収益源を持っている、または、持たざるを得ない作家さんは多くいるのではないでしょうか。

上記から、その際に想定する作家さんは2種類います。

1.印税を広告費、自身のビジネス活動に重心を置いている作家2.印税を収益、執筆に重心を置きたいが別ビジネスもされている作家

1の方が西野亮廣さんのいう「ノベルティ作家」さんです。

2の方は「ノベルティ作家」ではないですが、複数の収益源を持たざるを得ない作家さんです。

この2の作家さんの複数の収益源を確保し、執筆活動に重心を置くことができると、出版業界はより面白い作品が生まれるかもしれません。

複数の収益源をつくるとしたら エージェント

実際に、作家さんの複数の収益源を確保するような形を実現している存在として、作家さんとエージェント契約されているコルクさんは参考になるのではないかと思います。

”クリエイターとファンが直接結びつくことで、新しいエンターテイメントの市場は生まれる。”

”作家の能力を最大化し、360度のビジネス展開を推し進める”

コルクWebサイトより引用

コルクさんはクリエイターとファンをつなげることで市場を作る取り組みをしています。コルクさんの取り組みは、個人、しいては作家さん自身がSNS発信できる時代において、出版業が取り組むべき営業施策のひとつの形のように素人ながら感じています。今後もコルクさんの活動に注目していきたいと思います。

■他のエージェントさんをいくつか調べました。

複数の収益源をつくるとしたら メモ

執筆活動に重心を置きながら、複数の収益源を確保するとはどんなものでしょうか?執筆活動、作品に親和性や相乗効果のある収益源が望ましいと想定します。

あくまで思いつきベースですが、

1 出版社からの連載など原稿代2 作品関連グッズ3 作者、作品関連イベント4 別のサービス

上記の展開の方法や、4のなにか別のサービスを立ち上げることで、執筆活動に重心を置きながら、複数の収益源を確保できる作家さんが増えるかもしれません。

この点、随時Webを中心に考えていければ記事をまとめさせていただきます。

以上です。また次回、下記について記事を更新します。

広告の問題に向き合おう

お客さんが来ないと、つまり売れないと、そのビジネスは強制的に終わらされてしまう。広告とビジネスは切り離せない関係であり、広告の問題と向き合わなければならないことは意識することが大切だと西野亮廣さんは語っています。

いまの時代の広告論

広告の問題を解くにあたり、西野亮廣さんは

ハンドルはお客さんに握らせる
ニュースを出すことでなく、ニュースになることが大切。

と語っています。

事例として、
個人で壁面広告や新聞広告を買う。

SNS、テレビ、新聞でニュースになる。

情報を、受け取った人の発信力を使っているということ。

もうひとつ、広告の問題の主要因はお客さんに嫌がられることと広告の本質を指摘し、対策としての事例を挙げてくれています。

お客さんに相談する、という広告

新型クラウンのデザイン+広告を求められている案件に対し、上記の広告が持つ嫌悪感をどう払拭させながら、広告するか。出した答えは、

お客さんに相談する、という広告。

新型クラウンには〇〇という機能があるんだけど、これをどう広告したらいいかな?と相談を発信し、悩み事解決するような一般の方の返信と合わせてその悩みごとは多くのひとに認知されました。

この広告から学べること
・相談はするよりもされる方が嬉しいという人間心理。
・悩みを共有することで、人が集まる。

セカンドクリエイターに参加してもらう

これまでの経済では、需要と供給の2項目のようにクリエイター(発信者)とオーディエンス(受信者)という2つの立場で説明することができましたが、現在はSNSの存在により生まれた3つめの立場が存在するそうです。

ときどきクリエイターとして発信するオーディエンス、セカンドクリエイターの存在です。

セカンドクリエイターが参加できる余白を作ることが大事。

比喩として、西野亮廣さんは、「君」と「僕」の2人で作った本は、少なくとも君」と「僕」の2人が買う。つまり、本は2人で、作ると2冊売れる。

とたとえます。

これは、つまり、オンラインサロンやクラウドファンディングなどWebサービスなどにみられますが、セカンドクリエイター、つまり参加者を増やすことで大きな成果を得ることができる時代になってきています。仮に10万人で作った本は、10万冊売れる可能性が大きくなると語っています。

セカンドクリエイターが参加できる余白を作ることが大事。

コミュニティ、ファンベース、など昨今、頻繁に使われる用語とこの論理は密接に関係しています。

本を届けることを考えると、参加者を増やす、多くの方で作るというのも一つの方法論です。

集客はお客さんの1日をコーディネートしよう

SNSはセカンドクリエイターを生みましたが、同時に認知度を高めるツールとして重宝されはじめ、すでに飽和されている様相を呈しています。

強いコンテンツを出せば集客できるわけではなくなっている。

こんな事例があります。

なんばグランド花月は連日満員、有名人が多くいる東京の劇場でも毎日が満席ではないそう。

この違いは、

お客さんの一日がコーディネートできているか否か

と西野亮廣さんは考えます。

大阪に来てもらうには、なんばグランド花月だけでは難しい、しかし、USJに行き、たこ焼きを食べ、なんばグランド花月へ行き、お好み焼きを食べ、夜はミナミで呑む、という一日のプランのある観光者であれば、なんばグランド花月に行きやすくなる。

点でなく線、面で、お客さんの一日を考えることが大事だと。

ここで考えたいのは、東京も観光地であり、1日をコーディネートできるのではないか?ということです。

おそらく、ブランディングの観点から補足でき、大阪イコール笑い、たこやき、お好み焼きなどすでに強いコンテンツを想起させるブランディングがあるから、とも言えます。難波と新宿では、観光客の1日をコーディネートしやすいのは難波なのでしょう。

パッケージング、点でなく線や面で考えよう

雑誌や漫画週刊誌でも読みたい連載が3つあると購入意思が高まるという説をどこかで、聞いたことがあります。

1つの強いコンテンツで提案するのではなく、複数のコンテンツをパッケージにして提案する。

これがお客さんの一日をコーディネートするということなのかもしれません。

西野亮廣さんは事例として、イベントの開催時に、懇親会のありなしでチケットの売れ行き方が違うことに気づいたそうです。

「イベントに参加するだけでなく、懇親会で新しい出会いもあるのではないか?」

というように、コンテンツが複数あることで購入意思が強くなることが予想できます。または、参加のハードルを下げることができるとの見方もできます。

西野亮廣さんはもうひとつこの心理を湯布院で例えると、

温泉街であることは知っているけれど、いく動機がもう一つない場合、知人の結婚式が湯布院であれば前泊して行ってみようと思える。

これが参加ハードルを下げるということです。

書籍であれば、
・購入特典
・イベント

など複数のコンテンツを組み合わせることができます。

本屋であれば、
・近隣の本屋との協同
・カフェなどの飲食店とのツアー性のあるキャンペ-ン

など複数のコンテンツを組み合わせることができます。

パッケージングは考える余地が大いにある方法論だと思います。


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