見出し画像

新NISA税とか勘違いが起こっている「医療介護保険における金融所得の勘案」について

 どうも、ゑんどう(@ryosuke_endo)です。

 こんな話題に飛びついてみます。

 この記事に書かれている内容もそうですが、どうみても政府を批判したいとしか思えない書き振りです。ネット上、特にSNS界隈なんかの批判を見てみても「きちんと調べてない人たち」だってことが伺える書きっぷりが多い点も気になります。

 一時的に情報に触れたのであれば、その背景に何があるのかを調べるのが大人ってもんでしょうが!と、思ってしまったので冷静になっていない人たちに向けて冷静になれるような情報を提供する意味で書き始めました。興味がある人はお付き合いください。

背景と検討の位置づけ

 まず、今回の「医療介護における金融所得勘案PT」が動き出した背景は何かというと、2022年末に閣議決定された全世代型社会保障構築のための改革工程です。

 「全世代型社会保障構築」とは、将来世代も含めた全世代の安心を保証するために、社会保障制度を支える「支え手」を増やしていくことを重視した改善案です。その基本理念の一つに能力に応じた全世代の支え合いがあり、これは年齢に関わらず、各個人の負担能力に応じて社会保障の負担を分かち合い、必要に応じて給付を受けるという考え方。

 これを前提とすることで、「社会保障制度を支えるのは若い世代であり、高齢者は支えられる世代である」という固定観念を払しょくし、「全世代で社会保障制度を支え、また社会保障制度は全世代を支える」ということを目指すわけです。

 で。

 2028年度までに医療・介護保険料における金融所得の勘案について実施の検討を行うために、2023年に自民党の「医療介護における金融所得勘案PT」が発足し、検討を開始した、と。

 まずはこういった経緯があったことをご理解ください。

現状の課題認識

 で、じゃー具体的に何をどうしていこうかって話です。

 現在、医療保険料(国民健康保険料)や介護保険料は、被保険者の所得に応じて算定され、所得が多いほど負担能力があるとみなされ、保険料も高くなりますが、ここで金融所得、特に株式等の売却益の取り扱いが問題になります。

 すでに新NISAへの制度改変の影響もあり、投資信託などで投資を始めた人も増えていると思いますが、証券会社に口座を開き投資を始めようとすると「特定口座」か「普通口座」の開設に関する選択肢を迫られます。

 特定口座とは、株式等の売却益に対する税金(所得税・住民税)が自動的に計算され差し引かれる口座のことで、この口座で取引された株式売買に関する売却益は、医療・介護保険料の算定の基となる所得には反映されません。

 一方、普通口座で株式等を売却し、その売却益を確定申告した場合、その売却益は総所得に合算されるため、医療・介護保険料の算定の基となる所得が増加し、保険料の負担が重くなります。

 つまり、同じように株式等で利益を得ていても、特定口座を使った場合と普通口座で確定申告した場合とで、医療・介護保険料の負担に差が生じてしまうことになってしまうわけですね。

 これは不公平だろうってことから、特定口座で得た株式等の売却益についても、何らかの形で医療・介護保険料の算定に反映させるべきではないか、というのが今回の話題におけるボタンの掛け違いみたいなもの。

 くれぐれも新NISAに対する課税案などではないってことを理解する必要があります。

検討にあたっての論点と政府方針

 一方で、金融所得の保険料への反映には、市町村における事務負担の増大など実務上の課題があります。証券会社が保有する個人の特定口座情報を市町村が把握するだなんてことはできません

 また、会社に所属している人たちは社会保険料を自分だけでなく、名目上は「労使折半」で半分は企業が支払っています。もし、個人の金融資産にも手をつけるのだとしたら、その金融資産分も上乗せした所得に応じた社会保険料を企業が支払わなければいけなくなります。企業側からしたら勘弁してもらいたいでしょう。

 なので、まずは市町村などの自治体で情報を把握できる国民健康保険、後期高齢者医療制度、介護保険から検討すべきだ、なんて指摘もあります。

 金融所得のみならず、金融資産の勘案も改革工程に掲げられているが、預貯金口座へのマイナンバー付番の状況等を踏まえた丁寧な検討が求められる。

 政府としては、PTにおける議論も注視しつつ、金融所得の捕捉に関する実務上の課題なども踏まえ、負担能力に応じた負担のあり方を引き続き検討していく方針だってことが示されているだけで、具体的にどうしていくのがいいのかは何も決まっていません

 今回の検討は、新たな課税や保険料の値上げが目的ではなく、加入者間の負担の不公平感の是正が目的であって、何もかもを国民から貪ってやろうだなんてことではありません。

 いずれにしても、具体的なスケジュールが示されていないものの、2028年度までの実施に向け、丁寧な議論を進めていくとだけしかわかっていないのが現状です。

おわりに

 ナーンにも決まってはいないけれど、とにかく全世代で不公平感のない社会保障制度を目指しましょうよって話なだけで、猫も杓子も国民を貧困化させようって政府の魂胆が見えたわけではありません。

 たしかに、日本はそもそも産業が育っていませんから相対的に国際社会における存在感が薄くなってきているのは事実です。これを書いている時点で1ドル153.66円とかつけている円安状態。

 アメリカが金利を引き下げないからだとか、中東情勢が危ういことが影響している、なんて言われてますが、長期的にみれば、日本がそんな状況にあたふたしなくてもいいような経済状況にないからって話です。

 総じて、日本人全体が貧しくなっていくのは既定路線だといえ、個人でどうにか抜け出せるかどうかってところまで来てしまっているのが現状でしょう。

 あ、そうか。なるほど。だからみんなイライラしているのか。納得しました。

 ではでは。


 ゑんどう(@ryosuke_endo)


#えんどうnote 、マガジンをフォローすると通知が届きます!

X(Twitter)もやってますのでフォローしてください!

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。 お読みいただき、それについてコメントつきで各SNSへ投稿していただけたら即座に反応の上でお礼を申し上げます!