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骨密度を低下させたくない人 必見#2

前回までのおさらい

ウォーキングは継続することで、
骨密度の維持や低下を防ぐことができる
手軽に始められる運動だということを見てきました。
ただ、ウォーキングだけでは骨密度の減少に効果が
ないということも分かりました。

今回紹介する運動は
Strength and Resistance Exercisesです。

Strength and Resistance Exercises


Strength and Resistance Exercisesとは

筋肉に繰り返しresistance = 抵抗をかけて行う運動のことです。

レジスタンストレーニングの例は
スクワットやランジ、腕立て伏せや
仰向けになって行うヒップリフト
などです。

自分の体重だけで行ってもいいですし、
エクササイズ用のゴムバンドやダンベルなどの重りを
使って運動の強度をあげると、
筋肉により負荷をかけることができます。


骨密度への影響

レジスタンストレーニングは、
高齢者の骨量を増加させるために最も多く研究されています

これらの運動が良いとされている理由は、
筋肉に繰り返し負荷をかける運動をすることで
骨への間接的な刺激があるからです。

また、レジスタンストレーニングは
筋力アップと関節反力*(=運動中に骨と骨が衝突する力)により、
腰椎や大腿骨頚部のBMDに重要な臨床効果を
生じることが分かりました 。

*【関節反力の説明】
関節反力なんて聞きなれない言葉が出てきましたよね。
関節反力を簡単に説明すると、
骨と骨が関節の中で衝突する強さのことです。

例えば座っているときには、座面で自分の体重を支えているのと
同時に、座面から体重と同じ力が上向きに働いています。
この力が反力です。

⇨座っていたらお尻や腰のあたりに、
立っていたら足の裏や脚の付け根あたりに
自分の体重だけでなく下からも力が働いているということです。

ピーク時の負荷>反復回数


2015年に、骨粗鬆症ではないの中高年女性を対象として行われた
研究では、6ヶ月間の高い負荷をかけて行ったレジスタンストレーニング
腰椎の骨密度と最大筋力にに及ぼす効果を明らかにしました。
(※ただ、この研究では全身の骨密度や股関節の骨密度に関しては
対照グループとの有意差は確認出来ませんでした。)

2012年の「高齢者の骨量に対するトレーニングの効果」を分析した
システマティックレビューによると、レジスタンストレーニングは
反復回数よりもピーク時の負荷の方が重要であると分かりました。


その他に考慮すべき点として 、
2018年に発表されたcross-sectional研究から
女性が骨量に関して一定の結果を得るためには、
より強い強度の運動が必要なのではないかということが
分かりました。


まとめ

レジスタンストレーニングの有効性は、
多くのレビューでも確認されており、
閉経後の女性において、脊椎と股関節の骨密度を改善するため
このエクササイズが最も適していると考えられます。

特に、段階的に強度を上げながら行う下半身の
レジスタンストレーニングは、
大腿骨頸部の骨密度に対して最も効果的な運動です。
レジスタンストレーニングは、全身の骨密度を増加させる
というよりは特定の部位、特に大腿骨頚部と腰椎の骨密度の
増加に有効だと分かりました。

高齢者の場合、日常の身体活動や運動では骨密度へは
効果は最小限なので、骨密度を改善する目的では
レジスタンストレーニングを日々の生活に
取り入れるのが良さそうです。

そして、簡単にできるレベルの負荷で
繰り返し筋力トレーニングを行うというよりは、
負荷をかけて行う方が骨密度改善に
効果が見られることが分かりました。


専門家の方の意見を参考にしていただきたいのですが、
例えば、ダンベル3kgをもってスクワットをした時に
1回しかできないようであれば、その負荷強度は100%となる
ようです。
80%〜90%の負荷強度で行える運動を3〜5回繰り返すのを
1セットとし、1日にこれを4セット x 1週間に3回。

骨密度増加に有効であるためには、レジスタンストレーニングを
高い負荷をかけて少なくとも週3回  X 1年間
続けることが推奨されています。

レジスタンストレーニングを行うことで
この効果は短期〜中期的に維持されることが分かりました。

最後に

どうでしょうか?
体重をかけたり支えたりしながら行う有酸素運動と
同様に、レジスタンストレーニングも長く続けること
が大事なようですね。

今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。
次回は、カルシウムやビタミンD、マグネシウムなど
サプリメントと骨密度に関して調べた論文
をご紹介したい
と思います。

ご興味のある方はぜひ次の記事も読んでいただければ
幸いです。
では、皆様が健康に過ごせますように!

参考文献

Gómez-Cabello A, Ara I, González-Agüero A, Casajús JA, Vicente-Rodríguez G. Effects of training on bone mass in older adults: a systematic review. Sports Med. 2012 Apr 1;42(4):301-25. doi: 10.2165/11597670-000000000-00000. PMID: 22376192.

Nicholson VP, McKean MR, Slater GJ, Kerr A, Burkett BJ. Low-Load Very High-Repetition Resistance Training Attenuates Bone Loss at the Lumbar Spine in Active Post-menopausal Women. Calcif Tissue Int. 2015 Jun;96(6):490-9. doi: 10.1007/s00223-015-9976-6. Epub 2015 Mar 14. PMID: 25772806.

Cheung AM, Giangregorio L. Mechanical stimuli and bone health: what is the evidence? Curr Opin Rheumatol. 2012 Sep;24(5):561-6. doi: 10.1097/BOR.0b013e3283570238. PMID: 22832826.

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