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私にいちばんちかいところ
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2020年1月の記事一覧

deeper

deeper

例えるなら、

鼻腔に冷たい空気がゆっくり流れるようなしんとした暗闇の中。少し身体を動かすたびに軋むベッドの上、今にも脳が真っ二つにかち割れそうな頭痛で目覚めて、涙目になりながらころげ落ちて、床の甘さのない冷たさにもう一度傷ついて、ただ苦しんで、もがいて、前が見えない恐ろしさに心底恐くて、掴んだもの全て私以外の場所に投げた。かるい音、おもい音、はじく音、われる音。どこかに当たった音だけが空間に返

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処方箋

「こころ」について学んでいくたびに思う。

こころに処方箋はないのだと。

言葉や薬さえも処方箋にはならない。
ただ祈りであるだけ。

パン生地を練って作り、発酵させてから型にはめる瞬間。型にはめる前の生地は伸びやかでどこまでも純粋だ。
でも、1度でも姿を歪め、型にはめてしまえばたちまち乾燥して動かなくなる。ゆっくりと引き伸ばせば動くようになるが、2度とあの純粋には戻れなくなる。

泣いてつめ

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額縁

額縁

私はこの部屋の大きな窓から見える、くるしいほどあたたかな太陽あるいはひんやりとあたたかな月を何年もみつめた。飛散防止の格子柄の間に、それよりもさらに小さな格子柄が並び、やっとその姿が見える。大きな窓はまるで額縁のようにたたずみ、ただじっとそこから私の内と外を隔てている。

私がこの部屋の中で唯一外と曖昧になれる場所。
窓に手を当てればあたたかく、あるいはつめたく感じれる場所。

そのあたたかさやつ

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アイドルをころすのはファンだけど、アイドルを救えるのはアイドルしかいないのだと思う。ほんとうに何もできない。

‪ほんとにファンは勝手だな。勝手に好きになって、加速して、満たされて、絶望して、去っていく。傷が伴うとしても、代償は軽いもんじゃないか。ねえ、わたし。