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ギフトがあふれる街で 食べた 忘れられない味【思い出】

2018年3月15日 わたしたち家族は
教育移住のため、シュタイナー学校の
ある街へと引越した。

土地勘もなければ、知り合いもいない。

買い物はどこでするのか?
郵便局や銀行はあるのか?
本当に何も分からなかった。

だから、引越して数日は
駅構内にある特産品の販売をしている
観光案内所で売られていた
"キムチ"ばかり食べていた!
しばらくして"キムチ"は
売られなくなったのだが、、、。
そもそも、地元の特産品売り場で
なぜ"キムチ"が販売されていたのか?
今となっては謎だか、
わが家がキムチに救われたのは
確かである。

そして、山での暮らしの必需品、
自家用車もなく、、、。

最初のころは、週末になれば、
片道30分ほど電車に乗って
わざわざ、遠くまで買い出しに行った。

だけど、
そんな右も左もわからない生活は
ほんとに最初だけだった。

というのも
シュタイナー学校の娘の担任の先生は
わたしのメンターを数名
選んでくださっていた。

1年生から在籍している先輩保護者が
転入生保護者であるわたしのお世話係を
してくれた。

わたしのメインメンターはひとり
そして、サブのメンターがふたり。
計3名のママがわたしのお世話係。

本当にこのメンターの存在は
ありがたく、いっぱい助けてもらった。

学校のことはもちろん、街のことも
詳しく教えてもらったし、
車がないわたしを乗せて色々と
案内してくれた。

そして
今でも、忘れることができない
"味"がある。

引越して10日ほど経ったころ
先生に教えてもらった
メインメンターママに挨拶を!と
思い立ち、携帯に電話をした。

もちろん、メンターママへは
先生から事前に話が通っているので
突然電話をかけても、驚くことは
ないだろうと思いながらも
やはり、出会った事がない人に
電話をするのは緊張する。

ドキドキ、、、

だけど、話しだしたらすぐに
緊張は解けた。
とってもフレンドリーなママだ。
しばらく話して、じゃあまたねと
電話を切ろうとした時
「今、家に居るんならこれから
車で行くから待ってて!」
とのこと。
なんだろうな、、、?
と、思いながら、待っていたら
すぐに玄関の呼び鈴が鳴った。

メンターママが焼きたてパンを
持って来てくれたのだ。

「ちょうど、焼きあがったから
食べて!」と。

初対面で早速、いただき物。
え?こんなに、親切にしてもらって
いいの!?と戸惑いを隠せなかった。

何度もお礼を言って、
ありがたく、いただいた。

そのふわふわのパンの"味"が
本当に今でも忘れられない。

優しい味で、パンのいい香りが
体に染み渡る感じだった。

まだ会った事もないわたしに
パンを持って行ってあげようと
思ってくれた気持ち。
その心が本当に嬉しかった!

しばらく住んで分かったことがある。
シュタイナー学校のある街は
ギフトがあふれている。

品物だけでなく、
出来る人が出来ることをして提供する。
何かしてもらった人は、必ずしも
してもらった相手にお返しを
するのではなく、また別の人に!
何かをしてお返しすればいいし、
すぐじゃなくても、いつでもいい。
出来るタイミングで誰かに何かを
ギフトすればいい。
そんな感じでうまく循環している。

困っていたら、みんなで解決しようと
してくれるし。
独り占めはあり得ない。

譲り合いの精神がごく普通に存在する
街だなと思う。

今、世の中はザワザワしているけれど
この騒ぎが終わったら、、、

奪い合い、争い合いの世界から
譲り合い、助け合いの世界へとシフト
しますように、、、と

山の中での生活を思い出しながら
祈らずにはいられない。

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