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整理する

よくあることなのだが、
一つの仕事をやっているうちに関係のあることが付随して出てきて、
それを調べた資料をまた使うかと思い、そのまま出しっぱなしにする。

仕事が全て終わった時に片づけることになるわけだけれど、
その仕事に時間がかかった場合、本が散らかった状態が長く続くことになる。

ものについても同じで、一度使って『また使うかな』と思い近場においておく。
すると近場にものが溜まり、気が付くとものが散乱していることになる。

どうも筆者に近い男性はそういう人が多く、
父親も掃除をするのが苦手(だから掃除してもらったら、汚さないようにする)だし、
弟も苦手で、「これは遺伝だ」と開き直っている。

ある先生も、聞いたところではご自身で部屋を片付ける時間が無いらしく、床に頂き物から外した包装紙が散乱しており、足の踏み場もないとのことだった。

ただこの話は、筆者の部屋が掃除できていないことを話した時の先生の話だったので、慰めるつもりで話して下さったのかもしれない。

かように、学校に通っていた時は整理整頓が苦手で、生活環境について何の気配りもしていなかった。

断捨離や整理をして気の流れを良くし、ものごとをスムーズに動かすことに注意が向いたのはここ数ヶ月のことである。
それができるということではなくて、「そういうことをすると、人生の流れが変わるらしい」という話を聴いたのが最近だということだ。

そこで整理、断舎利をしようとして、しばらく使っていないもの、預りもので置きっぱなしになっているものに注意が向いた。
使っていないものが結構多いことに気付く。

預かりものを「使って良いよ。」といわれても、なかなか使えないのが日本人である。
十五年以上前に預かって、その後インドに来ていない友人の荷物があるが、
それもまたどうしようかと考える。

先日、古くなって着ることは無いだろうと思われる衣類と、取っ手が破けているバックは処分させてもらった。
しかし台所用品や電気器具などは悪くならないので、処分に気が引ける。
自分自身笑ってしまうのは、使いかけの洗剤や虫よけなど、使用期限は数年前に切れているにも拘らず、『彼が帰って来たら、また使うかもしれない』などと思って捨てられなかったことである。

このご時世、その人がまたインドに来ることは無いかもしれないし、来たとしても昔よりは豊かになっておられようから、あまり気にしなくても良いかもしれない。

つらつら考えて、ものにも気が留まるということも、道理に適うと納得した。

当時の経験につながるエネルギーが物理的な場を占めながら、心の一部にも場所を取る。
大きな石がボコボコある川は流れが悪くなるように、
心も気にかかることが多くあると、流れが滞ることがあるのかもしれない。

荷物を置いていった友人は、非常に自由で自分の価値観がしっかりした面白い人だった。
荷物の中に大きなバケツがあるのは、自身がラダックに行って風呂場が無く、水をためて身体を洗うために買ったのだとか。
大きな電気調理器があるのは、ゲストハウスで自炊する為であったとか。

ものを預かった数年後、今から数年前にしばらくぶりで会った時、白髪が増えていた(当時は白髪最多時であった)筆者に対して開口一番、
「おばあさんになりましたね!」
と何のためらいもなく天真爛漫に言ってくれた男の子である。

『大きなお世話だ』と思いながら
何を返答したかははっきり覚えていない。

「荷物どうするの?」と訊いたら「使って下さい」とか言っていた。
友人の巡礼を案内して回っているという。

・・・この荷物、やっぱりもう要らないな。

ダラムサラは観光地だから、人の出入りも激しい。
沢山の友人と一緒の時を過ごして、今はそれぞれの場所にいる。

残されたものも整理しなければならないが、
何はともあれ、
皆が平穏に暮らしていてくれれば良いと、心より思う。


DECHEN
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