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シネマ飛龍革命『オペレーション・フォーチュン』

例えば、アナタが部屋で1人で休日を過ごしているとしよう。
しかし、である。
そこへ、シレっとジェイソン・ステイサムが現れたら、どうするだろうか?
しかもノックなしに!

ダメ押しのように「仕事だ。準備しろ。今から海外へ飛ぶ。」と無茶なことをステイサムは言い出す。
いわゆる、押しかけステイサムだ。
カタギ、反社関係なく、究極に断りづらい状況である。
もうSAY YESしかないじゃないの!!
…と、観てる分には愉快だが、当事者になったら震える映画が公開された!
それが『オペレーション・フォーチュン』だ!


今年の夏はデカいサメの群れを相手に大一番を繰り広げ、我々の尻子玉を引っこ抜いたのが記憶に新しいステイサム。
向かうところ敵なしの彼が次に挑むのは、サメ並みにデカい陰謀であった!
普通であれば手に余る事態に、正攻法じゃ埒が明かんと踏んだステイサムは口悪ハイテク女子、寡黙な凄腕新人スナイパーといった組織でもクセ者扱いの仲間を招集……しただけでは満足せず、掟破りのカタギ=映画スターまで強引に勧誘!
そんな協調性より個性が上回るチームのターゲットは、胡散臭さ150%の武器商人ヒュー・グラント!
「ステイサムも作戦も奇を以って良しとすべし!」とでも言わんばかりに、オフビートな騙し・騙されの諜報戦が始まるのが本作の主なあらすじだ。

スタイリッシュなステイサム軍団。俺も混ぜてくれ!


今回ステイサムが演じるのは、組織に飼い慣らされないスパイの中のスパイ=オーソン・フォーチュン。
媚び知らずな姿勢。
小粋なイングリッシュ・ジョーク。
パリッと決まったスーツ。
説明不要な戦闘力の高さ。

…と、ステイサム役満な作品である。

ここ最近は出演している作品の規模に比例するように、グングンズンズン人間を超えてきた彼氏だが、こうした中規模な作品でこそ魅力がキラリと輝く!と長く付き合ってきたファンこそ再認識させられるだろう。
とはいえ、痛快丸かじりの模写は健在!
通りすがりに敵の股間へ挨拶スタンガン、どっちを返答しても殴られる拳のカルトクイズ、勢い余って高所から刺客をスローイング、終盤の限界一人サバゲー状態に目を見張ってしまうだろう。

007は殺しのライセンスを所持しているが、ステイサムはライセンス知らず。
殺しの無免許状態で戦闘力を爆発させていく。
おかげさまで隙あらば休暇やら経費を私的に濫用!
組織の一員にも関わらず、経費で高級ワインを購入するなど、美味しんぼの山岡さんみたいなスパイっぷりを披露してくれる。
ともあれアウトロー丸出しなステイサムの姿は、日々他人にどう見られるかを気にして生きる我々にとって実に眩しい。

スパイ界の山岡士郎

なにせ今まで若頭ポジションを務める機会の多いステイサムであったが、そんな彼も遂にリーダーを務めるのか…と実に感慨深くなるだろう。
とはいえ、管理職の割には若手からの『どうぞどうぞ』的な要請に応じ、誰よりも身体を張るのであった。
もちろん、当たり前みたいに誰も心配をしていない!
ステイサムを!!

そんな職場の期待(!?)に応えるかの如く、例え想定外の修羅場に陥っても一切動じないステイサムなのだった。
劇中のステイサムを見ていると「ヤベエ時は一発ジョークを飛ばす余裕を持て!」という学びが得られる。

戦闘力が高いおかげでイジられるステイサム



監督は『ロックストック&トゥースモーキングバレルズ』『スナッチ』でステイサムを見出したガイ・リッチー。
かつては満を持してステイサム主演『リボルバー』を製作したものの、二日酔いみたいなストーリーに誰もが言葉を失った。
だが、起死回生で放った『キャッシュ・トラック』で異色のステイサム・ホラーという新境地を開き、返す刀で本作を製作!
『コードネームUNCLE』でスパイ映画を手掛けた実績を活用し、リッチー印の洒落たスパイ映画に仕上げている。
とはいえ、最終的にはバギーでステイサムが1人で敵地に突っ込むあたりに、ほのかなエクスペンダブルズみを感じてしまうだろう。

エクスペンダブルズ丸出しだぜ!


同じ作品で役者、監督として共にデビューし、年月を経て仕上がった2人による友情のツープラトン映画だが、ヒュー・グラント、ジョシュ・ハートネットといった他のキャストにも見せ場を作るなど、良い意味で作品としての懐が広くなっている。
「いつものステイサム映画」と揶揄されがちなステイサム主演作品だが、本作は最近の主演作品とは違った味わいがあるはずだ。

脇役として1本、本作を含めて主演作品が2本も公開された2023年。
近年稀にみるステイサムバブルだ。
「もう元号も令和からステイサム元年に変えてもいい気がする」と思ったのは、ステイサム学会だけではないだろう。
更に来年には待望の『エクスペンダブルズ4』本国ではバトル養蜂家(!?)を描いた『ビーキーパー』の公開が待機しているステイサム。
今後ますますステイサムの活躍から目が離せない。
景気づけとして是非劇場に駆けつけて欲しい。

※『オペレーション・フォーチュン』のパンフにコラム書いてるんで、劇場で手に取ってくれよな!

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