NO MORE 〝没オリジナリティ〟 〜あなたの文章を特別にする方法〜
仕事中、よく耳にする言葉です。
「オリジナリティ」
文章を書く上でも大事ですよね。しかし、実際に番組制作に携わるプロでさえ、あっさりとそこが抜け落ちることがあります。
どうして、そんなことになるのか?
実は僕も、最近になって言語化することができました。〝没オリジナリティ〟に陥らないためには、意識するべきことがあるんです。
僕の場合、仕事で携わるのは人物を描く企画。主にアスリートです。そんな中、没オリジナリティになりがちなのは……、
取材対象の知名度が低い場合です。
有名な選手と違って、そもそもの部分を説明したくなるんですよねー。結果、経歴を追うだけの、履歴書のような構成ができあがってしまう。
典型的な流れがこちら(↓)。
✅先日、〇〇の大会で優勝!など、注目した理由
✅持ち味は……
✅そんな☆☆が競技と出会ったのは……
✅幼少期~学生時代の思い出
✅△年前の大会で頭角を現す
✅しかし、◇◇のときに挫折……
✅乗り越えるための努力
✅そして、成果
✅将来の目標は……
もちろん、この流れでも成立はするんですよ。でも、事実を並べるだけではオリジナリティは生まれません。
では、一体なにを意識するべきなのか?
ひとつめは、流れの中のどこかを切り取って、掘り下げる。
絵画に例えてみましょう。
りんごと箱とペットボトルがあったとして、どのような構図にしたらオリジナリティが出るでしょうか。
主役をひとつ選んで、あとのふたつは引き立て役にする。そんな工夫を考えるでしょう?
それと同じで「満遍なく」は厳禁なんです。とにかく、テーマを絞る。
「天才の育て方」なのか、
「勝つためのメンタル」なのか、
「急成長の秘密」なのか、
「勝負の分水嶺」なのか、
「知られざる素顔」なのか。
そのアスリートのどんな側面を一番に紹介したいのか。そこがオリジナリティを出す第一歩。
これって、対象がアスリートでなくても同じです。好きなアーティストについて書くときでも、気に入った居酒屋のことを書くときでも、きょうの出来事を書くときでも、全て同じなんです。
ふたつめは、自分なりの仮説を立ててみる。
〝もしかしたら目線〟とでも言いましょうか。
印象に残っているのは、2007年に携わった北島康介さんの企画です。
北島さんは2004年のアテネ五輪で二冠を達成したあと、燃え尽き症候群に陥っていました。国内でも負けが続き、引退も考えたといいます。それが、北京五輪では完全復活を遂げて、再び二冠達成。
大きな転機になったのは、2006年のパンパシ水泳でした。
この大会、北島さんはライバルのブレンダン・ハンセン氏に完敗。自身の持つ世界記録も破られてしまいました。
ここで、ディレクターはある場面に着目します。
ゴールしたハンセン氏が雄叫びを上げ、水面を派手に叩いたんです。その姿は、アテネ五輪での北島さんとそっくりそのままでした。
そして、立てた仮説が……、
「もしかしたら、ハンセン氏は北島さんを意識してあえて同じ行動に出たのではないか」
本人にぶつけてみると「純粋に喜びが爆発しただけ」と言いながらも、アテネ五輪で見せた北島さんの雄叫びが刺激になっていたことを認めました。
北島さんの雄叫びを見て、ハンセン氏が強くなり……、
ハンセン氏の雄叫びを見て、北島さんも強くなる。
仮説を立てたことで、ストーリーにオリジナリティが増したと思いませんか?
「もしかしたら」の部分に、自分の解釈を乗せる。それもまたオリジナリティを出すことにつながります。
夕陽を見ると泣けてくる理由、もしかしたら……、とか。朝に食べるラーメンが美味い理由、もしかしたら……、とか。アニメ『SPY ✕ FAMILY』が好評の理由、もしかしたら……、とか。
もちろん、オリジナリティを出す方法はほかにもあると思います。また新たなものを見つけたら、ご紹介しますね!
「NO MORE 没オリジナリティ」
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