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心が温まる冬のジャズ [Your Nearness - Triosence & Paolo Fresu]

2021年12月19日、早朝。悲しいニュースで目を覚まし、この記事の執筆が一日ずれ込んでしまった。悲しいニュースの主役が余りにも美しく聡明で若かったので、多くの人々が運命の番狂わせを憎んだことだろう。
私も丸一日音楽すら聴くことが出来なくなり、まるで病人みたいに一日中床に伏せって過ごすこととなった。

だがそんなことをずっと続けているわけには行かない。なので明けて月曜日、2021年12月20日、極寒の朝の台所に立ち、先ずは一杯の薄いミルクティーを淹れて心を整えた。
如何せん東京の寒さは物凄くて、断熱機能の乏しい我が家の寝室で私はブルブル凍えて、何度も何度も耐熱ガラスにお湯を入れて冷えた室内を加湿しながら温めざるを得なかった。

一日執筆をずらした音楽。一曲だけではなかったので、SpotifyのプレイリストやYouTube Musicをざっと捲って目当ての音楽を片っ端からチェックして行く。
嗚呼、それにしても本当に今日は寒い‥。

そんな寒さをそこはかとなく温めてくれたのがこの曲『"Your Nearness" - Triosence & Paolo Fresuだった。

Paolo Fresu のトランペットはもうかれこれ、15年以上も前からずっと聴き続けている。切っ掛けは私が当時従事していた「シャンソン & カンツォーネ~ラテン全般のピアノ伴奏」の過程で、確か仕事中の休憩時間にレコード店「新星堂」で彼のアルバムを試聴したことだったと記憶している。

中でもアルバムMare Nostrumが和訳なりの海外直通盤で新星堂の店頭に陳列されていた時、その試聴盤を聴いた時の感動とショックを今でも忘れることが出来ない。


アルバムMare Nostrumの中の Paolo はどちらかと言うと脇役に徹しており、主役としてスポットが当たっていたのはむしろ、フランス人アコーディオニスト Richard Galliano だった。

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過去世イタリア人を経験している私としてはこの、どうにもイタリア~ンな Paolo Fresu のペットの旋律の中にイタリアを感じて仕方がなくて、曲の途中何度も泣かされた。

だが私は自身のアルバム製作も進めており、暫くの間 Paolo の音色から遠ざかっている。自身の音楽を生み出す時は全身及び記憶の中のある限りの音や音楽を抜かなければならないので、Didier Merah がアルバムHeavenに着手してからほぼ一年以上、私は特に心をかきむしられるような音楽から意図的に遠ざかっていた。

2021年夏、自身の手の怪我等が連続し、それを機に私 Didier Merah は長期休養に入り、同時に音楽評論を開始した。その過程で多くの音楽を聴くこととなり、そんな折 Paolo Fresu のアルバムTango macondoに衝撃を受ける。
そして2021年冬、Paolo Fresu はドイツのジャズトリオ "Triosence" と連盟でシングル "Your Nearness" をリリースした。この作品では Paolo は完全にソロでTopを取って、華麗なトランペットを奏でている🎺

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脇役に回った "Triosence" のPlayさばきも美しく、どこか古き良きECMの香りをベースにとても上品なジャズを披露しており、私はすぐさまファンになった。
普段は大のジャズ嫌いで通している私も、やはり良い音楽には目がないのだ。

シングル曲Your Nearnessと時同じくしてもう一曲、同じ組み合わせでQuiet Sense feat. Paolo Fresuがリリースされている。


あくまで個人的な好みだが私は、基本的には「ヴォーカルのない音楽」が好きだ。それもこれも私が生粋のクラシック音楽をバックボーンに育って来たことときっと関係があり、そんな私が20代から中年期の約23年余に渡り少し遠回りをして「ヴォーカルの伴奏者」と言う脇役に回ったのは何故だったのか、もう今となっては思い出せない。

先日の悲しい訃報を見ても、人間明日何があるか分からない。だから私は多少の体調不良を押してでも、時間を見つけて一曲でも多くの音楽を聴きたいと思う。
そしてそこで得たものを文字化して、一つでも多くの音楽を音楽評論を添えて皆さまにご紹介出来れば本望だ。


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