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andymori、小山田壮平についての話

andymoriというバンドをご存知だろうか。

2007年にボーカルギター小山田壮平、ベース藤原寛、ドラム後藤大樹の三人により結成されたバンドである。2010年に後藤が脱退し、新ドラマー岡山健二が加入した。2014年に解散。

解散後に小山田壮平は自主レーベルを立ち上げた。現在はソロとして、そして結成当時の三人にシンガーソングライターの長澤知之を加えたALというバンドで活動している。

ここ数年僕が最も好きで、最もよく聞いているアーティストである。曲も紹介していくので、よろしければ聞いて頂きたい。


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初期(3rdアルバム『革命』辺りまで)の曲は、エスニックな表現が多く見られ、パンク的な要素のある曲が多いと感じる。

歌詞は反戦や人種、社会問題を暗に、または直接的に示すのが特徴的である。実際に2010年8月7日MUSICAのインタビューで「反戦的なメッセージを歌っている」事を明言している。

『僕が白人だったら』、『モンゴロイドブルース』、『バグダッドのボディーカウント』、『Weapons of mass destruction』などが分かりやすいと思う。

このMVで描かれる絵にも、それを感じるだろう。


小山田壮平の歌詞にはインドやタイなどの国がよく描かれ、他にも具体的な地名を詞にのせている事が多い。どこかバックパッカー的だと感じる。

これは世界中を旅して回っていた、姉である小山田咲子さんの影響もあると思う。彼女は24歳という若さで不慮の事故により亡くなってしまった。才能あふれる人であり、人柄も素晴らしかったと聞く。

ここで一曲紹介しておこう。
『teen's』という曲である(サブスクとかで聞いてほしいです)。

5thアルバムに収録されている曲だが、彼が19歳の時に書いた曲だ。部屋で一人、書きなぐるようにして書いたそう。彼自身この曲を、自分の「根っこの部分からの叫び」だと振り返っている。

大人、と呼ばれる人々への違和感と不信、9.11について、戦地の子供、そして先ほど述べた姉の咲子氏についても歌われている。彼の初期衝動が詰まった曲として重要な曲だと思う。是非聞いてほしい一曲だ。


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次にandymoriの、曲の変化について書こう。

3rdアルバム『革命』以降、人に指向した曲が多くなった。4thの『光』収録曲なんかは特にそうだ。メロディーも、よりフォーク調になった。

「世界を平和にしたいなら戦争云々ではなく、周りの一人一人の気持ちを変えていくべきじゃないのか」みたいな事を昔、BUMPの藤原基央が言っていたのを思い出す。そんな心境が彼の中にあったのではないだろうか。

そしてそれは彼が本当に歌いたい事だったのだろう。

小山田壮平が繰り返し述べていたのは彼の中にある、途方もない虚しさである。だから彼は「遠くへ行きたい」と願い、「楽園」「ユートピア」を求めた。「楽園」など無いとは分かっていながらも、探し求めて東へ行ったり、南へ行ったりしたのである。

音楽は彼にとって「ユートピア」のような存在だった。そこに精一杯の愛で応え、そこに救いを見出したのだろう。しかし虚しさは消えないとも彼は言った。

これは音楽に対しての愛を歌った曲だ。



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最後に5thアルバム、『宇宙の果てはこの目の前に』について。僕が最高傑作だと思うアルバムである。

先ほど述べた『teen's』や『トワイライトシティー』などのデビュー前から存在していた曲、そして解散決定後に作られた『夢見るバンドワゴン』まで、新旧織り交ぜられた楽曲が並ぶ。

まさに歴史が詰まったアルバムだと思う。

これは僕が大好きな『空は藍色』という曲だ。andymoriの前身バンドであるBGMSの時代から存在しており、おそらく20歳前後に作られた曲。



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2014年、andymoriは解散した。

5thアルバム発売時のインタビューで彼は「1周回ってきたんだな」と振り返っていた。やり尽くした、という感覚が確かにあったのだろう。

そして新たにやりたい事を求めて自主レーベルを立ち上げる。


解散後の2016年、長澤知之と共に彼はこんな歌を歌っている。


愛に満ち溢れた歌だ。力強く、とても自由に歌われている。


彼には歌い続けて欲しいものだと、強く思う。





個人的に最近思う事を、、、世の中ますます酷くなってるとか感じてしまう、前から酷いとは思っていたが、ここまでだったとは。そう感じてるの僕だけだろうか。

かつてのあなたが紡いだ素朴な疑問の刃が、今こんなにも僕の心を突き刺す。あなたは今、世の中に対して何を思うだろう?

こんな社会の中でどんな歌を歌ってくれるのか、音楽が政治を切り裂いたっていい。あなたの歌がまた聞きたい。


読んでくださり、ありがとうございました。 今後より充実したものを目指していきます。