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天邪鬼の眼☕️通信 ~先生と「人×本×旅の必要性」~

人生や仕事を愉しみながら、時を過ごしていくことができたら幸せだろうなぁと漠然と思う気持ちは、長い人生を送るなかでいつも自分の中に漂っていました。

学生を卒業してから、長いこと教育の世界に身を置いてきました。
子供がスキ!とか学校がスキ!という感覚よりも、先生という仕事が、自分に嘘をつかないで生きていくことができるんじゃないかと単純に思ったことや欧米のバカンスを楽しむライフスタイルに憧れていた私は、教員の生活がそれに一番近いんじゃないかという思いがあったことも間違いありません。

これって、端的に言えば「夏休みがあるから…」という理由と言えば、その通りで、ある時、保護者から「なんで先生になったんですか?」と尋ねられた時に、そんな理由を答えたら、もっとまともな回答はないんですか⁉と言われたことがあるくらい情けない理由で、教員になったわけです。

なりたての頃は、定められた夏季休業は5日程度でしたが、自己研修などという制度もあって、なんだかんだ言って、実質で30日ほどの休みを取得して過ごすことができました。

当時は、今ほどのブラックさはないもののそれでも毎日の授業を終えて、5,6時間分の授業の準備をしたり、授業後の学級事務をしたりすることは、相応に大変だったことは変わりません。

しかし、年に一度、命の洗濯かのように西欧のバカンスと言わないまでも高等遊民のような時間の過ごし方ができたことは、幸せだったと思うし、そんな日々を送った先生達から授業を受ける子供たちにとっても悪くなかったように思います。

それこそ、先生が英気を養い、元気になって、しかも学校以外で過ごす時間の少ない先生方が各々の思いに従って過ごした時間が先生の肥やしにもなっていたと思うからです。

APU学長の出口治明は、人は、3つのこと「人」「本」「旅」から学ぶと教えてくれます。

人間が賢くなる方法は「人」「本」「旅」に尽きると思います。まず人から学ぶ。誰でも小中高時代に、思い出に残る先生が1人や2人はいるでしょう。人間は人から教わることで自分を成長させられます。しかし、先生や家族など身近な人から学ぶことはできますが、昔の時代に生きた人やはるか遠方にいる人から直接学ぶのは困難です。しかし本を読めばそれが可能になります。
 人や本から学ぶ方法の共通点は、自分の居所である家や学校や職場といったコンフォートゾーンで学べる点です。これに対して旅にはコンフォートゾーンの外へ出て、アンコンフォートゾーンで学ぶという特徴があります。昔、デカルトという鼻っ柱の強い学生が21歳ぐらいで大学を去ったのですが、その際に「先生から学ぶべきことはすべて学んだ。大学の本も全部読んだ。これからは世間というより広い世界を旅し、世間という大きな書物から学ぶことにする」という趣旨の言葉を残しています。

出口治明APU学長が語る人生における人×本×旅の必要性
2020.07.27

まさに、先生方が夏休みを研修として過ごせた長期の休暇は、有形無形の形として日常の学校で多忙な業務をなす日々ではなしえなかった学びを叶える効果があったと思うのです。

「まず人から学ぶ。誰でも小中高時代に、思い出に残る先生が1人や2人はいるでしょう。人間は人から教わることで自分を成長させられます。」というくだりも重要です。子供たちは、授業で習う学習内容ばかりではなく、先生の生き生きとした生き様から大きな影響を受けると思うからです。

学校現場のブラック化が進み、どんどん学校の生活時間がタイトになり、いつしか先生方は、多忙な生活に追われて職場以外の「人」に出会う機会も喪失し、「本」を読まなくなりました。先に話したような夏休みなども現在では、定められた夏季休業として5日程度が付与されるだけで、アンコンフォートゾーンで学ぶ「旅」に身を置く機会とゆとりも失ってきていると考えています。

「人に学ぶ」「本に学ぶ」「旅に学ぶ」…人が賢くなる学びをできなくなった先生に子供たちが教わるようになっているとしたら、失っているものは計り知れない気がします。


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