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世紀末は繰り返すのか

※ 「これから話す内容は、去年の4月に記録として書いたもの故、現状との誤差が生じる事をご理解して頂き目を通して頂けますと幸いであります。」

コロナ禍の影響により、政府の判断に従い不便な生活を強いられるからか、去年の緊急事態宣言が発令された頃に比べ反抗する人々が増えてきた気がする。

真っ向から政府に逆らうのではなく、時短営業を求められる飲食店の中には規制を無視するかの如く、深夜まで営業する店は少数派だが現存するのが事実である。

直接心理学を学んだ訳ではないので詳しい内容は知らないが、人は自由を奪われると必然的に反抗する生き物だと思う。
人に限った事ではなく、野生動物も論外とはいえないだろう。
そして感情が高まると怒りと化し、暴力へと発生する。
日本ではデモというものが基本的に存在しないから、現実味がないのもまた事実なのであろう。

しかし他国では頻繁とはいかないまでも、税金が上がろうとしたり、人道的な事で傷つけられたりすると真っ先に立ち上がる。
自身に置き換えてこれらは怒りに左右されると考えられる。
かつてマルコムXは「怒りは知性だ」と述べている。
そこで誤解して欲しくはないのだが、マルコムXは暴力を肯定する人物ではない。
実際はその反対で、暴力で物事は何も変わらないと考える思想を持っている人物だ。

それではなぜ過激な発言が多かったのだろうと考える人も当然おられると思う。
これは個人的な見解ではあるが、権力のある人物が曲がった政策を打ち出す事を素直に受け入れるのではなく、反論する事で自己主張を述べる。
そこで先ほど紹介した「怒りは知性」という言葉が当てはまると思われる。
即ち反抗は知性であり、全ての人々と同様に言語を持ち、理性を共有し主張のある一人間なのだと言いたかったのだろう。

随分と前説が長くなってしまったが、理性のない人々による世界が当然となると、もはやこのような現象は世紀末と例えるのは当然の結果といえるだろう。

で、で、改めて上手く世紀末を捉えた映画を真っ先に思い浮かぶとしたら、間違いなくジョージ・ミラー監督が描いた『マッドマックス』シリーズの中でも『マッドマックス2』を選ぶだろう。

この作品は名作なので敢えて細かな物語の説明を省かせて頂く。

それではなぜ、この作品を評価に値する理由を述べると、政治が機能しなくなると暴力が支配するのは目に見えている。
それを表現できた点が優れている。

そうなると無法地帯と化し、人々はやがて野生動物と同様に弱肉強食の世界で生きなくてはならない。

抵抗できる者であればそれは全く問題がない。
だが最悪な状態は抵抗できない者はどう生き残るかだ。
利用価値のある者であれば機械の歯車のように動き続けるまで利用され、使えなくなったらお払い箱だ。

または弱いながらも団結力を駆使し仲間を作り、小さな国家を築き上げ抵抗勢力と向き合う事も想定できる。

いずれにせよ、彼らが求めるのは限りある資源を取り合う事だろう。
真っ先に必要なのは水だ。
生き抜く上で動物である以上不可欠な資源である。
次に不可欠と言える資源は石油なのだろう。

またジョージ・ミラーが描く世界観を真似た作品も多数ある。
日本では漫画の『北斗の拳』と石井聰亙が描いた『爆裂都市 BURST CITY』が真っ先に思い浮かぶ。
特に『北斗の拳』は暴力描写が際立つ。
『マッドマックス』の衣装や小道具、または車はかなり意識されている。
恐らく『マッドマックス』がこの世に存在しなかったら、『北斗の拳』と『爆裂都市 BURST CITY』も白紙のまま別世界が描かれていたに違いあるまい。

またこの作品は1981年に公開された事を考えると、かなり早熟した発想であると思う。
しかも今観ても色褪せる事なく、成熟したと思われる現在でも通用する映画でもある。

メル・ギブソンが演じる主人公のマックスは寡黙で群れに属さない一匹狼だ。
だが、この作品ではユニークな人物がマックスに加担する点も見どころの一つである。

決して世紀末を思わせる暗黒な世界を望むことはないが、いつかは否応無しに理性や秩序を重んじない世界が訪れるかも知れない。
もしかすると、そんな遠い事ではないのかも知れない…

「真実は、虐げられる側にある。」
マルコムX

時に言葉が持つ力は偉大である。


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