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ウクライナにはドローン組み立てオンライン講座があるらしい

「ウクライナ軍へ送るドローンを家で制作する女性」

 ウクライナの国営通信社である「ウクルインフォルム」のネットニュースを読んでいたら、興味深い記事を見つけました。「ウクライナ軍へ送るドローンを家で制作する女性」という記事です。

 今や、素人でも自宅でドローンを作ることができる時代なのですね。記事を読み進めると、この女性は「ドローン組み立てのオンライン講座」で作り方を学んだようです。

 要約すると、ウクライナ西部のチェルニウツィーに住むボランティアの女性、ヴィオレッタ・オリーニクさんは、アクセサリー作りで磨いた技術をはんだ付けに応用し、ウクライナ軍が使用する無人航空機を組み立てています。


ウクルインフォルムのニュース記事から オリーニクさんの作業風景

 もともとは、アーティスト活動やボランティア活動、そして募金などで資金を積み重ね、完成したドローンをウクライナ軍に提供していました。これらの行為は、ロシアの侵攻直後に志願兵として戦地に赴いた父、兄、弟との日々のメッセージのやり取りの中で始まりました。彼女は家族から様々な物資の購入を依頼されました。銃弾や照準器など武器に関する要望も多かったと述べています。やがて、その需要がドローンや自動車に移り変わっていったといいます。日本では想像もつかないような要望ですね。

 しばらくするとオリーニクさんは自らドローンを組み立てて送ることを決意しました。ドローン組み立てのオンラインコースがウクライナには存在したからです。

 二つのコースが紹介されていますが一つ目が「自宅でドローン」というコースです。爆弾投下型ドローンや自爆型ドローンの組み立てプログラムを提供しています。また、「ヴィクトリー・ドローン」というFPV型のドローンの作り方を教えるコースもあります。
(FPV型とはドローンのカメラの視覚を受信機で観ながら操縦するドローンです)

 このディアゴスティーニっぽい気楽さの中に、殺傷能力を持つドローンというギャップには驚嘆です。

 オリーニクさんはこう述べています。「前線の家族とのメッセージ交換で一日を過ごす中に、ドローン制作に時間を費やすことで、穏やかな気持ちになり、注意をそらすことができます」と。同様にあるウクライナの医師が指摘した内容も別の記事で目にしたことがあります。多くのウクライナ国民が現在PTSDに苦しんでおり、不安や緊張からアルコール摂取が増加しているという情報です。
これが戦争の酷さの真実ではないでしょうか。戦場で戦う兵士だけでなく、普通に暮らす多くの一般市民も、戦争の苦しみから逃れるために何かに頼らざるを得ないのです。心に多大な傷を負っているのが現実です。

 オリーニクさんの言葉に戻ります。「最初の1機を組み立てて軍に提供し、それが戦場で活躍するのを聞いて安心を覚えました」と。彼女が制作したドローン9機は既に戦地に投入されています。


ドローンが飛び交う最前線のイメージ

 現在では、1日8時間の作業で2機のドローンを組み立てられると言います。私が最も注目したのは、「アクセサリーよりもドローンの制作の方が気楽だ」という発言です。アクセサリーは使用者の好みに合わせる必要や、好みに沿わないことを考えると気を使います。しかしドローンにはそれがありません。すべてのドローンには同じ基準があり、はんだ付けや基盤が汚いなどということに関する苦情はありません。


ウクルインフォルムのニュース記事から オリーニクさんの作業風景

 私たち日本では想像もつかない感情や事実が戦地では生じています。戦争さえ起こらなければ殺傷能力を持つドローン制作で平穏な感情を保つという実態は無かったことでしょう。私たちは一日でも早い終戦を望みます。日本人は戦争を手伝うことはできません。一方ビジネスでは共存共栄をしていくことが可能です。ささやかでも良いので、ビジネスや経済で手を差し伸べていくことがますます重要ではないでしょうか。家族が戦地から帰ってくるのを待つ市民の生活や心の健康を保つためにも。それを支援していくのが私たち株式会社DIVERTRの活動です。引き続きのご支援を宜しくお願いいたします。

尚、本文章は、ウクライナの国営通信社である「ウクルインフォルム」の2024年1月26日WEB版のヴィタリー・オリーニクさんの記事を参考にしています。



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