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デザインの日記念 JIDA(公益社団法人日本インダストリアルデザイン協会)x DXDキャンプ「インハウスデザイナーの社内外の役割と領域の超え方」

「デザインの日」

---と言われても、きょとんとされる方が多いかもしれません。

実は、「デザインの日」は10月1日。
1990年、デザインの社会への一層の浸透を図ることを目的に通商産業省(当時)が定めたもので、今年で33年目となります。
日本のデザイン政策が本格的に開始された「デザイン奨励審議会」の設置日である1959年10月1日が由来だそうです。


この日を記念して、広義のデザイン専門スクール「DXDキャンプ」は公益社団法人日本インダストリアルデザイン協会(JIDA)様と共催イベントを開催しました。


「デザイン」と聞いて、いわゆる「美しい外観」「珍しい形」等、「目に見える形」を意味する「デザイン」を思い浮かべる方のほうが、世の中には多いかもしれません。

が、この日語られた「デザイン」はそれらを内包しつつも もっと広い「広義のデザイン」でした。


「インハウスデザイナーの社内外での役割と領域の超え方」

DXDキャンプ修了生として登壇した富士通 福元涼介さん(富士通株式会社 デザインセンター)は2022ウィンターキャンプ修了の3期生、赤羽絵美さん(セイコーエプソン株式会社 経営戦略本部)は9月に2023サマーキャンプを修了したばかりの5期生。

残念ながら体調不良でご登壇がかなわなかった白川桜子さん(日本電気株式会社 コーポレートデザイン部)は、2021ウィンターキャンプ修了の1期生です。


2023年10月10日、東京・品川にあるコクヨ(株)様のTHECAMPUSのホール”THECORE”。

にわか雨の降る中会場に集まってくださったのは、デザインを学ぶ学生さん、企業のインハウスデザイナー、ビジネスデザインに携わる方、「デザイン経営」に関心がある方…と、バックグラウンドも年代も異なる約30名の皆さん。
加えて、オンラインには約60名の皆さんが集まりました。


「多部門の経験による“意識”と“行動”の変化 ~異なる視点、共通の目的~」

福元さん(富士通デザインセンター)は、設計開発、商品企画を経てデザインに携わるようになった方。

非デザイナーだった福元さんがデザイナーへと変化・進化した様子、その中での意識変革、行動変革を非常に具体的にお話くださり、立場・意識の重点の違いにより「優れた商品」の定義が変化し、デザインへの興味/ステージも変化していったというお話は大変興味深いものでした。

さらに、異なる定義・意識をもった部門が商品開発をする際の課題、そこにデザイナー、デザイン思考が介入することで、「顧客を中心としたデザインアプローチ」が各フェーズをシームレスにつなぐ効果があることをお話くださいました。


「境界を超える働き方」

赤羽さん(セイコーエプソン株式会社経営企画部)は、キャリアのスタートから「デザイン」に関わってきた方

同社のウォッチ企画・デザインからプロダクトデザイン全体を俯瞰する立場となり、デザイン戦略立案と運用、トレンド分析、ユーザーリサーチを実施し、顧客ニーズリサーチを元に企画とデザイン仕様の明確化を担当されてきました。

そして現在は、アドバンスデザイン開発から、次代のトレンド予測、市場、顧客の価値観の変化から新規事業・技術開発テーマの方向性の策定、オープンイノベーション推進等経営戦略に携わっていらっしゃいます。

「デザインは“デザイナーだけに閉じない”ことで見えることがある」

「想像以上にデザインが理解されていないことを実感」する中で赤羽さんが気づいたデザイナーの力である

・意図をカタチにするスキル
・問題と解決策を、同時にモヤモヤと考えることができる能力

は、経営戦略にまさに必要とされるものであり、赤羽さんが日々創意工夫をもって取り組んでいらっしゃることです。

また、「デザインは“デザイナーだけに閉じない”ことで見えることがある」という言葉は、狭義のデザインに関わる方たちにも、鋭く新しい視点を提供してくれました。


会場参加者のディスカッションでは、「自分が考えていた“デザイン”の意味、範囲が大きく変化した」「デザイン経営こそ自社に必要だと感じた」という言葉が聞かれました。

お二人が語ってくださったのは、いわゆる「武勇伝」ではありません。

部署異動や業務の変化、役割の変化を経て「デザインの力」に気づき、身に付け、分野や業務の枠を超え、どんどんと活躍の場を広げ・進化していく過程であり、ストーリーでした。

役割、境界・領域を超え、横断し そしてそれらを「デザインの力」で高く力強くつなげていく。

彼らのようなあり方が企業や社会にも「デザインの力」として波及し新しいうねりを生み出している。

不確実性の高い要素が複雑に入り組み変容し続ける社会で、「デザイナー、デザイナー的な人の存在」が無い場所、部署でも「デザインの力」が必要とされている。

そして、必ず大きな力となる。

DXDキャンプ修了生の日々の活動をお伺いするにつけ、その「種」が全国各地で芽生えている、芽生えるのを待っている、と感じます。

2023年度最終クールとなる「2023ウィンターキャンプ」もスタートしました。

ここからも、新しい「種」がさらに生まれていきそうです!


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