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#1 雨下の迷い者たち

その『注文リスト』は、雨のにおいがした。

 まるで雨がずっと降っている世界から持ってきた紙みたいだと、そう思った。僕は、ごくりとつばを飲み込む。ドラマみたいに響いたその音は、少しかすれていた。
 冬の放課後は、日が落ちるのが早い。今日だって、まだお帰りチャイムもなってないのに、もう夕焼けがまぶしい。世界の色が傾いて、誰もいない教室を名残惜しそうに照らす。ふんばって立っていないと、夕日の世界に落っこちてしまいそうだ。

 昨日、先輩が話してくれた、『注文リスト』のうわさ。あまり本気にしてなかったけど、どうやら本当のことらしい。机の中にある紙を見つけて、僕はそう思った。得体の知れないものに頼るのは、怖くもあるし、不安になるけど、もう今は、この方法しかないような気がする。やってみるしかない。だめでもともとだ。自分にそう言い聞かせてみた。運動場から聞こえてくる野球部の声も、どこかから聞こえる吹奏楽の音色も、合唱部の歌声も、生徒たちの笑い声も、どれもみんな放課後の音楽を奏でている。その音楽に、新しい旋律を。僕は、そのいすに腰かける。

 もう一度、ごくりとつばを飲み込んだ。そして、『注文リスト』にこうつづる。

    “雨を降らせる機械〟


ずっと前から、ずっと書き溜めていた物語なんですが、
これから毎日投稿していこうと思います!
ぜひ、追いかけてほしいです!!

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