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僕の好きな俳句たち(1)
山本健吉『俳句鑑賞歳時記』より、いくつか紹介したい。春の句から。
雪とけて村いっぱいの子ども哉 小林一茶こういう無邪気な句はとても好きだ。すらりと読めてわかりよく、それでいて一文字もゆるがせにしない。
外(と)にも出よ触るるばかりに春の月 中村汀女これも直接的な句。「外に出てみなさいよ。触れそうなほどの春の月です」という、冒頭の強い呼びかけがやわらかい「春の月」に終止してゆく様は見事。
ふら
リルケの詩とリルケというひと
リルケ(1875ー1926)の作風は、一見掴みづらいな、と思っていた。あるとき、ゆっくり読むことができて、少し明かりが差したと思う。(『リルケ詩集』富士川英郎訳、新潮文庫、1963年) 引用を多くしながら、リルケの作風を眺め、作家論を入れてまとめよう。
私が親しくし、兄弟のようにしている
これらすべての事物(もの)のなかに私はあなたを見出す
種子としてあなたは小さいもののなかで日に照らされ
珈琲を愛飲する作家です。よろしくお願いします。