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黒髪が乱れるままに。

最近ちょっとした和歌ブームです。
そこで、今日の和歌を一つ。

黒髪の 
乱れもしらずうちふせば 
まづかきやりし
人ぞ恋しき

和泉式部

【訳】
黒髪の乱れもかまわず、
倒れるように横になっていると、
真っ先に、この黒髪を掻き上げてくれたあなたが浮かぶ。
あなたが恋しい。

(文法をきちんと読み解いていくと、ところどころ違うのかも知れませんが、こんな感じで合っていると思います。)

なんて、美しい!!
と、感動せずにはいられませんでした。

私が読んでいた本によると
上の句では、女の姿を外から眺める男の視点を感じると。
美しい黒髪を乱れるままに、その場で倒れる女性の姿に魅了される男の視点。

しかし、下の句では、髪を掻き上げてくれた男を恋慕う女の気持ちを情熱的に詠う。
黒髪に触れ、自分を激しく求めた男性を思い浮かべ、心と身体で彼を求める女の視点。

一つの句から、二つの視点を読み手は想像してしまう。
それは、まるで映画のワンシーンのように私達の脳裏に浮かぶ、と。

和泉式部はさながら主演女優のように、自分のことを和歌で描いている、と。

その解説の通りだなと惚れ惚れしました。
たった三十一文字にここまでの映像を読者に想像させる和泉式部のファンになってしまいました。

和歌の中で、描かれた黒髪の美しい官能的で情熱的な彼女に惹かれると同時に、

そんな女性を描き出す文才溢れた恋多き彼女に、私は憧れました。

和歌はすごく苦手だったので、あえて最近その手の本を読んでいたのですが、これは和歌の魅力にはまりそうな予感です♪

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