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日本のアニメって海外で本当にそこまで流行っているの?現地人に聞いてみた+α

日本のアニメって海外で本当に流行っているの?

よく「日本のアニメは海外でも人気ですごい」という記事が個人のみならず報道機関からも出されることがあります。
では本当に日本のアニメは海外でそこまで人気なのだろうか。気になりますよね。

そこまで流行ってない

結論から言えば、日本のアニメは海外でそこまで流行っていません。

というより日本ですらまだまだアニメはアンダーグラウンドなところがあります。萌えキャラや深夜アニメが市民権を得たのは比較的つい最近の出来事ですし、田舎では東京ほどアニメ看板もありません。

当事者の日本ですらそうなのですから、海外で流行っているわけもありません。

まず日本では国民的アニメとされる子供向けのアニメ作品、つまり名探偵コナンやアンパンマンは海外では流行っていません。(一部の国で部分的に流行ったりはあるとしても)

これらの映画の興行収入のほとんどは国内需要です。海外のいかなる作品をも抑えて日本ではアニメ映画が覇権をとり、名探偵コナンなどは毎年のように封切されては出せば当たってしかもそれが年間興行収入ランキングの常に上位に入るほどです。

コナンやアンパンマンといった作品は、子どもたちの需要が高く、多くのファミリーが映画館に足を運んだりアニメを視聴するため日本では常に上位にランクインしますが、海外では一切その気配はありません。

日本の異常なところは、日本の内需だけでコンテンツの世界ランキングに食い込めることです。

例えばアンパンマンは世界のコンテンツ収入ランキングで一桁台です。
すると世界で流行っているようにも見えてしまいますが、実際には日本国内のみの需要だけで世界上位に入ります。

海外で持てはやされているのは萌え系コンテンツ

日本以外の国では、アメリカも含めてアニメは幼児あるいはティーン向けという認識があります。少なくとも成人向けでは想定されていません。

例えば1997年に公開されたジブリの「もののけ姫」。海外で高い評価を得始めるきっかけとなったアニメ作品ですが、この当時は特に、アメリカからの評判は悪いものでした。

その理由は「子どもには難しすぎる」といった批判でした。つまり日本のように大衆向けではなくティーンどころか10代前半くらいの年代の子供向けのものだと認識されていたから起こった批判でした。

そう、海外には大人向けのアニメーション作品はほとんどないのです。ヱヴァンゲリヲンやガンダムといった、哲学的なものや戦記、大人も熱中できる内容のものはほぼ無く、もちろん萌え系アニメなんてものは存在しません。

それは海外ではアニメ自体がニッチで生産しても売れないからですが、日本では圧倒的な内需で経営が成り立つので、大人向けアニメも多数つくられ、海外にはついでに展開されています。

日本のアニメはいわゆるロングテール(個々では取るに足らない薄い需要でも集めるとバカにならない規模になる)なのです。

アニメの主戦場は少年少女向けで、その需要ではディズニーをはじめとしたアメリカのキャラクターやコンテンツが圧倒しています。だからコナンやアンパンマンは海外では戦えていません。

しかし海外では大人向けアニメの需要はほぼなく、そのうっすい需要では普通は経営が成り立たないものの、日本ではそれが可能なので、全世界のうっすい需要を総なめできています。

従って日本のアニメで海外で戦える(というよりライバルがほぼないので敵無し)のは大人向け作品になっているのです。
大人も見れる複雑な内容のアニメのほか、18禁でも日本が世界的に圧倒しています。

そもそも海外ではアニメそのものがアングラ

上記のように、日本の作品は海外では正面対決で勝てる要素がほとんどありません。
一方でライバルもいないようなものすごくニッチな需要はすべて日本が担当していると言っても過言ではありません。

結果的に、日本国内需要だけで世界市場ランキングに食い込めて薄い需要を世界で総なめしている日本と、純粋にハリウッドやディズニーなどが強すぎるアメリカで、世界のコンテンツ産業は二分されています。

アニメのみならず、キャラクターコンテンツ全般でそうです。
サンリオが世界展開できているのは、子供向けではなく大人向けにウケが良いからです。

そもそも日本とアメリカ以外では、キャラクタービジネスやアニメの市場はかなり小さく、狙っていくほど重要な市場ではありません。
少なくとも普通の国・企業であれば、アニメやキャラクターをやろうなんて考えず、まだ観光産業を育てます。

海外の投資家たちが日本のコンテンツやアニメを評価している点は、日本の市場規模があってこそです。

中国をはじめとしたアジア圏や、中東の投資家は日本の市場に参入して日本人からカネを取ることのみを考えています。

それは自国の需要すら無視して、対日専用に会社やコンテンツを作るほどです。自国にはアニメ市場もコンテンツ市場もないから当然そうなります。

確かに日本のアニメは評価されている

あなたが海外旅行をしても、日本のアニメを感じることはほとんどないでしょう。
それもそのはず。日本だってアニメの看板が堂々と町に出始めたのはつい最近で、今でもご老人方を中心に批判の的になっています。
海外では街中で全面的に日本のコンテンツが披露されることはあまりありません。

日本のアニメを採用するのは、主に日本人がお金を落としてくれるからであって、海外ではほとんど訴求力を持っていません。

しかし、全世界の大人向けアニメ需要は日本だけが独占しているようなもの。そういったかなりニッチな、表では表明できない18禁需要や、1000人から1万人に1人くらいがハマっているようなコアなアニメの市場を薄く広く支配しているのです。

ただでさえ主要市場でないアニメの中でも、異質中の異質である大人向けアニメですから、かなりのアングラ具合です。

それゆえ彼らの熱量は大きく、アングラゆえに強く求めねば仲間と出会うことすらできません。
また遠方であってもイベントがあれば参加したりします。

これが、海外で流行っているはずなのに海外で一切見かけない謎や、なぜかネット上では海外勢の熱い参加がある謎の答えです。

日本のアニメが世界に広まって、熱烈なファンを多数獲得している。これは事実です。
しかし海外に広く知られて評価されている。というのは違います。

あくまで、海外からの参入者などいないようなかなりニッチな薄いアングラの需要を独占的に支配しているだけであって、メジャーな存在というわけではありません。

勘違いして日本のコンテンツは世界で広く知られている。と思わないほうがよいです。
一方で全世界に熱烈なオタクたちが存在しているのも事実で、あなたが試みれば、海外にもアニメ友達は作れます。


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