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パソコン音楽クラブ「FINE LINE」全曲トレーラームービー M07 “Omitnak” -TouchDesignerの導入と習熟-

2023年の1月から習熟を始めたTouchDesignerをパソコン音楽クラブさんのトレーラームービーの案件で導入しました。
まだツールの理解度は浅いですが、グラフィック生成をするにあたり、ポジティブな点や気づきなどをこちらに記載してゆきます。



制作環境

Tools

  • Adobe After Effects (映像の編集に使用)

  • blender (エイリアンのモデリングに使用)

  • TouchDesigner (映像素材の生成に使用)

Machine Spec

  • iMac Retina 5K, 27-inch, 2019

  • プロセッサ:3.1 GHz 6コアIntel Core i5

  • グラフィックス:Radeon Pro 575X 4 GB

  • メモリ:64GB 2667 MHz


制作のテーマ

アルバムの中でもかなり混沌とした異質の楽曲で、予測不可能なメロディラインが魅力的。暴力的で破壊的な、過度な点滅や高速スイッチングを用いた激しい演出と構成を前提としました。


Work flow

①blenderを用いたモデリング

モチーフのエイリアンのモデルはblenderで制作。映像全体が激しい構成になるので、グロテスクな印象は避けるため、エイリアンのモデルをややデフォルメすることでバランスを取りました。

②TouchDesignerを用いた制作

TouchDesingerを用いて断片的に映像を制作。実務では初使用。グラフィカルな映像をスピーディに生成できる点が魅力的。
今年の1月から習熟を始めたソフトなので、細かな挙動の制御はあまり得意ではないですが(2023年5月時点)、むしろそういった荒っぽいプロセスが今回の映像のテーマ性と整合性があると考えました。

③Adobe After Effectsでの編集

最終的な編集プラットフォームとしてAdobe After Effectsを使用。TouchDesignerやblenderで制御しきれない部分、主にカラーグレーディングやスイッチングなどの微調整を行ないました。

初期段階で提出したプレヴィズ。初めてのツールを導入するにあたり、事前にこちらのプロセスをお伝えした。
制作したモーション群

TouchDesignerの導入と習熟

以下、自身の制作にTouchDesignerを導入した経緯と、どのように活用してゆきたいかを記載してゆきます。


経緯

2023年の年始にネットサーフィンをしていた際、宮村 綾 / Miyamura Ryoさんの記事を見つけました。Video synthesizerの存在は知っていたものの、高価で手に入りづらいものという風にしか認識できていなかったのですが、こちらの記事から興味を持ち、TouchDesigner をインストールしました。

初めのうちは趣味程度にVideo synthesizerを自作できれば。考えていたのですが、TouchDesignerの造形力に魅力を感じ、実務でも応用できそうなグラフィック生成の鍛錬へと脱線しました。
お察しの通り、Video synthesizerは完成していません。(カメラやマイクの挙動にグラフィックが連動する仕組み作りまでは完成できたけど)

以下、習作群から一部抜粋

基本的な操作はTDSWのYoutubeや田所淳さんのWEBサイトを参考にしました。


今後の展望など

TouchDesignerはリアルタイムのグラフィック生成やインタラクティブな技術に長けているので、もっとその側面を強化していった方がツールの理解度が深まってゆくだろうとは思いつつ、現状その方面の仕事や制作の機会がないので手をつけていません。
一方、AEだとすごく時間のかかるものがシンプルに作れますし、動かし前提でグラフィック構築を行う場合にはかなり相性が良いと思います。(後々、インタラクティブな要素を足すこともできるし)
KVを”作ってから動かす”という従来のプロセスだと時間がかかっていたところを、”動かしながら作る”というスマートなプロセスが開拓できたので、高価なツールだという点を加味しても、今後も積極的に使ってゆきたいです。